前回のブログで韓国囁き系の女性JAZZ歌手「ウン・サン/Woong San」を紹介したが、彼女といい、「LISA」、「ダイアナ・パントン/Diana Panton」といい、どうも最近年を取るとウィスパリング系女性歌手の心地よさに心奪われる傾向が目立ってきたようである。これも一種の老化現象であろうか ・・・。それはさておき、男性歌手も「囁く」のである。ジャズでいえば、その筆頭は、「チェット・ベイカー/Chet Baker」であろうか。「ジェームス・ディーン/James Dean」似のイケメンで、甘くハスキーな高音でささやくように歌うその囁きの魔力にとりつかれた女性も数知れずという。「鼻歌のように歌う」とも言われたボサノヴァ歌手「アストラッド・ジルベルト/Astrud Gilberto」もその一人だったという。
その「アストラッド・ジルベルト」の元の旦那が「ジョアン・ジルベルト/João Gilberto」。確かにボサノヴァは囁き系の歌口によく似合うが、ジョアンはボサノヴァにおける囁き系の筆頭であろう。アストラッドがボサノヴァの「女王」なら、ジョアンは確か「法王」と呼ばれていたように思うが、「チェット・ベイカー」にしろ、「ジョアン・ジルベルト」にしろ、何かアストラッドは「ささやき」に弱いという体質でもあるのだろうか?
そして、80年代くらいだったであろうか、「AOR」というのが一時期はやったことがある。「AOR」とは、「Adult-Oriented Rock(アダルト・オリエンテッド・ロック)」の略語であり、音楽のジャンルの一つであるが、お洒落な都会派ロックというような感じといえばわかりやすいだろうか。この分野の囁き系の代表は、「マイケル・フランクス/Michael Franks」であろう。独特の囁くようなヴォーカル・スタイルと、ジャジーで都会的な音楽性は、当時も今も高く評価されている。その代表曲が、「Antonio's Song(アントニオの歌)」で、ボサノヴァを歌う多くの歌手にカバーされている。AOR系で囁き系の日本の男性シンガーというと、これはなかなか思い浮かばないが、しいて言えば「寺尾聡」、「上田正樹」であろうか ・・・。
さあ、すこし春めいてきた暖かい日の午後に、男の囁き系、「マイケル・フランクス」の代表的ヒット曲、かの「アントニオ・カルロス・ジョビン/Antônio Carlos Jobim」に捧げた「アントニオの歌/Antonio's Song」なんぞゆったりと聴いてみるのもいいかもしれません。そして、色々なアーティストがフェイク・ボッサとしてカバーしている「ユーミン」こと「荒井由実/松任谷由実」の名曲「あの日に帰りたい(英語タイトル;Somewhere In The Rain)」も ・・・。
スリーピング・ジプシー
マイケル・フランクス / ワーナーミュージック・ジャパン
「Michael Franks - Antonio's Song」
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「Yuming」作品を、AOR系外国アーティストがカヴァーした作品集。外国人の解釈によるユーミン・テイストが興味深い。
OVER THE SKY:Yuming International Cover Album
オムニバス / EMIミュージック・ジャパン
「Somewhere In The Rain(あの日に帰りたい) ― Michael Francks」
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