「ザ・ブリッジ」。そんなDVD(全5巻、10話)を見た。デンマークの首都「コペンハーゲン」とスウェーデン第3の都市「マルメ(マルモ)」との間に横たわる「エーレスンド(オーレスン)海峡/Öresund channel」をまたがって繋ぐ、「オーレスン橋/Öresund Bridge」。そのライトが突然消えた。しばらくして電源が復旧すると、その橋の上の国境線上には切断された女性の遺体があった。上半身はスウェーデン側に、下半身はデンマーク側に置かれて ・・・。こんなシーンで始まる極上の北欧ミステリー、TVドラマである。
THE BRIDGE/ブリッジ DVD-BOX
アルバトロス
なぜこのドラマを見たいと思ったのか。それは、この海峡と橋には私はいささかの思い出があったからである。(参照拙ブログ
「おやじのハコものがたり(2) ~橋の思い出~」 現役時代、この橋のスウェーデン側の街、「マルメ」に子会社があり、その子会社化するための交渉の担当、その後の事業責任者として何回もこの海峡を訪れたことがあるからである。
最初に訪れたのは、1996年だったであろうか。この時はコペンハーゲン、カストロップ国際空港からは、ヘリコプターで海峡を越えた。海峡の幅は10数キロ、ひとっ飛びであった。橋はその前年、両国の建設合意の直後で、まだ工事に着手したばかりだった。それからは、いつも空港の港から出る高速フェリーで海峡を越えていた。中央部が吊り橋構造となっていて特徴的な形をしているその橋が段々と出来上がっていくのを見ながら海峡を渡ったものである。(上の写真はスウェーデン側から、下の写真はデンマーク側から見たもの いずれもNETより拝借)
距離が短くても国際航路なので、船中はタックス・フリー。いわゆる消費税が高いため、乗客のスウェーデン人のほとんどはこの船の中で、酒、タバコを限度一杯購入していた。そんな生活の知恵を目の当たりにしたり、一般の人のスウェーデン気質などに触れる1時間ほどの楽しい航海のひと時であった。2000年に正式開通した後は、空港からマルメの中央駅まで直通の列車で40分程で結ばれるようになったため、非常に便利になった。出張時の休日、コペンハーゲンの街に遊ぶ時も、ドライブがてらこの橋をよく渡ったものである。
その後担当が替り、定年を迎え、10年ほど前に訪問したのが最後であった。DVDを観ながら、時折でてくるマルメの街のシーンに懐かしさでいっぱいになった。思えば、わたしの音楽シーンにおける北欧びいき、スウェーデンびいきの由来の原点は、間違いなくここに始まるのである。
「北欧の貴公子」と呼ばれるジャズ・ピアニストがいる。「ヤン・ラングレン/Jan Lundgren」である。1966年、スウェーデンの生まれ。やがて、マルメ音楽学院に進学。1981年卒業と同時に「マルメ音楽学院」で教鞭を取る傍ら、音楽活動を始める。現在はマルメに住んで、コペンハーゲンを音楽活動の拠点としているという。(参照拙ブログ
「スエーデン美女シンガー図鑑(番外編) ~My Dear Old Stockholm~」、
「もしもピアノが弾けたなら(12) ~人魚姫のとまどい~」 など) そんな「ヤン・ラングレン」が、5年ぶりにトリオの新作をリリースした。「FLOWERS OF SENDAI」。かっては甘すぎるといいう評価もあったが、相変わらずの、北欧の空気を感じさせる美しい旋律とタッチがいい。
アルバム・タイトルの「SENDAI」。ある資料には、「彼は、既に3度来日しているが、2003年の3回目の来日時には、仙台で公演をしているという。その時の仙台が被災したことから、このタイトルになったのではないかと推測される」とあった。仙台は大学時代4年間を過ごした街。もしそうだとすれば、私の中で、「ヤン・ラングレン」によって、仙台~コペンハーゲン~オーレスン橋~マルメという環が繋がったことになる。
心地よい余韻が静かに残る演奏。パーソネルは、「Jan Lundgren (p)」、「マティアス・スベンソン/Mattias Swenson (b)」、「ソルタン・チョース/Zoltan Csorz (ds)」。
Flowers of Sendai
Jan -Trio- Lundgren / Bee Jazz
そんなアルバムから2曲。
「Jan Lundgren Trio - Parfait Amour」
ピアノ・ソロによるタイトル曲「FLOWERS OF SENDAI」。
「Jan Lundgren Trio -Flowers of Sendai」