左の写真 ・・・。この格好で街をうろついていたら、間違いなく職務質問を受けるであろうと思われる怪しげな出で立ち ・・・。炭窯へ入るため、完全武装の私である。
さて、本題です。私たちが活動拠点としている一庫公園では、毎年この時期に、計3回の炭を焼いている。毎回、それぞれ担当責任者を決めて実施しているが、第2回目は私を含む3人が責任者である。1月26日から始めて、今日が「窯だし(炭だし)」の日である。今までの工程も温度管理も、条件は全て順調に推移してきた。「これで良い炭が焼けない理由はない」と密かに思っていたが、やはり窯を開けてみるまではなんとも不安なのである。
さて、我が焼きし「炭」の出来はどうだったか。自画自賛ではあるが、実にいい菊炭が焼けたのである。私は、いままでに10回を超える炭焼きを体験しているが、その中でも最高の出来栄えであったと言っていい。窯を開け、中に入った瞬間に、いい炭が焼けたのが分かった。
右の写真が、開けた直後の窯の中の様子である。焼いた後、材は、体積で約60%、重さで約30%ほどに縮小してしまうのであるが、最初に窯入れした状態のまま、炭化しているのがよくわかる。窯木のうえに積まれた細い枝を束ねた「バイタ」も、灰になったり、崩れたりせずに綺麗に残っている。そして何よりも窯木。これも倒れたり、崩れたりせずに、樹皮をつけたまま、これも綺麗に炭になって立っている。
窯に入れた窯木の数は360本ほど、そのうち良炭として出てきた炭の本数は、313本。「歩留り87%」という驚異的な出来の良さであった。ハイテクなどは何もないのである。土で作った窯に、山で育てた木を伐って入れ、ただ焼く(乾留)するだけなのである。このことにより、煙も出ず、爆ぜもせず、室内で使える火力も強く、火持ちのいい燃料、薫りもよく、見た目も美しい「炭」ができるのである。数百年も前から続くこの技術、先人の知恵にはつくづく感心するしかない。
色々あって、昨年4月から独立して、森の手入れ活動を始めた我がクラブ。初めて単独で焼いた炭が、第1回目にもましての成功、1年間の地道な努力が報われて、仲間の感激もひとしおであった。今宵の酒は間違いなく美味いであろう。
さて、祝杯のお供は ・・・。久しぶりンに、「エンリコ・ピエラヌンツィ/Enrico Pieranunzi」とまいりましょうか。「ジョバンニ・ミラバッシ/Giovanni Mirabassi」もリスペクトする、イタリアン・ジャズ・ピアノの巨匠である。「ヨーロピアン・ジャズ・トリオ/EJT」以後、ヨーロッパ・ジャズ、特にピアノへと導いてくれた一人である。最後のゴールは多分エヴァンスであろうが、そこまでの私のピアノ旅、ミラバッシと並ぶ一里塚である。(参照拙ブログ
「もしもピアノが弾けたなら(20) ~彼岸のBGMは・・・~」 など)
イタリアのレーベルEGEAからリリースされているピエラヌンツィのCD群が、そのジャケットとともに私のお気に入り。このEGEAレーベルからのCDは、ピエラヌンツィのクラシック音楽的な一面が強く出ていると思うし、それに私が強く魅かれたのである。
特に、ピアノ・ソロによる4枚、「Con Infinite Voci(無数の声と共に)」(1998)、「Un' Alba Dipinta Sui Muri(壁に描かれた朝日)」(1998)、「Perugia Suite(ペルージァ組曲)」(1999)、「Canto Nascosto(秘められた歌)」(2000)、エヴァンス・トリオのベース奏者だった「マーク・ジョンソン/Marc Johnson とのデュオ、「Transnoche(夜を越えて)」(2002)、これにクラリネット奏者「ガブリエル・ミラバッシ/Gabriele Mirabassi」を加えたトリオによる「Racconti Mediterranei(地中海物語)」(2000)、さらに、これに弦楽四重奏を加えた「Les Amants(恋する人たち)」(2004)などの美しさは際立っているというしかない。
Racconti Mediterranei
Enrico Pieranunzi / Egea
アルバム、「地中海物語」から、「ガブリエル・ミラバッシ」、「マーク・ジョンソン」とのトリオ、「Les Amants(恋する人たち)」を。ドラムレス・トリオが一層クラシカルで優雅な雰囲気を醸し出す。
「Enrico Pieranunzi - Les amants」
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