先日このブログで、「ハンク・ジョーンズ/Henry "Hank" Jones」亡き後の21世紀における「ビ・バップ」のタイム・カプセル的な存在は、「バリー・ハリス/Barry Harris」一人になってしまったと書いたが、もう一人いるのを忘れていた。「ジュニア・マンス/Junior Mance」である。昔から好きなピアニストであったが、ブルージーで若々しいタッチのブルース弾きということ、「ジュニア」という名前から、もっと若いと勝手に思っていたが、1928年10月生まれ、なんと82歳だということを、最近知った。
「バリー・ハリス/Barry Harris」が、1929年生まれの81歳、「ジーン・ディノヴィ/Gene DiNovi」が1928年5月生まれの82歳であるから、彼らと並ぶ、現役最長老ピアニストの一人である。そんな長いキャリアをもつ彼が、初めてのソロ・ピアノ・アルバムをリリースしたので、はじめて彼の年に気がついたのである。アルバム「ジュニア・マンスの世界」。得意とするブルースはもちろん、叙情的なバラードまでとても82歳の爺さんの弾くピアノとは思われない。
ジュニア・マンスの世界
ジュニア・マンス / キングレコード
ハーレムのブルース、黒人音楽の感触を色濃く残しながら、今のNYに生きるソウルフルなJAZZを感じさせる「ジュニア・マンス・トリオ」が好きである。「ジュニア」と呼ばれたのは父親もピアニストだったためで、たしか、「綾戸智恵」がニューヨークで暮らしていたとき、彼と親交があり、一緒に音楽活動もしたこともあったらしく、帰国してから彼が有名なJAZZピアニストであることを初めて知ったと語っていたことを思い出した。そんな綾戸が最近リリースしたアルバムが、「綾戸智恵 meets JUNIOR MANCE 」。彼女が、本格デビュー前の1996年に「ジュニア・マンス」とニューヨークで録音された幻の自主制作盤を今年の「東京ジャズフェス」などでの「ジュニア・マンス」との再会・共演記念盤としてデジタル・リマスタリング盤である。
ONLY YOU
綾戸智恵 meets JUNIOR MANCE / ewe records
しかし、私のなんといってもお気に入りは、この2枚。「グルーヴィン・ブルース/Groovin' Blues」と「ソウル・アイズ/Soul Eyes」。
「エリック・アレキサンダー/Eric Alexander」の泣かせのサックスにマンスのピアノが絡み、ブルースのパッションは最高潮に。「グルーヴィン・ブルース」、ブルース好きにお薦めの一枚である。
グルーヴィン・ブルース
ジュニア・マンス・トリオ&エリック・アレキサンダー / エム アンド アイ カンパニー
「ソウル・アイズ」。マル・ウォルドロンのタイトル曲をはじめ、ブルースの名曲「ストーミー・マンデイ」などスタンダードをブルージーに、それでいて都会的感覚に満ちたいぶし銀のような演奏で聴かせる佳品。
ソウル・アイズ
ジュニア・マンス・トリオ/エム アンド アイ カンパニー
ピアノ・ソロ・アルバム、
「ジュニア・マンスの世界」から、「Georgia on my mind」。