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大屋地爵士のJAZZYな生活

60歳過ぎたら聴きたい歌(61) ~ The Windmills Of Your Mind ~

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この間までのあの気候はどこへやら、すこし蒸し暑くなってきましたね。こんな時は「海岸の波打ち際をドライブしてみたい」なんて思いに駆られます。実際にドライブできるところがあります。2、3年ほど前に能登半島を訪れたとき、波が打ち寄せる砂浜を延々と8kmほどにわたってドライブをしたことがあります。羽咋市の近く、「千里浜なぎさドライブウェイ」です。この海岸は、細かい砂が海水を含んで程よく締まり、本当に波打ち際のドライブが普通の自家用車で楽しめるのです。このように車で走ることができる砂浜は世界でも珍しく、この千里浜以外には、米フロリダ州とニュージーランドの3ヵ所しかないそうです。晩秋の曇天の日でしたが、殆ど車のいない砂浜を自由自在に走りながら、かってみた映画「華麗なる賭け/The Thomas Crown Affair (1968)」を思い出していました。そう、「スティーヴ・マックイーン」と「フェイ・ダナウェイ」がサンドバギーに乗って砂浜を駆けるシーンです。

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「ノーマン・ジュイソン」監督の犯罪サスペンスの傑作「華麗なる賭け」。ボストンの市中銀行を白昼襲撃するという「スティーヴ・マックィーン」主演による犯罪アクション映画。「拳銃無宿」、「大脱走」、「ブリッド」などと違った都会的なクールな面を見せてくれた「スティーヴ・マックィーン」。その憧れる格好よさは、「ポール・ニューマン」と或る種共通するタイプで、青春の夢やエネルギーを共感出来るあの時代を代表する「スター」であった。日本での公開は1968年、主題歌「風のささやき」はその年のアカデミー主題歌賞を受賞。

全編の要所要所で繰り返されますが、冒頭から斬新なモザイク状のマルチ・スクリーンで始まり、画面にスピード感、華やかさを与える一方で小気味良いテンポで映画を引き締めている。リメイクではなく、今一度観たかった映画の一つだが、やっと最近DVD化がかなった。

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さて本題ですが、私にはレコード会社には内緒にしている「音楽的持病」があります。かってに「特定の歌衝動買い症候群」と名づけているのだが、症状は、ある特定の歌に対する思い入れが強く、その歌が入っているCDを見つけると、歌手が誰であろうとお構い無しに、すかさずCDを買ってしまうという家計を預かる妻にとっては、まことに忌々しき病。年金生活になった最近は、さすがに症状は出なくなったので完治したのであろう。

発症の引き金になる曲は、「Comes Love」、「Close Your Eyes」、「I'll Wait For You」、「I'm A Fool To Want You」 ・・・ などですが、その一つが「風のささやき/The Windmills Of Your Mind」なのです。就職も決まって、4年間過ごした街を離れることも分かっていた大学4年生のときに観た映画で、いまでもすこし感傷的な思いをひきずった映画です。それにはすこし哲学的で、美しい歌詞とメロディを持つ、主題歌「風のささやき /The Windmills Of Your Mind」の存在が大きいようです。作曲は「ミシェル・ルグラン」、その曲に「アラン&マリリン・バーグマン」夫妻が英詩をつけ、イギリスの名優「レックス・ハリソン/Sir Rex Harrison 」の息子の「ノエル・ハリソン」が歌った。

 【 The Windmills Of Your Mind (風のささやき) 】
                      作詞 アラン&マリリン・バーグマン 作曲 ミシェル・ルグラン

「♪ Round, like a circle in a spiral      廻る、螺旋の中の円のように
   Like a wheel within a wheel.      車輪の中の円のように
   Never ending or beginning,        終わりも始まりもなく
   On an ever spinning wheel        廻る車輪の上で
   Like a snowball down a mountain   山の斜面を転げ落ちる雪球のように
   Or a carnaval balloon            あるいは、カーニバルの風船のように
   Like a carousell that's turning      廻り続ける回転木馬のように
   Running rings around the moon    月の回りをぐるぐる廻る
 
   Like a clock whose hands are sweeping  手でぐるぐる廻す時計の針のように
   Past the minutes on it's face         文字盤の上でどんどん時は過ぎていく
   And the world is like an apple        そして世界はひとつの林檎のように
   Whirling silently in space            静かに宇宙で廻っている
   Like the circles that you find        まるであなたが心の中に見つけた
   In the windmills of your mind        風車が描く円軌道のように
 
   Like a tunnel that you follow        出口の見えない堂々巡りの
   To a tunnel of it's own             トンネルのように
   Down a hollow to a cavern         洞穴へ降りてゆくと
   Where the sun has never shone     そこは決して日が差し込まない場所
   Like a door that keeps revolving     もう忘れかけた忘れられた夢の中で
   In a half forgotten dream           廻り続ける回転ドアのように
   Or the ripples from a pebble         誰かが小川に小石を投げて生じた
   Someone tosses in a stream.        さざなみのように
  
   Keys that jingle in your pocket      ポケットの中でジャラジャラしている鍵束
   Words that jangle your head       頭の中で鳴っている言葉たち
   Why did summer go so quickly      どうして夏は足早く通り過ぎてしまったのか
   Was it something that I said       わたしが言ったことが何か問題だったのか
   Lovers walking allong the shore,     渚を並んで歩く恋人達
   Leave their footprints in the sand    砂に残されたその足跡
   Was the sound of distant drumming   彼方から聞こえてくるドラムの響き
   Just the fingers of your hand        あなたの手が鳴らしているのか
   
   Pictures hanging in a hallway       廊下に掛けられた何枚かの絵
   And the fragment of this song       そしてこの歌のかけら
   Half remembered names and faces    うろ覚えの名前や顔の数々
   But to whom do they belong        それらは一体誰のものなんだろう
   When you knew that it was over    すべて終わったとあなたが知ったとき
   Were you suddenly aware         突然のようにあなたは気付くに違いない      
   That the autumn leaves were turning  秋の葉の色が
   To the color of her hair             彼女の髪の色に変わりつつあったことを

   Like a circle in a spiral           螺旋の中の円のように  
   Like a wheel within a wheel      車輪の中の円のように
   Never ending or beginning,       終わりも始まりもなく
   On an ever spinning wheel       廻る車輪の上で
   As the images unwind           イメージが巻き戻されるにつれて

   Like the circle that you find       あなたが心の中に見つけた
   In the windmills of your mind      風車が描く円軌道のように    ♪」
 
 
観てみますか? 映画「華麗なる賭け」、グライダーの風きり音が新鮮に響いたあのシーンを思い出して。





数多くの歌手にカバーされているこの曲、私が聴き惚れるイチオシは、「Carla Helmbrecht/カーラ・ヘルムブレヒト」の「Be Cool Be Kind」に収録されているバージョン。日本でも殆どなじみのない女性JAZZボーカルですが、Amazonからのオススメで手に入れた一枚。ウィスコンシン州出身で、このアルバムは2001年発表されたが、グラミー賞3部門にノミネートされたことから分かるように実力派。おとなの女の魅力にあふれる本格派といえる。寡作で、私の知るかぎり、このほかデビュー・アルバム「One For My Baby」、日本人アーティストとコラボした「Here's To Love」の3枚のみ。もっと評価されてもいい歌手。

Be Cool Be Kind
Carla Helmbrecht / Heart Music
ISBN : B0000560GJ

 
 
 
by knakano0311 | 2010-06-08 09:20 | 60歳過ぎたら聴きたい歌 | Comments(0)
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