「ダイアナ・クラール」、1964年11月16日カナダ生まれの女性ジャズ・ピアニスト&歌手。1990年代以降に最も成功したジャズ歌手の一人と言われている。1995年に「オンリー・トラスト・ユア・ハート/Only Trust Your Heart」でメジャー・レーベル・デビューするなり、一躍脚光を浴び、高い人気と評価を獲得した。第6作のアルバム、「The Look Of Love」(2001)が最大のヒットアルバムで、カナダでは70万枚、アメリカでは160万枚のセールスを記録したという。この辺りが人気の最もピークであった時期かもしれない。10枚余のCDアルバム、DVDなどをリリースしているが、全世界での総発売枚数は1600万枚におよぶという。この辺が「最も成功したJAZZ歌手と言われるゆえんであろう。
2003年にイギリス生まれのミュージシャン、「エルヴィス・コステロ/Elvis Costello」と結婚。2004年には、アルバム、「The Girl in the Other Room」、2006年には、「From This Moment On」をリリースしたが、このころからアルバムがマンネリ化したというか、段々つまらなくなってしまった。しかし、2006年には双子の男の子を出産し、産休へと入ってしまったのだ。3年後の2009年には、かってその艶っぽさで定評があったボサノバにフォーカスした12枚目のアルバム、「Quiet Nights」をリリースしたが、艶っぽさも瑞々しさも失われ、平凡なアルバムだったと言わざるを得なかった。
そこで今回期待したのが、さらに3年を経てつい最近発売された「グラッド・ラグ・ドール/Glad Rag Doll」。夫である「エルヴィス・コステロ」の盟友、「T・ボーン・バーネット/T. Bone Burnett」をプロデューサーに迎え、1920年~1930年代の名曲を新しい息吹を吹き込む狙いで制作したという。そして、「その路線できましたか?」というようなジャケット。中身は、ラグタイム時代への回帰、あるいは復活を狙ったらしい意気込みは伝わってくるが、あのダイアナにあった「華」がない。そしてあの魅力的な「艶」も ・・・。新しさを追い求めるあまり、一番の本来的な「魅力」が生かされていないのだ。またしても期待を裏切られた平凡作と言わざるを得ない。