青空に急にむくむくと湧いてきた積乱雲。にわかにかき曇り、大粒の雨が降ってきたが、すっとすぐにやんで太陽がまた顔を出した。瞬時のスコール的なにわか雨、夏のはしりを思わせる気温、空の色。もう夏が始まるのか。そして、去年の夏は本当に暑かったが、今年の夏もまた暑いのか ・・・ 。
政府は中部電力に対し、浜岡原発の全面停止を要請し、中部電力も受諾したというNEWS。賛否両論、評価する人、しない人。不足電力の確保、津波対策後は再開予定の是非、他の原発への検討、中部電力の経営への株主を含めての影響、地域雇用や自治体への税金・交付金など、解決すべき問題がすぐ頭に浮かぶ。しかし、それらへの菅総理の説明はなかった。昨日のニュースによると、事前に漏れると原発推進派の暗躍によってこの決定がつぶされるのを防ぐためだったという。これが政治的英断であったかどうかは後日の評価を待たねばならない。説明不足、拙速の感はあるにしろ、私は評価する。事が起こってからでは遅いのはもう十分解ったはずである。
一方で、自民党の原発推進派の議員達が、高まってきた「反原発」世論に対抗して、いままでの党内の経済産業部会、電源立地及び原子力等調査会、石油等資源・エネルギー調査会の三つを合体させた新しい政策会議「エネルギー政策合同会議」を発足させたという。委員長は元・経済産業相の甘利明氏、委員長代理には旧・通産省出身の細田博之・元官房長官、参与は東電元副社長で現在は東電顧問の加納時男・元参院議員などという顔ぶれ。この顔ぶれを見ただけで「何をかいわんや」である。そして自民党は1955年「原子力基本法」制定以来、電力業界と組んで官民学一体で、「安全でクリーン」を旗印に原発推進行政を強力に押し進め、代替エネルギーの開発や電力自由化に真っ向から反対してきた。その結果がこれであるし、過去の政治へのちゃんとした反省・弁明や、党としての見解、将来のエネルギー政策の展望など政治総括をまだ聞いていないのだ。そちらが先であろう。それなくしては、はやくも蠢(うご)めきだした原発利権といわれても仕方がないではないか。そして与野党を問わず積極的原発推進派はいるし、経済産業省、学者においてはいうに及ばずである。今後原発、エネルギー政策の旗色が政権選択、政界再編のひとつの大きな軸になるであろう。そして政・官・民・財・学・自治体・マスコミが縛られてきた「原発金縛り」の呪縛をもう解くべきあろう。
今年の夏は、暑ければ暑いで、それもまたいいではないか ・・・ 。そう覚悟を決めようではないか。
昔、放射能の恐怖に関心を持ったことがある。「広瀬隆」著「ジョン・ウェインはなぜ死んだか」を読んだ時のこと。アメリカのネバダ州の砂漠で行われていた核爆発実験の話で、下手なミステリーより面白かったが、よその国の話で何か人ごとのような気がして、自分のなかで消化できず、その後原発容認派のまま今まで来てしまった。
書評にいわく、『不屈の男ビッグ・ジョンはガンとの凄絶な戦いに敗れた。彼だけではない。ゲイリー・クーパーもロバート・テイラーもスティーブ・マックイーンもヘンリー・フォンダも、そしてユル・ブリンナーもみんなガンに散った。ハリウッドの俳優たちに、なぜガン死がかくも多発するのか? 精緻な論証と推理で解明する衝撃の事実! 』
ジョン・ウェインはなぜ死んだか (文春文庫)
広瀬 隆 / 文藝春秋
ハワイアン・バンド「大橋節夫とハニー・アイランダース」に「熱風」という名曲がある。私が大学生の時代、人気学生ハワイアン・バンド「カウラナ・アイダンダース」が、いつも演奏していた十八番のひとつ。大橋節夫氏は自分の音楽をハワイアンと定義されるのが嫌いだったらしく、「私は、ハワイアン楽器を使ったポピュラー音楽であり、JAZZをやっているんだ」と語っていたというのが印象に残っている。確かに「熱風」、今聞いても軽快でスウイングするJAZZYな曲である。2枚組のベスト盤「大橋節夫とハニー・アイランダース ゴールデン☆ベスト」、その2枚目に「ポピュラー音楽やJAZZをやっているんだ」という彼の気概を強く感じる。
大橋節夫とハニー・アイランダース ゴールデン☆ベスト
大橋節夫とハニー・アイランダース / 日本コロムビア
今年もまた夏は暑いかもしれない。しからばそれを逆手にとって、
「大橋節夫&ハニーアイランダース」の演奏するクールな「熱風/Hot Wind」などを聴いて、涼しい気分で過ごすのはどうでしょうか。