今年もまた、映画とDVDをたくさん見ました。恒例の、「今年私が観て面白かったと思う映画2011」。今年、映画館で観た映画と、去年見ることのできなかったが今年DVDで観た映画の中から選んでいます。例によって、選んだ基準は、泣けたか、笑えたか、ハラハラ・ドキドキしたか、怖かったか、感動したか、1000円あるいはDVDのレンタル代に見合う価値があったか? 基準は、ただそれだけです。もちろん、時間とお金の関係で、観ていない映画、DVDのほうが圧倒的に多いでしょう。そんな条件の中での独断の選択であることを予めお断りしておきます。
今年もハリウッド以外の、中東 ヨーロッパ、中国、韓国、アルゼンチンと広く世界の映画を見ることができたし、その中に発見や感動がいくつもありました。日本映画が、カンヌやベルリンなどで高い評価を受けていると同様に、いい映画には国境がないことを本当に実感します。日本映画は今年もまた、小説、コミックへの人気に依存した作品が多かったように思うが、若手監督の佳作が目立った年でもあり、作品は充実していたように思う。今年は、大震災があったためか、アクション、SF映画より、人や家族のつながりを描いた作品に私の眼は行ってしまったようです。
そして今年は、心に残った映画音楽が少なかったのは少しさびしいが、イチオシは「毎日かあさん」のエンディングに流れていた「木村充揮(きむら あつき)」の「ケサラ/CHE SARA」。一方、「クレイジー・ハート」、「ペルシャ猫を誰も知らない」、「オーケストラ!」など圧政や苦難の状況下でも音楽を求めていく人たちの映画があったのはうれしかった。
【私が今年観て面白かったと思う映画 外国映画編ベスト10 】
①
英国王のスピーチ;子供の頃から悩む吃音を克服し、対ドイツ戦争のために国民を鼓舞する演説に挑む現エリザベス女王の父、ジョージ6世。圧倒的な演技力で見るものを酔わせる。
②
息もできない;韓国映画。複雑な家庭環境を背負ったチンピラと一人の女子高生が出会い、次第に心を通わせていく姿を鮮烈なタッチで綴る。
③
瞳の奥の秘密;アルゼンチン映画。25年前の未解決殺人事件を小説化しようとする男が、過去の記憶に支配され苦悩する姿を描くサスペンス・ドラマ。
④
再会の食卓;上海で暮らすユィアーのもとに届いた一通の手紙。そこには、生き別れた夫イェンションが、40数年ぶりに帰ってくると...。中国と台湾の歴史に翻弄された元夫婦と家族の人間ドラマ。
⑤
ミレニアム2、3;スエーデン映画。前作1に続くベストセラーの映画化。国家犯罪に巻き込まれていく主人公リスベット。リスベットの個性が強烈。
⑥
ブラック・スワン;バレエ『白鳥の湖』の主演に抜擢され、潔白な白鳥と官能的な黒鳥 の二役を演じることとなったバレリーナが、プレッシャーにより徐々に精神を壊してゆくサイコ・スリラー。
⑦
私を離さないで;謎を秘めた寄宿学校で育った3人の若者が、自らに課された過酷な運命を知りながらも、懸命に生き抜こうとする。原作はカズオ・イシグロによる長編小説。
⑧
クレイジー・ハート;落ち目のカントリー歌手バッドが、かつての輝きを取り戻そうと人生に再チャレンジするドラマ。ジェフ・ブリッジスがいぶし銀の味わい。
⑨
セラフィーヌの庭;実在のフランスの女性画家セラフィーヌの無垢な魂の軌跡を、詩情豊かに映す。
⑩
アンストッパブル;理屈無用、ノンストップの暴走列車アクション。ハラハラドキドキ目が離せない。
次点;君を想って海をゆく、ペルシャ猫を誰も知らない、リトル・ランボーズ、オーケストラ!、フローズン・リバー、ジュリエットからの手紙、ヤコブへの手紙、孫文の義士団、サラエボ 希望の街、トゥルー・グリット、トゥルース/闇の告発
【私が今年面白かったと思う映画 日本映画編ベスト10】
①
毎日かあさん;腕白な子供たちとアルコール依存症の夫に振り回される毎日を暖かな目で描く感動作。
②
武士の家計簿;逼迫した家の暮らしを立て直す武士の奮闘と家族の絆。合掌、森田芳光監督。
③
ちょんまげプリン;現代にタイムスリップした侍と現代に暮らす親子が繰り広げる笑いと絆をテーマとした心温まる人間ドラマ。
④
ヌードの夜/惜しみなく愛は奪う;鬼才・石井隆監督による官能ノワール。
⑤
冷たい熱帯魚;『愛のむきだし』の鬼才・園子温監督のサスペンス。死と暴力に満ち溢れた衝撃作。
⑥
13人の刺客;理屈抜きのチャンバラ大活劇。約30分に及ぶクライマックスの殺陣シーンは圧巻。
⑦
春との旅;足が不自由な元漁師の祖父と仕事を失った18歳の孫娘が、疎遠だった親族を訪ね歩く旅に出る姿を描いたロード・ムービー。今年の爺い映画のイチオシ。
⑧
八日目の蝉;子供を誘拐した女の3年半の逃亡劇と、事件後、大人になった子供の葛藤を描く。「母性」、「親子」をテーマにしたサスペンス。原作、TVとは違ったラストシーン。
⑨
阪急電車;ご当地映画。片道15分の私鉄沿線に繰り広げられる人生の哀歓。
⑩
神様のカルテ;父を看取った病院がモデルの原作。一人の青年医師が成長していく姿を温かなまなざしで描く。故郷松本でのオールロケ。
次点;キャタピラ、その街の子供、必死剣鳥刺し、野ばらパーマネント
【ドキュメンタリー編】
残念ながら観た映画なし
「木村充揮(きむら あつき) - ケサラ/CHE SARA」(「毎日かあさん」挿入歌)