コスモス(秋桜)、彼岸花(曼珠沙華)、千日紅 ・・・。ウォーキングの道筋に咲いている花々である。あまり汗も噴き出さなくなってきて、日差しもほどよく和らぎ、歩いていても至極快適である。近くの小学校では、運動会の練習に余念がない。もうそんな季節なんだ。親父の位牌の前に、ビールと饅頭を供えた。
さて、秋の宵の定番女性ボーカルは、前回に続いて「ジャヒンサ(ジャシンタ)/Jacintha」。月並みですが、「枯葉/Autumn Leaves」はいかがでしょうか。収録されているアルバムは、「Autumn Leaves~The Songs Of Johnny Mercer」。これもやはり前回同様、「Fim [1st Impression]レーベル」であり、SACD/CDハイブリッド仕様。その録音の質の良さは、彼女の歌唱力を際立たせ、女性ボーカルファンは至福の癒しの時間を過ごせるだろう。(注;下記アルバムはレーベルが違うので、SACD/CDハイブリッド仕様かどうかわかりません。)
Autumn Leaves: The Songs of Johnny Mercer
Jacintha / Groove Note
至福の「枯葉/Autumn Leaves」を ・・・。名盤「Somethin' Else」を意識したようなアレンジも興味深い。
「Jacintha - Autumn Leaves」
さて、ここでちょっと薀蓄。もともと「枯葉」は、1945年に「ジョゼフ・コズマ/Joseph Kosma」が作曲し、後に「ジャック・プレヴェール/Jacques Prévert」が詞を付けたシャンソンの名曲。それをジャズのスタンダードにしたのは、かの「マイルス・デイヴィス/Miles Davis」である。その辺の事情を拙ブログ、
「私の秋も深まっていく」、
「もしもピアノが弾けたなら(18) ~パリ・もう一つのJAZZ史の街~」から、抜粋、再録をしておきましょうか。
「枯葉」は、1946年に製作された「天井桟敷の人々」(1944)で知られる「マルセル・カルネ/Marcel Carné」監督の映画、「夜の門/Les Portes de la Nuit」で挿入歌として、「イヴ・モンタン/Yves Montandによって劇中で歌われたのが最初であったが、ヒットしなかった。しかし、これに続いて当時人気があった知性派の女性シャンソン歌手「ジュリエット・グレコ/Juliette Gréco」が歌ったことで「枯葉」は世に認知されるようになり、1940年代末から1950年代にかけ広まって、シャンソン界のスタンダード曲となったという。
「カフェ・フロール/Cafe le Flore」や「ドゥ・マゴ/Aux Deux Magots」などといった「サン・ジェルマン・デ・プレ/Saint Germain des Prés」のカフェに集まる文化人たちのアイドルだった美貌のシャンソン歌手、「ジュリエット・グレコ」と恋におちたのが、1949年、当時パリに滞在していたジャズの帝王「マイルス・デイヴィス」。
帝王と女神の恋はたった2週間の短い間だったという。ふたりは、手を取り合って、セーヌ河畔や「サンジェル・マン・デ・プレ」を散歩し、カフェで、サルトルやボーヴォワールらとも語り合ったという。(写真は、サンジェルマン大通り(Boulevard Saint-Germain)」のカフェ、「ドゥ・マゴ」) そしてグレコの紹介で「ルイ・マル」監督に会ったマイルスは、後にあの「死刑台のエレベーター」の音楽を担当することになる。
そしてのちに、マイルスは、アルバム「Somethin' Else」で、あのジャズでもスタンダードとなる名演奏「Autumn Leaves」を吹き込む。きっとマイルスはグレコのことを脳裏に描きながら演奏したに違いない。「枯葉」をJAZZの世界で一挙に有名にし、その後のスタンダードしたアルバムが「キャノンボール・アダレイ/"Cannonball" Adderley」の「Somethin’ Else」。当時マイルスが他のレコード会社と契約中だったので「キャノンボール・アダレイ」名義でリリースしたという。(Wikipediaなどより)
パリには、アメリカとは違う「もう一つのJAZZ史」があるのだ ・・・。
Somethin' Else
Cannonball Adderley / Blue Note
その「ジュリエット・グレコ」、御年87歳。あす24日から3年ぶり22回目の日本公演に臨むという。「凄い!」の一言に尽きますね。グレコの「枯葉(原題;Les Feuilles Mortes 直訳;死んだ葉っぱ)」も聴いてみましょうか。
「Juliette Greco-Les feuilles mortes」