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大屋地爵士のJAZZYな生活

ふるさとエレジー(16) ~栄華のなごり~

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2年前に米国人とニューヨークで結婚式を挙げた姪が旦那と一緒に帰国した。結婚式に出席できなかった親戚へのお披露目を兼ねた食事会が松本であったので、母親のケアを兼ねて帰省した。久しぶりに姪とも会うことができ、またこちらも次男夫婦と孫の紹介でき、和気あいあいで楽しい昼のひとときを過ごすことが出来た。

食事会を行ったのが、「割烹・松本館」。創業明治23年(1890年)、120年の歴史をもつ松本でも一番の老舗の料亭。昭和10年(1935年)ごろ建てられたというが、現在では、国の「登録有形文化財」に指定されている。かっての松本の繁栄ぶりを象徴しているかのように、壮麗な天井絵や床柱などに彩られた大広間「鳳凰の間」(写真上)、おなじく「登録有形文化財」に指定されている正八角形型の平面の極彩色の「便所棟」(写真下左)をもつ。勿論、この大広間や便所は今でも使われているが、その壮麗さ、華麗さ、斬新さには目を見張る。

松本一帯は、岡谷・諏訪などと並んで、生糸の生産などが盛んだったところ。生糸で大儲けした、いわゆる「お大尽」が多くいたのであろう。そして、この場所は、かっての繁華街で花街も近く、写真(下右)のように芸妓を揚げて、夜な夜な大宴会が行われていたようである。昭和12年(1937年)に、純国産「神風号」で東京・ロンドン間を、当時の最短時間94時間という世界新記録で飛んだ、現在の安曇野市出身である「飯沼正明」飛行士の祝賀会もこの料亭で行われたという。しかし、この日の客は我々一組だけのようである。どこの地方都市でも同じだと思うが、そんな過去の栄耀栄華も、老舗の料亭というだけでは、なかなか経営が立ち行くのが難しいのだろうと思われる。

紅く塗られた柱が妙になまめかしい極彩色の便所で用を足した後、「おい、爵士」と、ひょいと昔の知り合いが薄暗い廊下の角から顔を出すような錯覚にとらわれた。

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そんな故郷・松本から帰り道、車の中で流していた音楽は、つい最近手に入れた「アンナ・マリア・ヨペク/Anna Maria Jopek」のアルバム、「ソブレメサ/Sobremesa」。ポルトガル語で「デザート」を意味しているという。ヨペクが第2の故郷として愛するポルトガル、リスボンの西30㎞にあり、ヨーロッパの西端であるロカ岬への出発点にもなっている、世界遺産の街「シントラ」で制作、録音されたアルバムだという。ポルトガルもかっては栄耀栄華を極めた国。シントラには、かっての貴族の豪壮な館が今も多く残っているという。リリースは2011年と最新作に近いと思われるが、最初に聴いたアルバム、「ウポイエニェ/Upojenie」にも感じたブラジル、ポルトガル的なものへの憧れ、ノスタルジーが見事に結実したアルバムになっている。まるでファド、と言ってもいいくらい違和感なく心に入ってくる、ポルトガルへのサウダージ。

Sobremesa

Anna Maria Jopek / Universal Poland



上のアルバムから2曲ほど ・・・・

「Anna Maria Jopek - Lizbona, Rio i Havana」
 
          

「Anna Maria Jopek - Sodade」
 
          




 
by knakano0311 | 2012-07-18 10:44 | ふるさとは遠くにありて・・・ | Comments(0)
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