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大屋地爵士のJAZZYな生活

ジプシー・スウィングの夜

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  (写真右;ジャンゴ・ラインハルト)

久しぶりのJAZZコンサートは、ジャンゴの再来とまで言われた「ストーケロ・ローゼンバーグ/Stochelo Rosenberg」の「ジプシー・スウィング・ナイト」。「ジプシー・スウィング/gypsy swing」とは、「マヌーシュ・スウィング/manouche swing」とも呼ばれ、1930年代のフランスで、ジプシーの伝統音楽と、フランス領であったアメリカ・ニューオリンズから1910年代末頃にやってきた、スウィング・ジャズとがミックスして産まれた新しい音楽。そして、それを生み出したのが、天才ギタリスト「ジャンゴ・ラインハルト/Django Reinhardt」なのである。アップテンポのリズム、哀愁と情熱のメロディ、パリで花開いたこの音楽は、「ジプシー・スウィング」というJAZZの一ジャンルともなり、アメリカンJAZZとは別に、現在も根強い人気を保っていて、特に最近は女性にもかなり人気だそうです。MJQがラインハルトに捧げた曲に「ジャンゴ/Django」という有名な曲があり、「ジプシー・スウィング」を映画音楽として取り入れた映画には、「ショコラ」、「ギター弾きの恋」、「僕のスウイング」などがあります。こんなところにも人気の一因がありそうです。今年は「ジャンゴ・ラインハルト」生誕100周年。彼については以前このブログにも書きましたね。「ジャンゴ・ラインハルト~非アメリカ的なるもの~」参照) ヨーロッパには、アメリカとは違うもうひとつのJAZZ史があるのです。

その「ジャンゴ・ラインハルト」の演奏をちょっとだけ聴いてみましょうか。曲は映画「ショコラ」で「ジョニー・デップ」が弾いていたジャンゴの代表曲「マイナー・スウィング/Minor Swing」。

          

独自の歴史をたどって誕生し、独自の歴史・美学・手法によって進化し、今隆盛を極めているヨーロッパ・ジャズ。アメリカではハード・バップ全盛期、まだ日本では誰もが注目しなかった1960年代のヨーロッパ・ジャズの黄金時代に目をむけ、評価・評論をした先達がいる。「星野秋男」氏、まず先達の炯眼に敬意を表したい。紹介されているのは、私は殆ど知らないミュージシャンばかりであるが、1950~60年代に花開いたヨーロッパJAZZを俯瞰する上での好著といえる。私のヨーロッパ・ジャズ歴など1990年代の「Europian Jazz Trio(EJT)」に始まるのだから、たかが知れているのだ。
   

ヨーロッパ・ジャズ黄金時代

星野秋男 / 青土社



さて、今回のコンサート、「ストーケロ・ローゼンバーグ」が通常率いるのは、「ザ・ローゼンバーグ・トリオ/The Rosenberg Trio」。今回率いてきたのは別プロジェクトの「ストーケロ・ローゼンバーグ・トリオ」。リズム・ギターが一番下の弟の「モゼス・ローゼンバーグ/Mozes Rosenberg」、ベースが従兄弟の「サニ・ヴァン・ミュラン/Sani Van Mullem」というファミリー・メンバーで、2台のギターとベースという「ジプシー・スウィング」ではもっともシンプルなバンド構成は同じである。

いや、すごいステージでした。すさまじい速弾きが繰り出す白熱のスウィングと迫力。「マカフェリ・ギター」の美妙な音色が奏でる哀愁。ラインハルトやパーカーの曲など休憩なしのノンストップの2時間、18曲(含むアンコール)であった。観客はいつものJAZZコンサートと違って、若い人や女性が目立ったが、観客沸騰の2時間であった。

【演奏曲目】
1.マイナー・ブルース 2.サニー 3.ウェブスター 4.ヌアージュ 5.レディ・ン・エイブル 6.ダブル・ジュー 7.身も心も 8.ブルー・ボッサ 9.リラクシン・アット・カマリロ 10.メロディ・オ・クレプスキュール 11.アイ・ウィッシュ 12.ストレンジ・アイズ 13.ヘヴィ・アーティラリー 14.イッツ・オール・ライト・ウィズ・ミー 15.フラミンゴ 16.スペイン [アンコール] 17.黒い瞳 18.マイナー・スウィング

手元に何枚かあるCDから2枚ほどおすすめするとともに、演奏のYOUTUBEも紹介しておきましょう。最初の「ジミー・スミス/Jimmy Smith」の曲をタイトルにしたアルバム「レディ・ン・エイブル/Ready'n Able」は今回のメンバーによる演奏。2枚目は「ルイス・ヴァン・ダイク」と「ザ・ローゼンベルグ・トリオ」の共演ライブ。

レディ・ン・エイブル

ストーシェロ・ローゼンバーグ / プランクトン



ライヴ

ルイス・ヴァン・ダイク・アンド・ザ・ローゼンベルグ・トリオガッツプロダクション



「ベンチャーズ」も影響を受けたといわれる「ジプシー・スウィング」スタイルの「キャラバン/Caravan」。ホットな速弾きと弾けるリズム、まさに「ジプシー・スウィング」の魅力。2008年2月、ベオグラードの「Guitar Art Festival」でのライブ。「Rosenberg Trio - Caravan (D. Elington)」
 
          

あの「サンタナ/SANTANA」の哀愁の名曲「Moonflower」を、「アン・バートン/Ann Burton」の歌伴でも知られている同じオランダ出身のジャズ・ピアニスト「ルイス・ヴァン・ダイク/Louis Van Dijk」との共演ライブのCDから。「Moonflower-Louis Van Dijk&The Rosenberg Trio」

          
by knakano0311 | 2010-11-19 09:14 | 音楽的生活 | Comments(0)
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