薪ストーブにやっと火が入りました。といっても我が家ではなく、私が山遊びのフィールドとしている里山公園の管理センターのストーブにです。この薪ストーブ、今年の春に設置したものの、今まで出番がなくやっと活躍の時期が来たという感じです。これから来年の春までの冬の季節、来園者の多い日曜日、祝日に、公園遊びのあと、体を暖めてもらおうと、始まった公園側の企画。それに、この里山公園でいつも遊ばせてもらっているお返しにと、我々ボランティアたちが協力しようと始めたものである。我々の仕事は、ストーブの火の番と、この公園で採った野草茶のサービス。夏の間に伐採した木を割って用意した大量の薪は、よく乾いているので、よく燃える。燃える勢いが強く、すぐに新たな薪を入れないといけないほどである。
「火」があると不思議なもので、すぐ人が集まってくる。子供連れ、孫連れ、カップル ・・・、みんな「あったかい、あったかい」と集まってきて、じっと燃える炎を見つめている。「薪は何の木?」、「どこから採ってくるの?」とかセンターに展示してある鳥の巣や動物の骨、里山などについて聞かれることもある。ちょっとした「炉辺談話」の雰囲気と語り部の気分。
この山で採取した、枇杷(びわ)の大きな葉を乾燥させた「枇杷茶」、ハーブ系の独特の香りがする「ラベンダー茶」、朝摘みの葉をポットに浸しただけの、私の好物でもある「黒もじ茶」、熟れたガマズミの赤い実をジャムにし、お湯に溶いて飲む「ガマズミ・ホット・ジュース」を大人たちも子どもたちも「美味しい」といって飲む。
こんなに喜んでもらえるなら、センター内にしつらえてある囲炉裏(いろり)でも、私たちが焼いた菊炭を熾し、抹茶でも楽しんでもらおうかという予定も立てているのである。熾(おき)を掻き出し、火の始末とストーブの掃除を終え、山を下る頃には、美しい夕焼けが空を染めていた。
来園者が少なかったら、炉辺で「i-Pod」を聴き、ミステリーでも読もうと準備万端していったが、なんのなんの忙しくてそれどころではなかった。きっと、冬の寒い夜、こんなストーブの脇で本を読んだり、子ども達に民話や童話を語ったりする生活にあこがれる人もいるでしょう。そんな方にこんな本はどうでしょうか。
「ドイツ炉辺ばなし集―カレンダーゲシヒテン」。 「カレンダーゲシヒテン」とは、19世紀はじめ、ドイツの一般農民にとっての情報源であった「暦本」に記載されていた「暦話」と呼ばれる短い教訓的なお話集。
ドイツ炉辺ばなし集―カレンダーゲシヒテン (ワイド版岩波文庫)
ヘーベル / 岩波書店
「柳田國男/遠野物語」。雪女、座敷童子(わらし)…。民間伝承の宝庫として有名な岩手県遠野地方に古くから伝わる伝説や昔話などを収集。わたしたちの忘れかけた怪異な世界の物語を、簡潔な美しい文章でつづった名著。
遠野物語 (集英社文庫)
柳田 国男 / 集英社
「炉辺」と聴いて、さっと頭に浮かぶ曲は、「♪ You'd be so nice to come home to/You'd be so nice
by the fire /While the breeze on high sang a lullaby ・・・ ♪」。そうあの有名なスタンダード、「コール・ポーター/Cole Porter」作詞・作曲の「You'd Be So Nice To Come Home To」です。JAZZミュージシャンなら誰でもきっと一度は手がけたのでしょう、それこそ山ほどのカバーがあるが、やっぱり「ヘレン・メリル/Helen Merrill」を聴かないことには収まらないでしょう。
去年80歳の高齢をおして「日本さよならラスト公演」を行った「ヘレン・メリル」。ステージはすこし痛々しかったが、囲むファンたちに投げキッスをして去っていった姿が目に焼きついている。(参照
「最後のため息 ~ヘレン・メリル ラスト・コンサート~」 ) 名盤「ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン」。
ヘレン・メリル・ウィズ・クリフォード・ブラウン
ヘレン・メリル / ユニバーサル ミュージック クラシック
きっとなつかしいと思われる方が多いでしょう、
「Helen Merrill with Clifford Brown / You'd Be So Nice To Come Home To 」 をどうぞ。