大屋地爵士のJAZZYな生活

ふるさとエレジー(3) ~苦悩する地方出版社~

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実家でTVを見ていたら、長野県にある地方出版社が経営の危機に喘いでいるというニュースを特集で報じていた。信州を出て、他県に移り住んでみれば分かることなのだが、長野県には、地方出版社、いわゆる郷土の出版社が結構多いように思う。その出版されるカテゴリーも、街角の本屋さんをのぞいてみればすぐ分かるが、観光、山岳、自然、歴史、民俗学、考古学、民話 ・・・・ など多岐にわたっていて、実家にも相当数、我が家にも何冊かそんな郷土の出版社の本がある。「信州人は本好き」とよく言われるが、そんなことも関係しているのかもしれない。そして長野県は「岩波茂雄」(岩波書店創業者)、「古田晁」(筑摩書房創業者)、「大和岩雄」(大和書房・青春出版社創業者)などの有名出版社の創業者を輩出している事でも知られている。

2005年、長野県には、30社ほどの地方出版社があったが、2010年には25社に減ってしまったという。原因は「本離れ」による地方の書店、本屋さんの衰退、廃業が大きいという。確かに中央の出版社のように流通NETを持っていないので、本屋さんの廃業は経営を直撃するのであろう。残った出版社も深刻な経営危機に見舞われているという。しかし、番組ではそんな中で、新しい販路や、インターネットや情報NETによる流通sys、i-Padのような電子書籍を模索する出版社の試みを紹介し、希望をつなげていたのが印象的であった。
 
確かに大手出版社の殆どは東京に存在し、強力な流通NETを持っている。極端に言ってしまえば、すべての情報は東京に集中しているといってもいい。しかし逆に、衣・食・住など人の生活基盤を支えているリアリティは地方、田舎にあるのである。「おいしいリンゴは全国のどこにあるか」という情報は東京にあるが、「おいしいリンゴそのもの」や「そのリンゴはどうおいしいのか」、「どうつくられているのか」という情報は田舎にあるのである。インターネットや情報NETの進展によって、読者の興味、知的好奇心とそれを満たしてくれる地方発の現場やその情報がダイレクトにうまくマッチングすれば、まだまだ地方出版社にも生き残っていく術は十分ありそうにも思われる。

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情報技術の進歩が、ワープロ、編集、印刷など書き手や出版社側のあり様を変えてきたように、今後は情報検索、本の電子配信、NETショップ ・・・ などが、著者、出版社と読者とをダイレクトに結んで、革新的にその関係を変化させてしまうのではなかろうか。これは、通販やB to Cと同じように、地方の出版社や無名の著者達にもチャンスであるに違いないと思うのだが。


今年創業70年を迎えるという筑摩書房。その雑誌「展望」の編集長であった「臼井吉見」の著作に「安曇野」全五巻がある。「信州・安曇野に吹き起こる新風-”新しい女”相馬黒光とその夫愛蔵、先駆的思想家木下尚江、クリスチャン井口喜源治、天才彫刻家荻原守衛ら新文化創造の鋭気漲る明治30年代から昭和にいたるまでの人と社会を描く大河小説」。我が母校の先輩たちが実名で登場する大河小説であるが、その膨大な量に圧倒され、読むという気力が湧かなかったが、偉大なる先輩達に敬意を表し、意を決して読もうと思う。

安曇野 全5巻セット限定復刊

臼井 吉見 / 筑摩書房




ところで、「春は名のみの風の寒さや ・・・ 」という「吉丸一昌」作詞、「中田 章」作曲の「早春賦」という歌をご存知でしょう。この詩は、「安曇野」の早春の風景を詠んだものらしく、春の訪れを待ちわびる安曇野の人達の心が描かれている。長野県南安曇郡穂高町(現在、安曇野市)穂高川の右岸に、歌碑が建立され、毎年4月29日には「早春賦祭」が開催され、この歌が献歌されている。(参照拙ブログ「早春賦」

少し季節外れですが、観てみますか?春の季節の「早春賦」の歌碑を。かすかに聞こえるオルゴールが「早春賦」のメロディを奏でている。この暑さ、一服の涼にでもなれば ・・・ 。

          

そして聴いてみますか? 「早春賦」。 もちろんエレジーではないが、多分日本人ならだれでも小学校で歌ったことがあり、誰の心にも感動を呼び起こす日本の故郷の歌、そしてわが故郷の歌。

          
 
 
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by knakano0311 | 2010-08-05 11:24 | ふるさとは遠くにありて・・・ | Trackback | Comments(0)
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