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大屋地爵士のJAZZYな生活

グラミー賞にノミネートされた日本人

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朝日新聞を見ると素晴らしい記事が目に飛び込んできた。自身がプロデュースしたアルバムが、今年の「第53回グラミー賞」にノミネートされた「渡辺敏雄」さん(64歳)を紹介している記事である。人気ロックグループ「B’z」の「松本孝弘」さんと並んで、フォークの一部門、ベスト・トラディショナル・フォーク・アルバム部門に選ばれたというのだ。まさに快挙である。「ブルーグラス/Bluegrass music」、私なんぞも、カントリー&ウェスタンと区別が付かないほどで、日本ではまだまだマイナーな音楽である。渡辺さんは、長い間このブルーグラスの国内普及に努めてきた人で、国内唯一のブルーグラス専門誌を発行する一方、来年40周年を迎える野外イベント「宝塚ブルーグラス・フェスティバル」の運営も手がけてきたという。今回グラミー賞で評価されたのは、2001年に亡くなったバンジョー奏者「ジョン・ハートフォード/John Hartford」の愛した音楽を詰め込んだアルバムである。

「Wikipedia」で調べてみたら、「ブルーグラス」はアメリカ音楽の一ジャンル。マンドリンやバンジョー、バイオリンを用いるのが特徴で、アイルランドやイギリスの伝承音楽が基になっており、アメリカ南部に入植したスコッチ・アイリッシュの間で広まったという。アップテンポの曲が多く、楽器には速弾きなどのアクロバティックな奏法が求められ、日本ではニューシネマ「俺たちに明日はない」のテーマに使われたBGバンド「フラット&スクラッグス/Flatt And Scruggs」がよく知られているという。そして、現在では、「チック・コリア/Chick Corea」や「ヨーヨー・マ/馬 友友、Yo-Yo Ma」らも巻き込んで、ジャズやクラシックの世界でもブルーグラスの楽器技術やアンサンブルが認められ、数多くのアーティストを輩出しているらしい。

これは「いい話」である。しかし、「大変な話」でもある。たとえが悪いかもしれないが、「津軽じょんがら三味線」にほれ込んだアメリカ人が、アメリカでその普及活動や、「じょんがら三味線フェスティバル」を40年も続け、「高橋竹山」などのCDを自主制作し、それが日本で認められ、日本レコード大賞の伝統芸能部門賞を受賞したようなものであるといえば、多少その大変さがお分かりいただけるだろうか。

好きな「ブルーグラス」一途に生涯を賭けてきた渡辺さん。そんな努力や彼の志の深さを、遠くアメリカで見落とさず、正しく評価して選出したグラミー賞選考委員の人たちの炯眼に敬意を表したい。まさに渡辺さんの一途な「音楽のチカラ」である。私と同じ歳、写真でみると実にいい顔をしている。

最近、音楽だけでなく、文学、映画、クラシックなどの分野でグローバルな舞台でその活躍が認められたり、賞を取ったりする日本人が多いように思う。元来、異文化に対しては融通無碍に許容し、自己の中に取り込んだ異文化を、さらに消化、洗練して発信するということは日本人の得意とするところ。TTPだとか第三の開国だとか、政治、経済、教育でも日本のグローバルな立ち位置やポジショニングが取りざたされているが、渡辺さん等の例を見ても、個のポテンシャルは十分にあるのだ。政治や企業が、その個のポテンシャルをどう引き出し、どう育て、どう発信していくかが問われているのである。

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最近観た秀作な映画(DVD)のひとつに「クレイジー・ハート/Crazy Heart」がある。落ちぶれたC&Wのシンガーソングライターの再生を描いた感動のドラマである。どん底にあえいでいても、先の短い老いた年齢であっても、誰でも人生を立て直すことができるという勇気と希望を与えてくれる作品。

監督・脚本・製作は「スコット・クーパー/Scott Cooper」、主演は、映画「恋のゆくえ ファビュラス・ベイカー・ボーイズ/The Fabulous Baker Boys」(1989)でもその音楽的才能を見せた「ジェフ・ブリッジス/Jeff Bridges」。この映画は、第82 回(2009)アカデミー賞で主演男優賞など2部門受賞ほか全世界29映画賞を受賞した。

かつて一世を風靡したシンガー、「バッド・ブレイク」は、今や落ち目のドサ周りを続ける生活。何度となく破綻をきたした結婚生活や果てしなく続くツアーに疲れ果て、アルコールにどっぷり浸かる毎日を送っていた。かつての弟子トミー・スウィートが、金と名声を得たスーパースターとなったことにも苦々しい思いがつのる。しかし、その日暮らしの生活を送る彼の前に、シングルマザーである記者のジーンと彼女の4歳の息子が現れる。財産も気力も失ったバッドは、彼と純粋に向き合う親子との触れ合いを通じて、彼の中に潜む“荒ぶる魂(クレイジー・ハート)”に少しずつ希望がわき上がるのを感じ始める……。

クレイジー・ハート [DVD]

20世紀フォックス・ホーム・エンターテイメント・ジャパン



入社したてのころ、C&W好きの友人に連れられて、神戸「大丸」ちかくにあったC&W、ブルーグラスを専門に聴かせる、たしか「ロスト・シティ」という名の店に何回か通ったことを覚えている。後年訪ねてみたが、震災の被害にあったのか、見つけることはできなかった。これは私のブルーグラスにまつわる小さなメモリー。

グラミー賞にノミネートされたCDはこれ、「メモリーズ・オブ・ジョン/Memories of John」。

Memories of John

John Hartford / Compass Records



私はまったくの門外漢であるが、「ブルーグラス」とはどんな音楽なのか?興味ある方は、ノミネート・アルバムのプロモーション・ビデオをどうぞ。「The John Hartford Stringband - Memories Of John」

          
 
 
 
by knakano0311 | 2011-02-01 09:22 | 音楽のチカラ | Comments(0)
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