さて、恒例の「今年私が観て面白かったと思う映画2013」。今年、映画館で観た映画と、DVDで観た映画の中から選んでいます。(2013年12月23日まで) 例によって、選んだ基準は、泣けたか、笑えたか、ハラハラ・ドキドキしたか、怖かったか、感動したか、1000円あるいはDVDのレンタル代に見合う価値があったか? 基準は、ただそれだけです。もちろん、時間とお金の関係で、観ていない映画、DVDのほうが圧倒的に多いでしょう。そんな条件の中での独断と偏見の選択であることを、予めお断りしておきます。
今年は、今までのベストテン方式から、絞り込むのは敢えてやめて、ジャンル別にしてみました。今年も昨年にもまして面白い映画が多かったように思います。ベストセラー、コミックなどの原作頼みという点にいささか不満は残るが、総じて日本映画も健闘したといえよう。
【オススメじじばば映画】
私が一番関心のあるのがこのジャンル。筆頭は「ダスティ・ホフマン/Dustin Hoffman」の初監督作品「カルテット」、そしてかっての二枚目、「ジャン=ルイ・トランティニャン/Jean-Louis Trintignant」の枯れた名演が光る「愛、アムール」。「東京物語」のリメイク作品、「山田洋次」監督が「小津安二郎」監督に捧げた「東京家族」。俳優引退宣言をしていた「クリント・イーストウッド/Clint Eastwood」が、4年ぶりに銀幕復帰を果たしたドラマ、「人生の特等席」などが心に沁みた「じじばば映画」。
(洋画)
「カルテット!人生のオペラハウス」 「マリーゴールドホテルで会いましょう」 「愛、アムール」 「人生の特等席」
(邦画)
「東京家族」
【泣けた、あるいは泣かされた映画】
歳を取ってくると涙腺が緩むというのはまぎれもなく事実である。「いかにも!」というストーリーに泣かされてしまうのはいささか癪だが、この厳選5作品には抵抗できず涙腺全開。「宅間孝行」が原作と脚本、出演、そして何と「堤幸彦」が監督という、知的障害のある娘と父との愛を描いた「くちづけ」は号泣必至でしょう。
(洋画)
「インポッシブル」 「17歳のエンディングノート」
(邦画)
「くちづけ」 「桜、ふたたびの加奈子」 「奇跡のリンゴ」
【人生のドラマ】
人生は数奇である。だからストーリーができる、ドラマになる。尋常ならざる人生、これが映画の醍醐味。そんな映画が今年も多くありました。いちおし数奇な人生のドラマは、「アルバート氏の人生」、リンカーン大統領暗殺事件に関与したことで、アメリカ合衆国史上初めて死刑となった女性の話「声をかくす人」など、邦画では「舟を編む」、「草原の椅子」など、ちょっと多すぎてなかなか絞りこめませんでした。そうそう、「宮崎駿」監督最後の長編となる「風立ちぬ」も上げておかなくては ・・・。
(洋画)
「アルバート氏の人生」 「ゼロタウン 始まりの地」 「命をつなぐバイオリン」 「声をかくす人」 「プリンセス・カイウラニ」 「ライフ・オブ・パイ」 「レ・ミゼラブル」 「ローマ法王の休日」 「最強の二人」
(邦画)
「草原の椅子」 「カラスの親指」 「終の信託」 「鍵泥棒のメソッド」 「レンタネコ」 「舟を編む」 「天地明察」 「少年H」 「風立ちぬ」
【原発事故】
このジャンルは、これからも是非とも観ていきたいところ。チェルノブイリ、福島、いずれも故郷を奪われた悲劇を描く。私がずっと注目している「園子温」監督、いちはやくテーマとして取り上げたその心意気に拍手!
(洋画)
「故郷よ」 (邦画)
「希望の国」
【ファンタジー/SF】
このジャンルに期待するものは、CGもさることながら、奇想天外な環境設定、その非現実世界の物語の与える感動、そして何よりも観たことのない世界の映像美。その点で「オブリビオン」は抜きんでていた。
(洋画)
「オブリビオン」 「ホビット」 「ルビー・スパークス」 「ティモシーの小さな奇跡」 「ジャックと天空の巨人」
(邦画)
「ツナグ」 「きいろいゾウ」
【サスペンス、ミステリー】
なんといっても私が一番好きなジャンルである。しかしながら、もうネタが出尽くしたのか、最近はなかなか秀作が少ない。「この手があったのか」と舌を巻いたのが、「ミッシング」、「崖っぷちの男」。ハラハラ・ドキドキは脱出劇「アルゴ」。邦画は残念ながら ・・・。
(洋画)
「ミッシング」 「アルゴ」 「崖っぷちの男」 「ヒプノティスト~催眠~」 「東ベルリンから来た女」 「インターセクション」 「ランズエンド~闇の孤島~」 「偽りなき者」
【ホラー】
この分野も好きですが、もうネタは出尽くした感じ。ゴシック、正統派とも、かっての「エクソシスト」、「シャイニング」などには到底及ばず、低予算、安易な脚本のシチュエーション・ホラーか、「パラノーマル・アクティビティ」の亜流ばかり。かっては、ハリウッドも注目した日本ホラー、「リング」に匹敵する作品は見当たらない。敢えてあげるなら2作品。
(洋画)
「ポゼッション」 「フッテージ」
【アクション】
ヒーローもの、西部劇、戦争、警察、スパイ、犯罪、カー(車) ・・・、肩がこらずに観ることができるエンターテイメントの王道。今年もA級、B級あわせて沢山楽しませてもらいました。しかし、CG技術の進歩と、一連の「リュック・ベンソン」監督が関係する作品の大ヒットの影響により、よりリアルなアクション・シーンを追究する作品が増え、「007」ですらも、男のおとぎ話ではなくなってしまった。今回も、「コロンビアーナ」、「96時間~リベンジ」、「ブラインドマン」と彼がプロデュースや脚本などで係わった3作品をピックアップ。しかし、このジャンルは邦画は力不足、「藁の楯」だけが一人気を吐く。
(洋画)
「コロンビアーナ」 「ジャンゴ~繋がれざる者」 「96時間~リベンジ」 「空の上3メートル」 「007スカイフォール」 「逃走車」 「ゼロダークサーティ」 「ボーン・レガシー」 「ブラインドマン」
(邦画)
「藁の楯」
【じじばばアクション】
さて、今年の特徴の一つに、往年のアクション・スターの復活があげられよう。「ブルース・ウィリス」、「シルベスタ・スタローン」、「アーノルド・シュワルツェネッガー」、そうそう「ジャッキー・チェン」も ・・・。そんな訳で、新しいジャンルを設定してみたものの、多いわりに評価できる作品はあまりありませんでした。
(洋画)
「ラストスタンド」 「REDリターンズ(RED 2)」
最後に、映画音楽。「カルテット」におけるクラシック曲群、「17歳のエンディングノート」の音楽担当の「ダスティン・オハロラン」の弾くピアノ、「現代のベートーヴェン」とも呼ばれる話題の作曲家、「佐村河内守(さむらごうち・まもる)」が音楽担当した「桜、ふたたびの加奈子」の全篇に流れる旋律が印象にのこっているが、何と言っても一番泣けた映画、「くちづけ」の涙のエンディングに流れていたのは、かって「アン・ルイス」が、1974年に歌った「グッド・バイ・マイ・ラブ」のカバー。歌っているのは、「熊谷育美」。
グッド・バイ・マイ・ラブ
熊谷育美 / テイチクエンタテインメント
「Ikumi Kumagai - Goodbye My Love」