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大屋地爵士のJAZZYな生活

街角の音楽家たち

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わが街の主要駅の駅前広場。季節がよくなったためか、ストリート・ミュージシャン達を多く見かけるようになったなった。駅や市が追い出したりすることもなく、もう街の風景の一部となっているようだ。どういうわけか日本全国の駅前広場などで見かける「コンドルは飛ぶ」などのフォルクローレをケーナで演奏する南米人のグループはもちろん、ギターを抱えたシンガー・ソングライター系の若者が多いのが特徴である。「トイレの神様」を歌っている地元出身の「植村花菜」も、デビュー前はここでよく歌ったとインタビューで語っていた。

そして、JR環状線、大阪城公園駅から大阪城ホールにいたるプロムナードは、歌手を目指す新人の登竜門となっているという。このホールにコンサートに出かけた時などは決まって、いくつものグループを見かけた。確か、「コブクロ」、「ポルノグラフィティ」、「馬場俊英」などもここからのスタートではなかったろうか。うれしいことに、若いミュージシャンを支え、育ててやろうと思う人たちがたくさんいるのである。関西地区だけでなく日本全国で、このような多くのストリート・ミュージシャンが明日を夢見て演奏しているのだろうが、彼らもすっかり街の風景として定着しているのかも知れない。

パリのミュゼットやジプシー音楽の演奏家たち、バルセロナのギタリストたち、ニューヨーク・セントラル・パークのJAZZマン、ミュンヘンのアコーデオン演奏家、サンフランシスコのロック・バンド、ニュー・オリンズのデキシー・バンド ・・・ 、みんなストリート・ミュージシャン、世界の街角でであった音楽家たち。それぞれの街角に溶け込んで、彼らは絵の一部になっていた。

今日、駅前で見かけたグループは、バイオリン、チェロ、キーボードというストリート・ミュージシャンでは大変珍しいといっていい、トリオ編成のグループ。しかも、それがすごく上手いのだ。明らかにクラシック畑の、それもきちんと高度の音楽教育を受けた若い演奏家のグループと思われる。はたして、想像通り「Luft Musica/ルフト・ムジカ」という音大OB達で結成されたアンサンブル・ユニットであった。「Luft」というのは、ドイツ語で「空、空気、エア」という意味であるので、「青空の下の音楽」というような意味でつけられたユニット名であろう。まさに路上、ストリートで演奏するのにふさわしい名前だ。どうも、楽器の個人レッスン、結婚式、レストラン、パーティ、イベントなどでの演奏を生業としているようで、そのためのPRデモ演奏のようであった。美大生も大変なようであるが、音大生も同じように大変みたいだ。景気の低迷、文化行政の底の浅さなどが、こんなことに垣間見える。

そのユニット、「Luft Musica」が演奏していた曲のひとつが「リベルタンゴ」であった。作曲者は「ピアソラ」。世界的に有名なチェロ奏者の「ヨーヨー・マ」が演奏し、一躍世界的に有名になった曲である。ジャズはもとより、あらゆるジャンルの音楽家がカバーしている曲でもある。

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「アストル・ピアソラ/Astor Piazzolla」(1921年3月11日 - 1992年7月4日)はアルゼンチンの作曲家でバンドネオン奏者。タンゴをベースにクラシック、ジャズの要素を融合させた独自の音楽を産み出したことで知られている。この「リベルタンゴ/Libertango」という曲は、1974年イタリアで発表された。「Libertango」という単語は、「自由/libertad」と「タンゴ/tango」と合わせて作った造語である。私は聴いたことがないが、「オラシオ・フェレール/Horacio Ferrer」作詞の歌詞がついているという。軍の政治的影響の強くなった祖国アルゼンチンを嫌ったためか、70年代の半ば以降、「ピアソラ」はイタリア・ミラノを中心に、ロックやジャズ、フュージョンの影響を受け、新たなタンゴの形を模索していた。そんな模索の中から生まれた曲が、「リベルタンゴ(自由のタンゴ)」である。そんなイタリア時代、1974~79年に録音された5枚の作品からのベスト盤がアルバム「リベルタンゴ」。

リベルタンゴ

アストル・ピアソラ / キングレコード



「ピアソラ」が演奏しているオリジナルの「リベルタンゴ」。 やはり、タンゴは官能だ。  

          

そして、尋常ならざる「タンゴ」を奏でる「ピアソラ」の傑作アルバムは「タンゴ:ゼロ・アワー/Tango:Zero Hour」。「これは紛れもなく、私がこれまでの人生で作り得た最高のレコードである。我々はこのレコードに魂を捧げた。」とピアソラ自身が語っている生涯の傑作といわれる。

Tango:Zero Hour

アストル・ピアソラ / ewe records




 
 
by knakano0311 | 2010-10-20 00:31 | 音楽的生活 | Comments(0)
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