
我が住宅地の近辺に比べ、遊びの山ではちょっぴり早めに秋の気配が濃厚に。いつもながらの仕事師、「チョッキリ虫」の活動が始まった。、「チョッキリ虫」が見せる職人芸は、「クヌギの枝の切り落とし」。正確には、「ハイイロチョッキリ」である。体長(口吻を含まない)が、8㎜前後のオトシブミ科の甲虫である。9月ごろに、クヌギ、コナラなどの実(ドングリ)に卵を産み、その後、枝ごと切ってドングリを地表に落としてしまう。そうやって産みつけた卵は、翌年の初夏に羽化する。
まるで剣豪が切ったような、その枝の切り口の見事さと、どんぐりの真ん中に正確に穴を開けるその技には、いつもながら感心する。(参照拙ブログ
「剣豪 チョッキリ虫」、
「技の冴え ~続・剣豪チョッキリ虫~」 など) さて、秋がすこし見えた ・・・。
秋の気配を感じる宵に引っ張り出してきたピアノ・トリオは、「ジャン・ロットマン・トリオ/Jean Rotman Trio」。フランスの「全く」知られざるジャズピアニスト、「ジャン・ロットマン」が、1986年の4月に、「パトリス・ソレル/Patrice Soler (b)」、「ローラン・ロゼマン/Laurent Rosemain (ds)」と共に自主制作で吹き込んでいた1枚、「マティアス・ジョブ/Mathias Job」。2012年CDで再発されたもの。
ほとんど情報はないが、ライナーノーツによると、「ジャン・ロットマン」は、1950年生まれ。5歳の時にクラシック・ピアノを始め、15歳でジャズに目覚めたという。18歳の頃には、自らビッグバンドを率いていたというから驚き。やがて、ピアノ・トリオやカルテットなどのコンボ活動にシフトしていったが、ピアノ・トリオに落ち着いたという。しかしながら、この人ほとんど評価されていないという。その最大の理由は、本職はお医者さん。その傍らにというか、一筋でないというところに何らかのわだかまりを感じるファンが多いということでしょうか。
全曲がオリジナル曲と言う本作は、スウィンギーなナンバー、華麗なワルツ、美メロバラッド、そしてメロウなボサ・ジャズまで盛りだくさんのフレンチ・ピアノ・トリオのアルバム。自主制作というが、とてもそんな感じはしない。特に、欧州ピアノ・トリオに共通するエレガントで切なさが滲むピアノに加え、力強さをサポートするリズム・セクションが素晴らしい。海辺で戯れる子供達のジャケットも印象的。
ところで「マティアス・ジョブ/Mathias Job」というこのタイトル。幼くして病気で亡くなった甥っ子、「マティアス」に捧げている。医者でありながら、助けられなかった甥っ子に対する想いが、彼をして自主制作にまで駆り立てたのでしょうか。
マティアス・ジョブ
ジャン・ロットマン・トリオ / プロダクション・デシネ
「Mathias」、「Bossa lisse」あたりが聴きものですが、超無名、自主制作ということで、ほかを含めて、YOUTUBEへのアップも全くありません。
「プロダクション・デシネの試聴コーナー」 から、さわりを聴いてみてください。(太文字部をクリックしてください)