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大屋地爵士のJAZZYな生活

祭りのかたち ~ 海の記憶、山への畏敬 ~

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6年に一度行われる諏訪大社の「御柱祭り」がTVで大変話題になっている。勇壮な「木落し」の様、立ち上げのときの残念な死亡事故などがNEWSで報じられていた。この祭りは、中世以前から脈々と行われている神事であり、大阪・岸和田の「だんじり祭り」もそうであるが、男気を競うこの種の伝統行事に起こった事故の責任を、刑事事件として取り扱うには馴染まないのではないかと思う。もちろん事故がないことが一番であるが ・・・。この諏訪大社の「御柱祭り」が一番有名であるが、実は御柱祭りは信州・中南信地区の他の神社でもひろくおこなわれている神事なのである。

私の実家のある地区の氏神、須々岐水(すすきがわ)神社(別名;薄宮)や、その周辺の神社でも御柱祭りが諏訪大社と同じ形態で行われている。諏訪大社と同じ年に行われる神社もあるようだが、実家の氏神では、諏訪から1年遅れの卯年、酉年の年に行われるのが習わしである。今回も境内を訪れてみたが、5年前に建てられた御柱は、来年の建替えの神事を待って、今はひっそりと聳えていた。古来から日本人は、古い樹、大きな樹を「神の依り代(憑り依、よりしろ)」として崇めてきた。そして、特に大きな樹木を神聖視して、これを祀り、崇めることを「巨木信仰」というが、クヌギのように木の持っている再生力、永遠ともいえる巨木の生命力にあやかりたいと思った山の民の素朴な信仰に根ざしたものであろう。そして、トーテムポール、ヨセミテ国立公園の巨木、クリスマス・ツリーなどの例に見られるように、木に対する信仰は世界共通なのではないかと思う。


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そして、この須々岐水(すすきがわ)神社は、毎年5月5日(御柱祭の年には4日)に行われる「お船祭り(おふねまつり)」の祭事でも知られている神社である。須々岐水神社のほか安曇野市の穂高神社などでも行われているが、船をかたどった山車(だし)を引き回す祭りである。海のない信州にもかかわらず、神社で「お船祭り」が開かれたり、御神体が木舟であることが多いのは、その昔、北九州や朝鮮半島を拠点とする海人の「安曇族(阿曇族)」が信州安曇野地方に移住したことを物語り、その祖先の遠い記憶に由来しているのであろうか。たしかに、「日本後紀」には、延暦18年12月甲戌条に、高句麗から渡来した信濃国人「卦婁真老(外従六位下)」は「須々岐」の姓を与えられたという記述があるそうだ。このとき与えられた姓(かばね)が現在、「須々岐水神社」の名で残っているのである。 (写真;田植えの準備の始まった水田の道を氏子達によって曳かれ神社へ向かうお船。 「松本市公式観光情報ポータルサイト」より)

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この「お船」、それ以前はどうなっていたのかは分からないが、江戸時代の享保年間より逐次作られ、天保年間には現在の9町会の「お船」すべてが出揃ったという。各町会の氏子衆たちが五穀豊穣・子孫繁栄等それぞれの願いをこめて年に一回、それぞれ自慢の絢爛豪華な9艘の「お船」を、須々岐水神社に向かい勇壮に曳き回すのである。立川流の作者の銘が刻まれた山車もあり、その技巧を凝らした意匠の見事さは長野県の県宝に指定されている。我が家がこの地に引っ越したのは、私が学生の時であったため、山車を曳くことはついぞなかったのは、今から考えても 残念でならない。そして、多くの「お船」が作られてから100年以上たっているため、彫刻がひび割れたり折れたりしているほか、車輪が傾くなどお船の損傷が全体的に激しくなっているという。しかし、修理には多額の費用がかかり、各々の町会でその費用を工面することが出来ないため修理を行えない状況にあるが、ある町会は修理に踏み切ると地元ローカル紙の「市民タイムス」が報じていた。この「地域の宝」をずっと守っていって欲しいと願わざるを得ない。この須々岐水神社のように、一つの神社で「山の民」と「海の民」両方の系譜に連なる祭りを行っている神社は珍しいのではないかと思っている。


1996年12月、33歳という若さで、癌によって急死してしまった「エヴァ・キャシディ/Eva Cassidy」。(参照「夭折のミューズたち~盂蘭盆に偲ぶ~」 )生前たった4枚しかアルバムを残さなかった彼女がそのワシントンDCのJAZZクラブ「Blues Alley」でのライブの中で「子供の頃よく両親が聴かせてくれた歌」と紹介して歌った、「Tall Trees in Georgia」が、私の耳に残っている「木」の歌。

Live at Blues Alley

Eva Cassidy Eva Music



季節外れですが、聴いてみますか? 「Blues Alley」でエヴァが歌う鳥肌ものの「Autumn Leaves」を。


by knakano0311 | 2010-05-14 09:14 | ふるさとは遠くにありて・・・ | Trackback | Comments(0)
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