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大屋地爵士のJAZZYな生活

映画「ふたたび Swing Me Again」を観て

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「ふたたび Swing Me Again」という神戸が舞台の映画を観ました。久しぶりに映画館で涙してしまった。ハンセン病という重いテーマを扱った映画ですが、「塩屋俊」監督は日本のJAZZ発祥の地で、あの震災を乗り越えた神戸の町と主人公の健三郎や家族、仲間たちの再生を同調させた物語にしたいという思いが強くあったようで、その思いは十分に描かれていたと思う。

50年ぶりに仲間と再会するための旅に出た元ジャズ・トランぺッターと孫との姿を、往年のジャズナンバーと共に描くロードムービー。主人公を、俳優でコメディアンでもあるベテランの「財津一郎」が演じ、「犬塚弘」や「藤村俊二」、「佐川満男」など音楽と関係の深いキャリアのある俳優たちが主人公のジャズ仲間を演じるほか、ミュージシャンの渡辺貞夫も友情出演。ハンセン病の療養所を50年ぶりに退院した健三郎(財津一郎)を迎えた貴島家。大学生でJAZZ研の大翔(ヒロト)(鈴木亮平)には、祖父が生きていたことは初耳だった。しかも、その健三郎が幻のジャズバンド「COOL JAZZ QUINTETTE」のトランぺッターだったことを知る。ある日、「バンド仲間探しの旅に出る」と言い出した健三郎に、大翔は付いていくことになった。友情や家族とのきずな、愛など、人生で大事なものに今一度向き合う主人公の姿が胸に迫る。

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神戸の地を舞台にしたこの映画には、私の知っているいくつかの場所がロケ地として登場したため、私にとっても格別な思いの映画になった。先日、紅葉を見に行ったばかりの京都府南丹市美山町のかやぶきの里、昔子ども達と夏に遊んだ和歌山県・白浜町の海岸、西宮市大手前大学キャンパス、日ごろ街ブラで親しんでいる神戸ハーバーランドやメリケン波止場、それに元町や三宮界隈 など ・・・。そして、昔一度だけ行ったことのある三宮・北野坂に実在する老舗のJAZZクラブ「ソネ(SONE)」。このクラブはストーリーに重要なウェイトを占めているが、映画にもチラッと出ていた名物オーナーの曽根桂子さんはこの映画の公開を待たずに8月に亡くなってしまった。

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それにしても、主人公・健三郎を演じた「財津一郎」の渾身の演技、光っていました。遺作のつもりで取り組んだそうである。彼はトランペットは吹けないのですが、健三郎の心の闇や慟哭を、そこに居るだけで表現できる存在感を持ち、しかもJAZZのスイング感を体現できる役者は彼しか居ないと監督は決めていたそうだ。バンドのメンバーの顔ぶれも演技もすごい。ベースは最近、「植木等」に続いて「谷啓」を亡くしたばかりの「犬塚弘」、トロンボーンは確かJAZZレストランのオーナーだったと思うが、「おひょい」こと「藤村俊二」、ドラムはかって歌手であった「佐川満男」。いずれも、老いの悲しみや存在感、それに何にもましてJAZZを体現できるキャスティングであったと思う。そして、渡辺貞夫も友情出演。

多分今年、私のイチオシの映画で、最高の「じじ映画」となる深い感動を呼び起こした映画であった。それでは、YOUTUBEにアップされていた「ふたたび」の予告編
をちょっとだけ観てみましょうか。

          


予告編の冒頭で、そして映画の重要場面に流れる、伝説のJAZZバンド「クール・ジャズ・クインテット」の哀愁あふれる軽快なテーマ曲に惹かれ、思わずオリジナル・サウンド・トラックのCDをシネマのショップで買ってしまったその曲は、「Alive Again」という曲でした。

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映画 ふたたび オリジナルサウンドトラック

サントラ / Dreamusic




そして、私は読んでいませんが、この映画には原作本があります。映画では健三郎の家族やJAZZ仲間の復活・再生にテーマをおいて描かれているが、原作本では、かって健三郎の恋人であったが、彼の子供を生んだ後、非業の死を遂げた百合子の終焉の地や墓探しの旅という、ひょっとしたらJAZZとは関係ないかもしれないストーリーになっているようである。「矢城潤一」著、日本ラブストーリー大賞エンタテインメント特別賞受賞作品、しかしこちらも別の感動を得られそうである。

ふたたび swing me again (宝島社文庫)

矢城 潤一 / 宝島社



映画で健三郎が入所していたのは、香川県高松市に実在する国立療養所大島青松園である。この療養所で、2001年より毎年無料コンサートを開いている歌手がいる。このブログでも何回も取り上げている、私のご贔屓の歌手の一人、「沢知恵(さわ ともえ)」である。沢は東京・下北沢「ラカーニャ」にて行っているライブを4枚のシリーズ・アルバム「ライブ・アット・ラカーニャ春・夏・秋・冬」として今年発表したが、ぜひ一度ライブを聴いて見たいと思っている歌手の一人。おすすめのアルバムは、シンガーとしての彼女の魅力を満載したベスト・アルバム「シンガー」。ここに収録されている「さだ まさし」のカバー「風に立つライオン」、沖縄出身の男性三人組のロックバンド「MONGOL800」のカバー「小さな恋のうた」はいつ聴いても、私に感動を呼び起こすのだ。

シンガー

沢知恵 / コスモスレコーズ




 
by knakano0311 | 2010-11-26 09:52 | 観るJAZZ | Comments(0)
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