空見上げれば、一面の「鰯(いわし)雲」、いや「鱗(うろこ)雲」かな。「いわし雲」も「うろこ雲」も同じ「巻積雲(けんせきうん)」。その違いは見た目だけだそうだ。細長い雲が集まっていて、全体的な見た目の印象が「イワシの群れ」なら「いわし雲」。丸っこい雲が集まっていて、全体的な見た目の印象が「魚のうろこ」なら「うろこ雲」だそうだ。わかったようなわからないような ・・・。まっ、早い話がそう思ったもの勝ち、見た人が感じた方の雲でいいようだ。さすれば、これは「うろこ雲」としておこうか。
この「巻積雲」、日本では、台風や移動性低気圧が多く近づくため、特に秋に多く見られ、秋の象徴的な雲だとされている。「鰯雲」なんていう秀逸な日本映画もありましたね。
さて、今宵の「タンスの肥やし」から引っ張り出してきたのは、「パオロ・ディ・サバティーノ・トリオ/Paolo Di Sabatino Trio」。アルバムは、「ATELIER OF MELODY」(2008)。
リーダーの「パオロ·ディ·サバティーノ」は、1970年イタリアのテラモ生まれというから、ちょうど油ののりきったさかりの頃か。 彼は幼い頃から、ピアノの勉強を父親の指導の下受け、1990年、20歳で地元の音楽院を最高の成績で卒業し、ジャズ・ピアニストとしての道を歩みだした。その後数々のコラボ、世界ツアーへの参加などキャリアを重ね、いまに至っている。2008年から、「澤野工房」よりアルバムをリリースして以来、日本でも着実にファンが増えているという。。
収録曲の半分ほどがスタンダード、残りがオリジナル。どちらかというと、ラテン気質全開で、かなり饒舌に、押してくる感じの技巧派ピアニストというイメージであるが、イタリア的哀愁はちゃんと込められている。そんなところが、抒情性を重んじる澤野のコンセプトにも矛盾せず、新風も吹き込めるという計算もあったのではないでしょうか。これは、掘り出し物か ・・・。サポートは、「マルコ・シニスカルコ/Marco Siniscalco (b)」、同姓のことから、パオロとは兄弟関係ではないかと思われる、「グラウコ・ディ・サバティーノ/Glauco Di Sabatino (ds)」。
ATELIER OF MELODY
パオロ・ディ・サバティーノ・トリオ / 澤野工房
「才気煥発」とはこんな人の事を言うのでしょう。「Paolo Di Sabatino」のアレンジが冴える「イパネマの娘」。
「Paulo Di Sabatino - The Girl from Ipanema」
リリカルな「Song 12」は、ベースの「Marco Siniscalco」のオリジナル。
「Song 12 - Paolo Di Sabatino TRIO」