いよいよ菊炭の材料となるクヌギの伐採が始まった。我々が焼く炭は備長炭に代表される「白炭」ではなく、「黒炭」。昔からこの北摂地域の名産品の「菊炭=一庫炭あるいは池田炭」である。クヌギを原木としたこの黒炭は、切り口がちょうど菊のように見え、美しいので「菊炭」とよばれ、また火付きや火持ちがよく、煙も出ず、弾けることもなく静かに燃えるので、茶の湯の席では「太閤秀吉」の時代からずっと今まで重用されているという。かっては多くあった炭焼き農家も、時代の流れとともに少なくなり、今ではこの近辺では1軒だけが炭焼きを生業としているのみである。そして、ダム建設によって放棄されたクヌギ林の里山を、再生林として手入れをし、口幅ったいが、「炭焼き技術の伝承」と称して、我々ボランティアが中心となって、毎年1月から2月に炭を焼いているのである。
そのクヌギの伐採が始まったのである。先輩たちが炭を焼き始めてから約10年ほど経つが、まだ再生林の台場クヌギは、その再生サイクルが完結していないため、今年も樹齢数10年を超える太いクヌギを伐採しなければならない。そのため伐採はプロにお願いし、玉切りした原木(窯木)の処理の段階から我々ボランティアの仕事が始まるのである。3人のプロがチェーン・ソーによる伐採。鮮やかなものである。見事、あっという間に予定の30本ほどのクヌギが伐採された。さて、これからは、玉切りされたこの窯木を下まで降ろし、太さ毎に選別し、枝は枝で窯木や「バイタ(木の枝や木切れ、たきぎ)」づくりをするという、時間と人手がかかる我々の仕事が待っているのである。さあ、本格始動だ!!

さて、今宵のピアノは何人目かの「お久しぶりピアニスト」シリーズ。CD棚を漁っていて、「ああ、こんなピアニストもいたっけ!」と久しぶりに聴いてみたアーティストたちである。もちろん、しばらく聴いていなかったというだけで、いずれも素晴らしい演奏。初めて聴いた当時は心を躍らせたピアニストたちです。
そんな一人。スウェーデンのピアニスト、「ベント・エゲルブラダ/Berdnt Egerbladh」。1932年、スウェーデン生まれ。いかにもヨーロッパ的な少し翳りのある哀愁漂う演奏が特長。2004年3月2日スウェーデンにて永眠。
1988年に録音され、「子供」という名前で愛され、長い間幻の名作と言われたアルバムが、2000年澤野工房から再リリースされた。「A BOY FULL OF THOUGHTS」である。哀愁と陰影が交差する北欧を感じさせるピアノのタッチ。エヴァンスの系譜につながるピアノである。
A BOY FULL OF THOUGHTS
ベント・エゲルブラダ・トリオ/澤野工房
Berndt Egerbladh : piano
Bjorn Alke : bass
Sten Oberg : drums
そのアルバムから、「寺嶋靖国」氏プロデュースの「Jazz Bar」シリーズの第1集、「Jazz Bar 2001」にも収録されたアルバム・タイトル曲、「A Boy Full Of Thoughts」なんぞいかがでしょうか ・・・。
「A Boy Full Of Thoughts-Berudt Egerbladh」
ベーシストが替わっているが、同じトリオによるアルバム、「ムースとショコラ/Mousse Au Chocolat」も秀逸。
MOUSSE AU CHOCOLAT
ベント・エゲルブラダ・トリオ/澤野工房
Berndt Egerbladh : piano
Sebastien Dube : bass
Sten Oberg : drums