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大屋地爵士のJAZZYな生活

椿油を搾って燈明を灯す

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今日は先達の指導によって、「椿油」を絞る。もう2月恒例の行事になっている。去年の秋11月、いつも遊ばせてもらっている公園にある「藪椿」から採集し、今まで天日で乾かした実から油を搾るのである。工程は比較的単純で、栗や胡桃の果肉を取り出す要領で、殻を専用工具やペンチなどで割り、果肉と殻に分ける。次に果肉をミキサーにかけ、細かく砕く。それを耐熱性の繊維の袋に入れ、1時間ほど蒸す。この熱によって、油を包んでいる細胞膜が破壊され、油の収奪率がアップするという。蒸されて団子状になっている果肉を、先達自家製による油圧ジャッキにを利用した圧搾式の搾油機にセットして搾油する。それをろ過すれば、ピュアな椿油が得られるのである。

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椿の実全体の重さの約50%が果肉、さらにその果肉から約50%の油が採れるのである。すなわち椿の実が1㎏あれば、250gの油が採れるということになる。石油系の油が使われる以前の日本の五大植物油といえば、「胡麻油(ごまあぶら)」、「荏(え)胡麻油」、「椿油」、「菜種油」、「榧(かや)油」であった。日本原産の椿の実に多くの油分が含まれ、それから油を得る方法は古代から伝わったまさに知恵である。日本での椿油の記録は、光仁天皇の宝亀八年(777年)まで遡るという。

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こうして絞った椿油を持ち帰り、「燈明(とうみょう)」を灯してみる。燈明とは、神仏に供える灯火をいい、仏教においては、闇(無明)を照らす智慧の光とされ、重要な供養のひとつとされる。江戸時代になって、和ろうそくが庶民に普及するまでは、この燈明を灯りに使っていたようである。燈明皿がないので、醤油皿を代わりに用い、刈り取った後のイグサの芯が一番であるという燈心には、太目の木綿糸を使ってみる。そして、少し気分を出すために、芯押さえには「寛永通宝」を使って、燈明を燈してみた。昔の人は、この燈明やそれを入れた行灯(あんどん)などの明かりで生活をしていたのである。読書や作業するためには、明るさは足らないが、お互いの顔が見える距離まで近づいて会話をしたくなるような柔らかな灯りである。そして、この「燈明」を親父の位牌の前に供えてみた。

スタンダードのラブ・ソングに「When Lights Are Low/灯りを落として」という曲がある。 「♪ 灯りを落として、スイートで、メロウなチェロの音楽を流して 私たちこんなに近くにいるのね ・・・♪」。歌うは、わがJAZZミューズの一人、ほっこりおばさん「ジャネット・サイデル/Janet Seidel」。収録されているのは、スウィート、ラヴリー、センチメンタル、そしてジャジーで、全面にウクレレをフィーチャーしたアルバム、「マナクーラの月/Moon Of Manakoora」。まるで燈明のように全編心癒されるアルバム。残念ながら、YOUTUBEへのアップはありませんでしたが、「トニー・ベネット/Tony Bennett」なども歌っていますね。

マナクーラの月

ジャネット・サイデル / MUZAK,INC.


by knakano0311 | 2012-02-06 17:03 | 音楽的生活 | Comments(0)
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