人気ブログランキング | 話題のタグを見る

大屋地爵士のJAZZYな生活

ばば讃歌

はやいもので、今年もほぼ三か月が過ぎようとしています。この間にDVDで立て続けに観た「じじばば映画」に、実際は「ばば映画」ですが、秀作がいくつかありました。テーマは「おひとりさまの老後と誇り」、そしてそれとは真反対のプライドをかなぐり捨てての「サバイバル」。女性の長寿時代を反映してか、なぜか主人公はいずれも女性。誇り高く懸命に生き抜いていく「ばあさん」たちを暖かい目で描いています。

ばば讃歌_b0102572_1833677.jpg

まずは、2007年のポーランド映画、「木洩れ日の家で」。女性監督「ドロタ・ケンジェジャフスカ」と、この映画の発表当時、なんと90歳を超えていたという主演女優「ダヌタ・シャフラルスカ」が紡ぐ物語。モノクロでありながら、光の温かみや影の美しさがみごとに伝わってくる映像。ワルシャワ郊外の緑に囲まれた木造の古い屋敷。その家で愛犬「フィラデルフィア」と静かに暮らす一人の女性「アニェラ」、91歳。年老いてなお美しく、そして誇り高く生きる彼女は、両親が建てたその家で生まれ、成長し、恋をし、夫と暮らし、一人息子「ヴィトゥシ」を育ててきた。「アニェラ」は今、さほど長くはない自らの余生と彼女が愛する家をどうするか考えていた。やがて彼女が下す人生最後の決断。彼女がただひとつだけ遺そうとしたものとは…。

木洩れ日の家で [DVD]

エプコット



ばば讃歌_b0102572_1835560.jpg

「ダン・アイアランド」監督の「クレアモントホテル」。英国の女流作家「エリザベス・テイラー」の晩年の小説が原作で2005年年製作のイギリス映画。あわただしい時代から取り残されたようなホテル、「クレアモント」。人生の終着点が近づいた人たちが集うこのホテルに、「パルフリー」夫人がやってきた。ロンドンの古い街角で出会った孤独な老婦人と青年のむつまじい交流の日々…。この3か月ではイチオシの佳作。

クレアモントホテル [DVD]

紀伊國屋書店



ばば讃歌_b0102572_1842755.jpg

そして、「ルイーサ」。アルゼンチン、ブエノスアイレスの街と地下鉄を舞台に、容赦ない現実の中で何とか必死に生きようとする女性を描く。ブエノスアイレスで猫の「ティノ」と暮らす「イーサ」は、夫と娘を失った過去を引きずりながらも、仕事を掛け持ちして生活している。ところがある朝、「ティノ」が死に、同じ日に仕事を解雇され…。その「ルイーサ」の峻烈なサバイバルに思わず共感、拍手。

『ないない尽くしの初老のおひとりさま。それでも大丈夫、と背中にそっと手を回してくれる。喪失を経験したおとなの映画。』とは「上野千鶴子」氏の評。

ルイーサ [DVD]

TOブックス



ばば讃歌_b0102572_953562.jpg

そして日本映画から「デンデラ」。かって「楢山節考」で「姥捨山」の物語を描き、1983年のカンヌでグランプリを受賞した、「今村昌平」監督の息子である「天願大介」が監督。捨てられた老婆たちの「その後のサバイバル」を描いた物語。彼女たちは素直に死んでいくのではなく、逞しく生き抜き、あまつさえ自分を捨てた共同体に復讐しようとする。ただ復讐するという動機がよくわからなかった点が惜しまれる。しかし、雪山という過酷な環境の中で、ボロをまとい、老けメイクで撮影に挑んだ浅丘ルリ子、草笛光子らには女優魂には拍手。

デンデラ [DVD]

アミューズソフトエンタテインメント



「ばあさん映画ばかりのオンパレ、じいさんはどこへ行った?」と思ったら、こんな「じじい小説」のベストセラーがありました。「阪急電車」の著者「有川浩」の「三匹のおっさん」(文春文庫)。「還暦ぐらいでジジイの箱に蹴り込まれてたまるか!」。 「じじいと呼ぶな、おっさんと呼べ」。粋な啖呵を切るのは、定年を迎えて一念発起した剣道の達人・キヨ、経営する居酒屋も息子に任せられるようになってきた柔道の達人・シゲ、遅くできた一人娘を溺愛する町工場経営者で機械をいじらせたら右に出るものナシの頭脳派・ノリの3人。かつての悪ガキ三人組が結成した自警団が、痴漢、詐欺、動物虐待などご町内にはびこる悪を成敗!いや痛快なお話。

三匹のおっさん (文春文庫)

有川 浩 / 文藝春秋



バブル崩壊期の1994年8月31日、当時の東京本社に出張した折、最寄駅のJR田町駅に、派手派手しいボディコン姿の女性たちの大群がたむろしていた。「何か?」と思ったが、夜のニュースでそれは判明した。「ジュリアナ東京」の閉店の日であったのだ。そんなバブル時代を象徴したヒット曲が、「グロリア・ゲイナー/Gloria Gaynor」の「恋のサバイバル/I Will Survive」 。私はバブルの後始末にまわった世代。バブルの再来は決して望まないが、あの狂おしいばかりの熱気や活気はどこへ行ってしまったのだろうか?日本のサバイバルのために今こそ必要と思うのだが ・・・。

I Will Survive: the Very Best of Gloria Gaynor

Gloria Gaynor / Polydor



ライブの観客のほとんどが、かってのディスコでブイブイ言わせたと思しきシニア間近の世代というのも少し哀しい。しかし元気が出ますね、この歌は ・・・。

「♪ ・・・ さあ出て行ってよ。いますぐそのドアから出て行ってよ!アンタなんかに頼らないで生き抜いていって見せるわ ・・・ ♪」

「Gloria Gaynor - I Will Survive (Live) 」

         

    
 
by knakano0311 | 2012-03-24 09:55 | シネマな生活 | Comments(2)
Commented by 団塊オヤジ at 2012-03-24 12:30 x
いやぁ~グロリア・ゲイナー(知りませんでしたが・・笑)のライブ映像いいですね・・。
観客のオジサン・オバサン達のパワーを見るだけで小生も負けてはならぬ・・と、元気がでます・・笑
Commented by knakano0311 at 2012-03-24 13:00
団塊オヤジさんもブイブイいわせた口でしょうか?やっぱりあの熱気はなつかしいですね。
<< 小さき花が春を告げる 春は来ぬ/Spring is ... >>