曹洞宗の大本山「永平寺」(福井県永平寺町)は11月2日、原発の是非を問うシンポジウム「いのちを慈しむ~原発を選ばないという生き方」を開催するという。いずれも福井県に在り、菩薩(ぼさつ)の名前に由来する新型転換炉「ふげん(普賢)」、高速増殖原型炉「もんじゅ(文殊)」の命名に、「永平寺」が関わったという。しかし、今回の福島第1原発事故。「永平寺」は、「使用済み核燃料を残し、DNAに作用する放射線という危険をはらむ原発は、子孫への負の遺産となる。命を長い時間の視座に置く仏教の教えと相反する」と説き、「原発に対する認識が足りなかった私たちの責任は重く、間違いだった。懺悔することから始めたい。」と、シンポジウムを開催する理由を説明する。(毎日新聞/2011年10月14日/大阪朝刊 参照)
衆生を救い、導く、釈迦三尊の「文殊菩薩」と「普賢菩薩」に由来する名を、いったん事故が起これば、このような厄災を招いてしまう原子炉に与えてしまったことを宗教者として恥じ、いてもたってもいられなくなったのであろう。至極まっとうな感覚である。それに引き替え、東京電力、電力会社、自民党とその歴代政府、原発立地の自治体、すべてが後手に回った前政権、経産省、原子力安全委員会、保安院、事故と汚染の実態が段々明るみに出てくるや潮が引くようにTVに露出しなくなった御用学者、マスコミなど、いわゆる原子力村には、国民に向かって明確に懺悔しなくてはならない輩がうようよといる。
そして今日のニュースをみても、やらせの責任を採ろうとしない悪あがきの九電、再試算の結果原子力発電のコストはkW時あたり、たったの1円アップという浮世離れの原子力委員会 ・・・など、永遠に命を伝えていく一粒のどんぐりのすがすがしさにも到底及ばない「文殊の浅知恵」の数々。
夜、「猿の惑星/Planet of the Apes」を見る。1966年製作、45年も前の映画である。「チャールトン・ヘストン/Charlton Heston」扮するテイラーが浜辺で崩れ果てた自由の女神の残骸を見て叫ぶ。「本当にやっちまったんだ、バカ者どもが ・・・」と。45年後の今に向けた強烈な皮肉と警告メッセージのように感じた。
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そして永平寺のニュースを見て、不意に思い出したアルバム2枚。JAZZは、「メディテーションズ/Meditations」(1965年11月録音)、「ジョン・コルトレーン/John Coltrane」のアルバム。「コルトレーン・カルテット」に「ファラオ・サンダース/Pharoah Sanders」と「ラシッド・アリ/Rashied Ali 」を加えて吹き込んだスピリチュアルな要素の濃い作品。フリー・ジャズに極めて近い演奏と言っていいが、私には停滞したこの世界、日本の政治の現状を打破できないのかという私の欲求を代弁しているようにも聴こえる。
メディテーションズ
ジョン・コルトレーン / ユニバーサル ミュージック クラシック
「Love - John Coltrane from "Meditations"」 John Coltrane : Tenor Saxophone、Pharoah Sanders : Tenor Saxophone、McCoy Tyner : Piano、Jimmy Garrison: Contrabass、Elvin Jones : Drums、Rashied Ali : Drums
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もう一枚はロック。かって70年代初頭、日本には世界的にも高い評価を受けたロックバンドがあった。「フラワー・トラベリン・バンド/Flower Travellin' Band」である。「ジョー山中(ヴォーカル)」、「石間秀樹(ギター)」らに4人によって、1970年に結成されたが、活動は1970年~1973年のわずか4年間。あの「内田裕也」がプロデュースを担当し、彼のアイディアにより全曲英語の歌詞で歌い東洋的な旋律をモチーフとして独自の音楽性を確立した。再結成、再活動を表明した矢先の「ジョー山中」の死。冥福を祈るのみ。
サトリ
フラワー・トラベリン・バンド / ダブリューイーエー・ジャパン
「Flower Travellin' Band - Satori, Part 1 」
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