ガレージの片隅に置いてあったゴルフクラブ・セットやシューズなどを、定年後は一度も使った事がないため、思い切って処分した。粗大ごみとして出したのである。現役時代、社内や業界とのいわゆる付き合い、あるいは接待のため、始めざるをえなかったゴルフである。始めたのは遅く、研究開発部門から事業部へ移った40歳半ばの頃であった。以来、15年ほどやっていたことになるが、年に数回程度であるが、ヘタなためでしょう一向に面白いと感じたことはなかったように思う。しかし、上手になりたいという気持ちはあって、スクールに通ったり、ドライバーやパターを買い替えたり、結構、金は使っていたのだ。しかし100を切ることは一度もなかったという上達ぶり。沖縄から北海道までプレイをしたが、よく考えると、我が家から歩いて10分程度のところにもゴルフ場が、車で10分も走れば、4、5のゴルフ場があるのに、ご近所のゴルフ場では一度もプレイした事がない。それだけ、会社での付きい上のゴルフだったということであろう。粗大ごみとして出したら、妙に気分がすっきりした。
かっての会社のOBの中では、趣味の一番人気はゴルフらしいが、定年を機会にきっぱりとやめたという人も多いと聞く。私もその一人である。山の仲間に聴いてみると、現役時代ゴルフに夢中になっていたが、山遊びを始めてから全くゴルフをしなくなったという仲間が大半であった。私に関して言えば、もちろんもう接待はないし、毎日のウォーキングで健康のための運動は十分足りている。そして、自然の中での山遊びが何よりのリフレッシュを兼ねた運動にもなっている。また、地域のボランティア活動を通じ、新しい多くの仲間や友達もできた。ゴルフでの付き合いなどまったく必要なくなったのである。これで、寄って立つ軸足が完全に地域に移ったともいえる。
誤解してもらっては困るのだが、ゴルフを否定しているわけでは決してない。多くのサラリーマンが定年になって、今まで知らなかったが、遊びや楽しみ方に、多くの選択肢や多様性あることに気付いたということであろう。もっともっとシニアの活動や遊びの幅が拡がった方がいいに決まっている。
「お久しぶりピアニスト」、今宵は、「ビル・チャーラップ/Bill Charlap」。「ブルーノート」との契約のためらしいが、「ニューヨーク・トリオ/New York Trio」と「ビル・チャーラップ・トリオ」とを使い分けている。「ニューヨーク・トリオ」の方は、メンバーの一員で、リーダーはベースの「ジェイ・レオンハート/Jay Leonhart」だという話もある。が、いずれにせよ、私は彼の歌心溢れるピアノが好きである。
1966年、ニューヨーク生まれ。父親はブロードウェイのミュージカル作曲家として「ピーターパン」などで有名な「モース・チャーラップ/Moose Charlap」、母親は歌手の「サンディ・スチュアート/Sandy Stewart」という音楽一家に育った。ピアノを始めたのは、3歳の時だという。クラシックから始め、ほどなくジャズに興味を持ち、「ジェリー・マリガン/Gerry Mulligan」、「ベニー・カーター/Benny Carter」、「トニー・ベネット/Tony Bennett」などの大物とも共演したという。1990年代半ば、「フィル・ウッズ/Phil Woods」のクインテットに加わり、その後2001年には、「ピーター・ワシントン/Peter Washington(b)」、「ケニー・ワシントン/Kenny Washington(ds)」と「ビル・チャーラップ・トリオ」を結成する傍ら、「ジェイ・レオンハート/Jay Leonhart」、「ビル・スチュアート/Bill Stewart(ds)」と「ニューヨーク・トリオ」を組んで活躍している。
「歌心溢れる」と評したが、普通よりはゆっくりとしたテンポで、特にスタンダードな歌ものをたっぷりと聴かせてくれるのが彼の真骨頂。ゆっくりではあってもだらけず、その美しいハーモニー、切れのいいタッチはいつ聴いても新鮮な印象を与えてくれる。現役のアメリカのジャズ・ピアニストの中では、一番好きである。
海外出張にはいつも携えていったアルバムは、「ニューヨーク・トリオ/過ぎし夏の思い出(The Things We Did Last Summer)」(2002)。
過ぎし夏の思い出
ニューヨーク・トリオ / ヴィーナスレコード
やっぱり、この美しい抒情性に参ってしまうのが、「いそしぎ」のテーマ「The Shadow of Your Smile」。
「The Shadow of Your Smile - Bill Charlap New York Trio」
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「ビル・チャーラップ・トリオ」での代表アルバムは「ス・ワンダフル/'S WONDERFUL 」(1999)でしょうか ・・・。「ジョージ・ガーシュウィン/George Gershwin」などの隠れた名曲を数多く取り上げ、ロマンとスイングに溢れる快作。
ス・ワンダフル
ビル・チャーラップ・トリオ / ヴィーナス・レコード
そのアルバムから、「ロレンツ・ハート/Lorenz Hart」作詞、「リチャード・ロジャースRichard Rodgers」作曲になるスタンダード「the blue room」を ・・・。
「Bill Charlap Trio - the blue room」
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