秋も少し深まり、このところ雨の日が多くなり、「セミ(蝉)」の鳴き声がめっきり減ってきた遊びの山で、小さな「セミ(蝉)」を見つけた。体長2~3cmくらいでしょうか、「アカマツ(赤松)」の大木に目立たず、へばりついている。小ささといい、見かけた季節といい、確信はないが、「チッチゼミ」ではないしょうか。この「チッチゼミ」、産卵は、「コバノミツバツツジ(小葉の三葉躑躅)」や「ネジキ(捩木)」、「アセビ(馬酔木)」など、この山もそうであるが、いいわば里山に多くある「ツツジ科」の枝に行い、松林が生息のために適した環境であるというから、まさに里山に適応した「セミ」ともいえる。この「セミ」を見かけるようになれば、もう夏は終わりである。
さて、今宵の「タンスの肥やしになっていたピアニスト」は、懐かしや、「MJQ」のリーダーで今は亡き大御所、「ジョン・ルイス/John Lewis」。その彼が、「MJQ」とは別に、「バッハ/Bach」に挑んだアルバムである。
「ジョン・ルイス」、1920年、イリノイ州で生まれ、ニューメキシコ州で育つ。オペラ歌手だった母の影響で早くから、ジャズとクラシックに興味を持ち、7歳でピアノを始めたという。大学卒業後、ニューヨークの「マンハッタン音楽学校」で音楽理論と作曲法を学んだ。その後、「ディジー・ガレスピー/Dizzy Gillespie」の楽団でデビュー、キャリアを積み、1952年に、ガレスピー楽団出身者を集めて「モダン・ジャズ・カルテット/Modern Jazz Quartet(MJQ)」を結成した。ヨーロッパ・クラシックの室内楽の手法をジャズに導入し、終生にわたってリーダーとして、「MJQ」を端正かつユニークな音楽性をもつ史上不滅のジャズ・コンポに育て上げた。
そんな彼が、60歳を過ぎてからは、「J.S.バッハ」作曲の「平均律クラヴィーア曲集第I巻・前奏曲とフーガ全曲」に挑んだアルバムがある。たしか、5年の歳月をかけて完成した作品で、第4集までリリースされている。優雅、優美、端正、上品 ・・・、そんな言葉がいずれもあてはまり、秋の夜長に聴くには最適の一枚。
プレリュードとフーガ Vol.1
ジョン・ルイス / マーキュリー・ミュージックエンタテインメント
アルバム丸ごとYOUTUBEにアップされていますので、どうぞ。パーソネルは、「ジョン・ルイス/John Lewis(piano)」、「ジョエル・レスター/Joel Lester(violin)」、「ロイス・マーティン/Lois Martin(viola)」、「ハワード・コリンズ/Howard Collins(guitar)」、「マーク・ジョンソン/Marc Johnson(bass)」。
「John Lewis - J. S. Bach, preludes & fugues : Vol.1」