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大屋地爵士のJAZZYな生活

60歳過ぎたら聴きたい歌(81) ~橋/Bridges~

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関西も数日前から梅雨入り。庭に一足早く咲きだしたのが、かって「幻のアジサイ(紫陽花)」、「シーボルトの紫陽花」と呼ばれた「シチダンカ(七段花)」である。(参照拙ブログ「路傍の花、樹々の鳥(5)~シーボルトのあじさい咲く~」) シーボルト以来発見の報告がなかったが、昭和34年(1959年)、130年あまりの時を超えて、偶然に発見された。それを、時をかけて増株したという。何年か前に六甲山森林植物園で求めたものであるが、すっかり根付いたようで、西洋紫陽花とは違った可憐な趣の花をここ数年、毎年咲かせてくれる。

さて、6月10日は「時の記念日」であった。天智天皇(中大兄皇子)の天智10年(671年)4月25日(四月辛卯)に、即位後に新たな「漏刻(ろうこく)」を台に設置して、鐘鼓を鳴らして時を告げたとの日本書紀の記述が、日本における最古の時報の記録だそうだ。この日が今の暦で6月10日にあたるので、この日が「時の記念日」となったという。 

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「漏刻」とは、水時計のことで、水が一定の速度で水海とよばれる壷に貯まり、水海の水位から時刻を測る時計のことである。「日本書紀」によれば、中大兄皇子が前述の年より遡ること11年前の斉明天皇6年(660)5月に、「石上池辺に須彌山を作り、粛慎47人を饗す」と書かれ、今の明日香村、飛鳥寺の西にある水落遺跡に日本で最初の水時計を作ったと言われている。私も見たことがあるが、その漏刻の遺構と言われるものが残っている。(Wikipediaによる) そういえば、私の故郷、松本に全国でも有数の古時計コレクションを有する「松本市時計博物館」があったことも思い出した。

「時間がない」といいつつ、時の流れに逆行するような野田首相の決断も大いに気になるところであるが、私も最近、残り時間を気にする歳になったのでしょうか、「時の歩み」ということを強く意識していると感ずる。残り時間を有効にというか、有意義に使いたいという思いが強くなったということであろう。そもそも、このブログを始めた動機が、「2006年に、定年を迎えたオヤジが、40年間にわたって聞いてきたJAZZを中心に、「人生のBGM」という視点から、自分史として見つめなおすと共に、日々の音楽的生活を語る」という時間軸を意識したものでもあった。

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そんななかで、久しぶりに聴いた曲に「ああ、本当にそうだなあ ・・」と深い感慨を覚えたので、「60歳過ぎたら聴きたい歌」としてとりあげたい。「橋/Bridges」。大分前のブログ記事( 「おやじのハコものがたり(4) ~橋の歌~」 )で取り上げた時は、「ちょっとまだ早いかな」と思ったが、ちょうど今、こんな歌が心に沁みるお年頃になったのだ。歌うのは、「ブラジルの声」の異名を持ち、ブラジルを代表するシンガー・ソングライター、「ミルトン・ナシメント/Milton Nascimento」。「僕より遥かに偉大なミュージシャンだ」と「カエターノ・ヴェローゾ/Caetano Veloso」をして言わしめた男。、デビュー・アルバム、「トラヴェシア/Travessia(Bridges)」(1967年)に収められている。

トラヴェシア

ミルトン・ナシメント / オーマガトキ


しかし、世界的に有名になったのは、「クリード・テイラー/Creed Taylor」のプロデュース、「エウミール・デオダート/Eumir Deodato」編曲による1969年リリースの米国デビュー盤で、別の曲をアルバム・タイトルにした「コーリッジ/Courage」である。「トラヴェシア」とほぼ同じ曲編成であるが、このときは英語詩によって「Bridges」が歌われた。去っていった恋人を想う原曲の歌詞とは大きく違うが、この英語詩の「Bridges」が、私は好きである。

橋を自分の人生になぞらえた傑作。今、私も自分の渡ってきた橋を振り返って見、そして、これからわたっていく橋を思い描く。

コーリッジ

ミルトン・ナシメント / ユニバーサル ミュージック クラシック



「♪ I have crossed a thousands bridges  私はいくつもの橋を渡ってきた 
   in my search for something real    真実を求めて 
   There are great suspension bridges  くもの巣のような
   made like spider webs of steel      大きな鋼の吊り橋も 
   There are tiny wooden trestles      小さな丸太の橋も
   and there are bridges made of stone  そして石造りの橋も 
   I have always been a stranger       旅する私はいつも異邦人で
   and I’ve always been alone          いつも孤独だった 

   There’s a bridge to tomorrow        明日に繋がる橋がある 
   There’s a bridge from the past       過去から繋がっている橋がある 
   There’s a bridge made of sorrow     終わってほしいと祈りながら渡る
   that I pray will not last             悲しみの橋もある

   There’s a bridge made of colors      いくつもの色を重ねた虹の橋が
   in the sky high above              高い空に架かる 
   And I think that there must be       そして、私は想う きっと
   bridges made out of love           愛で繋がれた橋もどこかにあるはずと

    I can see him(her) in the distance     遥か遠く、川の向こう岸に佇む
    on the river’s other shore           あの人が見える
    And his(her) hands reach out longing  そして両手を差し伸べている
    as my owns have done before        かって私がそうしたように
    And I call across to tell him(her)       私は向こう岸の彼に呼びかけてみる 
    where I believe that bridge must lie    信じれば、きっとそこに橋はあると
               
    And I’ll find it Yes, I’ll find it      いつかきっと見つけられる そう、いつかきっと
    If I search until I die            生きている限り探しつづけるのなら
                ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・   ♪」

「Milton Nascimento - Bridges (Travessia) 1969 」

          

さすがに名曲。この歌は何人ものアーティストにカバーされているが、「ダイアン・リーヴス/Dianne Reeves」、「伊藤君子」、「サラ・ボーン/Sarah Vaughan」の3人のアルバムを紹介しておきましょう。   

「ダイアン・リーヴス」。ずばり、この歌をアルバム・タイトルとした「Bridges」というアルバムもあるが、ここではライブ盤でギターの「Romero Lubambo」と絶妙のデュオで歌う「Bridges」はアルバム、「イン・ザ・モーメント~ライヴ・イン・コンサート」に。

イン・ザ・モーメント~ライヴ・イン・コンサート

ダイアン・リーヴス / EMIミュージック・ジャパン



「伊藤君子」。大好きな歌の一つと語り、観客と一緒にハミングをしたコンサート。アルバム「Once You've been in Love/一度恋をしたら」は、「小曽根真」プロデュースにより、ビッグバンドをバックに歌う。スイングジャーナル誌ゴールドディスクに輝く傑作である。

Once You've been in Love

伊藤君子 / ビデオアーツ・ミュージック



大御所「サラ・ボーン」。あの声でボサノバを歌うのですね。

I Love Brazil

Sarah Vaughan / Pablo

 

一緒に歌う「ミルトン・ナシメント」よりダイナミックで太い声が印象的で感動的なデュエット。

「Sarah Vaughan & Milton Nascimento - Bridges (Travessia) 」

          
by knakano0311 | 2012-06-12 09:57 | 60歳過ぎたら聴きたい歌 | Comments(0)
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