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大屋地爵士のJAZZYな生活

蕎麦屋でっせ ・・・ 

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前回、信州生まれが故、私のソウル・フードは蕎麦であることを書いたが、今回はその続編。

関西の会社に入社して10年ぐらい経ったころから、「何が何でも蕎麦一辺倒」の私がちょっと変わってきたのである。会社の社員食堂の蕎麦に、いまいちなじめない私が、何気なく食べたのが、それまで社食では食べたことのなかった「きつねうどん」。当時の値段は覚えていないが、2006年の退職時でもそれは160円であったから、相当安い値段であったろう。 これが意外や意外、結構美味かったのである。大阪は「粉もんの街」。お好み焼き、たこ焼きの店は、どこの駅前、商店街にも必ずあって、これがまず当たり外れなく美味いのである。それと同じく「うどん」もそうであることに気がついたのだ。入社10年といえば、関西の薄味にちょうど馴染んできたころである。もちろん、蕎麦優位であることには今も変わりはないが、鰹出汁に、腰のしっかりした太目の麺、大きな油揚げが一枚。うどんも好物のリストに加わったのである。それからは、「きつね!」 と頼むことも多くなっていった。「うどん」、まさに大阪庶民の味。私が知っている限り、「蕎麦屋」のように、一部の通だけを相手にするような、妙に高級ぶった店は皆無であるのもうれしい。 

ところで、関西(大阪?)で「きつね」といえば「きつねうどん」、「たぬき」といえば「たぬきそば」のことであり、麺の違いだけで、いずれも油揚げがのっている。そして、関西には、「きつねそば」や「たぬきうどん」は存在しないのである。こと「うどん・蕎麦」に関していえば、ここが「たぬきうどん」と「きつねそば」が存在する関東とは決定的に違うのである。このことは結構有名で、そのいわれについても諸説あるようである。関西でも京都はまた別格で京都には奥深い京都の食文化が、うどん・蕎麦に関してもあるようだ。

そう、冒頭の写真は近所の蕎麦屋の店先。「うどん屋ではおまへん、蕎麦屋でっせ」という店主の多分しゃれなのであろう。

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それと、関西では、いろんな地方の郷土色豊かな「うどん」が食べられることも大きな魅力のひとつ。何年か前に家の近くに店ができたため、大好物のひとつになった四国を代表する「讃岐うどん」。そして、秋田の「稲庭うどん」、これはもう、うどんといっていい「沖縄そば」。うどんと一緒にすると名古屋の人に怒られそうだが、平麺の食感が魅力の「名古屋きしめん」。真冬、新幹線を待つ間、名古屋駅でよく啜ったものである。冬といえば、「カレーうどん」は外せない。これが旨い店も枚挙にいとわず、専門のグルメ本もあるくらいである。「釜揚げ」もはずせないうどんのひとつ。

そして、「ささめうどん」。写真は、近くの能勢街道、池田にある、創業元治元年(1864年)のうどん屋さん「吾妻(あづま)」。ここの名物の「ささめうどん」がめっぽう美味いのだ。細めのうどんに刻んだ油揚げとあんかけ。冬の寒い日に体を温めるには最高。その昔も街道を行き来する旅人たちの疲れや飢えを癒したのであろう。

さて、毎週、欠かさず見ている関西ローカルの人気番組に高視聴率、長寿を誇る「探偵ナイトスクープ」(朝日放送制作)という番組がある。「きつね」と「たぬき」の話に戻るが、かって関西の「きつねうどん&たぬきそば」文化は地理的にどこまで及んでいるのかということを、この番組で調べたことがある。その結果、記憶は定かでないが、岐阜・養老あたりがその境界線だったような気がする。その「探偵ナイトスクープ」が調べた同種の「大阪アホvs東京バカ、境界線はどこ?」という「全国アホ・バカ分布」言葉調査。下手なミステリーなどより面白いこと請け合いである。

全国アホ・バカ分布考―はるかなる言葉の旅路 (新潮文庫)

松本 修 / 新潮社



ラーメンなら「伊丹十三」監督「たんぽぽ」、うどんなら「本広克行」監督「UDON」という薀蓄(うんちく)的傑作映画があるが、これほど蕎麦について薀蓄を語る人が多い中で、蕎麦を主題にした映画を、いまだ私は寡聞にして知らないのだが ・・・ 。

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うどん、そばに限らず、関西・関東で食文化にはいくつか違いがある。太刀魚、鱧(はも)、サゴシなどを食することは関西に来て初めて知ったし、雑煮、すき焼きの割り下、うなぎの焼き方など関西・関東での違いに驚きもし、感心したこともある。妻も関東出身であるが、そんな東西カルチャーの違いを快く受け止め、楽しんでいる。

さあ、東西にちなんで、「East Of The Sun (And West Of The Moon)」。1943年、ブルックス・バウマン作詞作曲のスタンダード。「太陽の東では蕎麦を、月の西でうどんを食べましょう」という歌ではありません。「太陽の東、月の西に夢の家を建てて、昼は太陽に近く、夜は月に近く、愛と月光に包まれながら、心地よい生活をしよう。 ・・・」などという日本語で書くと歯の浮くようなラブソング。わが心のJAZZミューズの二人、「ステイシー・ケント/Stacey Kent 」と「ダイアナ・クラール/Diana Krall」が歌う。

Love Is... The Tender Trap
Stacey Kent / Chiaroscuro
ISBN : B000027W89


ホエン・アイ・ルック・イン・ユア・アイズ

ダイアナ・クラール / ユニバーサル ミュージック クラシック



それでは「Diana Krall/East Of The Sun (And West Of The Moon)」。

          
 
 
by knakano0311 | 2010-09-14 09:32 | 音楽的生活 | Comments(0)
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