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大屋地爵士のJAZZYな生活

My Last Song

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NHK-BSプレミアム「旅のチカラ」。タイトルは、「My Last Song を探して」。4回の癌との闘いを乗り越え、いま71歳になったキャスター「鳥越俊太郎」氏の旅であった。彼は学生時代に「オスカー・ピーターソン/Oscar Peterson」に魅せられて以来のJAZZファンだという。「自分が死ぬときに流れていて欲しい音楽」、すなわち、彼にとっての「My Last Song」を探したいという思いが強くなった彼は、JAZZの聖地、「ニューオリンズ」と「ニューヨーク」への旅を始める。そのドキュメンタリーであった。「My Last Song」を見つけたいというその思いは、私にも強くあるので大変興味深く観た。

ニューオリンズで鳥越氏は、映画などでよく見かける葬列と一緒に行進するデキシーランド・マーチ・バンドを聴いたり、フランス風の建物が建並ぶ繁華街、「フレンチ・クオーター」のメイン・ストリートである「バーボン・ストリート」に、何十軒と軒を連ねるJAZZのライブ・ハウスも訪ねてみる。さらに、2005年、ニューオリンズを襲ったハリケーン「カトリーナ」が、壊滅的な被害をもたらした黒人居住区の教会も訪ねてみるが、これぞという決定的な曲は、やはり見つからない。しかし、その教会の牧師が言ったこんな言葉が彼の胸に残る。「もっとも大事なことは、人生最後のラスト1マイルをどう生きるかだ」。結局、感じた曲はあったが、決定的な運命の曲といえるものは見つからず、ニューヨークへと旅立つことになる。結果的には、NYでも見つからず、鳥越氏の探す旅は終わらなかった。

私のラスト・ソングは?って。 有力な候補はいくつかあるが、いまだ決定はしておらず、鳥越氏と同じように、探し求めつづけている途中である。多分結局のところ見つからず、人生の本当の最後の瞬間に、今までに聴いた膨大な曲の中から一曲が、脳裏に思い浮かぶのかもしれない。JAZZではなく、童謡や歌謡曲だったりすることも十分にありうる。きっと、「探し求めつづける」、そのことに大きな意義があるのかもしれないとも思う。そして、私は最後の1マイルをどう生きているのであろうか?これには答えを出さなくてはいけないのだが ・・・。

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私がニューオリンズを訪れたのは、2003年9月。そのときも大型のハリケーンが接近し、予定を早めて、ニューヨークへ移動したことがあったので、鳥越氏と重なったような、私のニュー・オリンズへの旅を思い出した。その時訪れたいくつかの場所もTV画面に登場し、懐かしかった。例えば、プリザベーション・ホール。フレンチクォーターの一角にある、ニューオリンズ最古の建物のひとつで、伝統的なディキシーランド・スタイルのジャズを演奏するライブ・ハウス。確か入場料$10であったが、小屋が小さく、入場するのに列を作って並ばねばならなかったことを覚えている。

もうひとつの名物は、「オイスター」と、中にエビ、貝、チキン、ソーセージなどと米が入ったブイヤベースの一種で「ケイジャン料理」である「ガンボ/Gumbo」。有名な専門レストラン「Acme Oyster House」も開店前に行列に並ばねばならなかったが、その味は抜群に美味かった。

ニューオリンズにまつわる曲といえば、やはり「バーボン・ストリートの月/Moon Over Bourbon Street」であろうか。「スティング/Sting」のヒット曲である。この歌を聴くと、南部特有のまとわりつくようなヒートウェイヴ(熱波)のなか、バーボン・ストリートのライブハウスの片隅で、JAZZと酔っ払いの喧騒に身を委ね、バーボンを飲んでいた自分が目に浮かぶ。ちょっぴりメランコリーで悲しい歌。

オリジナルは、「スティング」がJAZZ的アプローチを試みたアルバム「ブルー・タートルの夢」に収録されているが、2001年9月11日、NY同時多発テロの当日イタリアのトスカーナ地方の自宅でのライブの収録盤「・・・オール・ディス・タイム」の方が、JAZZフレーバーの強いアレンジなので、私はこのバージョンの方が好きである。「スティング」のボーカルと絡むように歌うトランペットは「クリス・ボッティ/Chris Botti」。

ブルー・タートルの夢

スティング / ユニバーサル インターナショナル


 

・・・オール・ディス・タイム

スティング / ユニバーサル インターナショナル



「Sting - Moon Over Bourbon Street (Live in Toscana - 2001)」

          

 
 
 
by knakano0311 | 2011-10-10 09:49 | JAZZY紀行 | Comments(0)
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