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大屋地爵士のJAZZYな生活

古典は読みたいけれど ・・・

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我が家の庭の「ムラサキシキブ/紫式部」の実が美しい紫色になってきた。初夏、7月頃に薄いピンクの小さい花をつけるが、この時期の実の紫が花よりも印象的である。花屋からは「ムラサキシキブ」といわれて買ったが、葉の先端半分にだけ鋸歯があるところを見ると、別種であるが、よく似ているので、混同されやすい「コムラサキ/小紫」であろう。いずれにしても、名前の由来は、あの「源氏物語」の「紫式部」である。

神戸あたりには「源氏物語」ゆかりの地名や史跡が残っている。須磨、明石、関屋、夕霧など ・・・。「須磨寺」には、物語上の人物にもかかわらず、「光源氏」が須磨に来た時に、「紫の上」を思いつつ植えたとされる「若木の桜」がある。我が家から少し遠いが、足を伸ばしてこのあたりを歴史散策するのも楽しみの一つである。また、この辺りは「平家物語」ゆかりの地でもある。神戸のかっての歓楽街、「福原」は来年のNHKの大河ドラマの主人公「平清盛」が一時都と定めたところ。「平家物語」、「青葉の笛」で知られる16歳の「平敦盛」と、源氏の武将「熊谷次郎直実」が一騎打ちをする「一の谷の戦」にまつわる史跡も多く残る。

「源氏物語」、「平家物語」。日本有数の古典を、「日本人ならば ・・」と自覚しつつ、秋の夜長にでも読んでみようかといつも思うのだが、その気力がなかなか出てこないのである。ちなみに「源氏物語」は、「いつか読みたい本第一位」だそうだ。まっ、知ったかぶりのこんな一節でお茶を濁す ・・・。

「須磨には、いとど心づくしの秋風に、海は少し遠けれど、行平の中納言の『関吹き超ゆる』といいけむ浦波、夜々はげにいと近く聞こえて、またなくあはれなるものは、かかるところの秋なりけり」                                        (源氏物語・須磨の巻より)

しかしながら、あはれなる秋の夜長は、どうしても古典よりも手が出てしまうのは、ソウルフルな女性ボーカル。日本にもこんなソウルフルなボーカルがいたんだと思うのは「安冨祖貴子(あふそ たかこ)」。

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沖縄県金武町生まれ。2006年3月、1stアルバム「魂/Kon」を発売。その歌声から50年に1人のジャズ・ヴォーカルの逸材と言われ、デビュー作にもかかわらず「スイング・ジャーナル誌選定ゴールド・ディスク」などを獲得。つづく2007年には2ndアルバム「マブイのうた」を、2008年にはニューヨークにてレコーディングを行なった3rdアルバム「Hallelujah~summer of '86~」を発売、いずれもJAZZの賞を獲得、高い評価を得ている。

元々、クラシック・ピアノを専門的に学んでいたが、リゾート・ホテルでの弾き語りやラテン・ロック・バンドやジャズ・ギター・デュオなどでの活動を経て、本格的にジャズ・スタンダードの歌唱を始める。 その歌唱力、フレイジングに目をとめたM&Iレーベルからジャズ・ヴォーカリストとしての道を奨められ、ジャズでの音楽活動を決心したという。 その時聴いた「ニーナ・シモン/Nina Simone」の「ボルチモア/Baltimore (CTI, 1978)」及び、「ビリー・ホリデイ/Billie Holiday」の「レディ・イン・サテン/Lady in Satin(1958年録音)」に大きな衝撃を受けたことが、JAZZに音楽人生を賭ける決心の大きなきっかけになったという。

日本人JAZZ歌手には珍しく、腹の底から湧いてくるような、響く声に、1曲目「ワーク・ソング」からノック・アウトされ、2曲目のラブ・バラード「I'm A Fool To Want To You」の切なさに私が痺れたアルバムは、デビュー・アルバム「魂/Kon」であった。

魂/Kon

安富祖貴子 井上陽介 大隈寿男 安井さち子 知念嘉哉 川嶋哲郎 金子雄太エムアンドアイカンパニー



さらに、その声には磨きがかかり、肩の力も抜け、ソウルフルな味に加え、「ベサメ・ムーチョ」、「My Way」、「ラバーズ・コンチェルト」では違った味付けも見せてくれた第2作目は、「マブイの唄」。

マブイのうた

安富祖貴子 / エムアンドアイカンパニー



YOUTUBEへのアップがほとんどない「安富祖貴子」であるが、わずかにアップされたものの中から、「マブイのうた」に収録されている「Mercy,Mercy,Mercy」を聴いてみますか。わずか一部で、1分48秒であるが、彼女の実力は十分すぎるほどわかる。

「Mercy,Mercy,Mercy-安富祖貴子」 

          

2009年11月には4作目アルバム「Sweet Soul Days」。ジャズだけではなく、幅広いジャンルからのヒット・ナンバー11曲を取り上げている。 「ヴァネッサ・ウィリアムス/Vanessa Williams」の「Save The Best For Last」から、「スティング/Sting」の「Fileds Of Gold」、「ロバータ・フラック/Roberta Flack」の「Killing Me softly With His Song」などを取り上げるのもうれしい。ブラック・ミュージック系のJAZZトランペッター、「ロイ・ハーグローブ/Roy Hargrove (The RH Factor)」の「Forget/Regret」を取り上げるあたりもめちゃ渋く、安富祖のソウル・ミュージックの選曲の好みと良さが窺える。

Sweet Soul Days

安富祖貴子 / M&I



「安富祖貴子Takako Afuso - Forget / Regret」

    

そして今年9月、「安富祖貴子」の原点であるブルース、ソウルへの回帰となる5枚目のアルバムがリリースされた。アルバム・タイトルは、ずばり「Blues」。彼女の持ち味であるソウルフルな歌声を前面に出した渾身の一枚である。 「St. Louis Blues」、「Route 66」等のお馴染の曲に加え、「Left Alone」、「Afro Blue」、「Amazing Grace」といったジャズ・スタンダードも含めた12曲を収録。「越智順子」亡きあと、R&BヴォーカルとJAZZヴォーカルの魅力とをあわせもつヴォーカリストとして、私は大変期待するものである。

THE BLUES

安富祖貴子 / バウンディ



 
 
 
by knakano0311 | 2011-11-06 15:45 | 音楽的生活 | Comments(0)
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