弾丸帰省の帰り道、中央高速の恵那峡SAから、噴火からちょうど1ヶ月経つあの「御嶽山」が見えた。信州人、特に中南信地域の人間にとっては、長野県のもうひとつの有名な火山である「浅間山」などより、はるかに馴染みがある火山である。松本周辺のすこし高い山に登れば、あの孤高の「御嶽山」が見える。
「♪ 木曽のナー 中乗りさん/木曽の御岳(おんたけ)さんは ナンジャラホーイ/夏でも寒い ヨイヨイヨイ ・・・ ♪」 と地元の盆踊りでは必ず謡い踊られる「木曽節」や、小学校の頃から県歌として慣れ親しんでいる「信濃の国」にも、「♪ 御嶽、乗鞍、駒ヶ岳、浅間は殊に活火山 ・・・ ♪」と歌われている山である。
また、古くから信仰の山として地元の人々の畏敬を集めてきた山で、たしか松本にもいくつかの「御嶽教」の道場というか、教会みたいな建物があったと記憶している。また、「御嶽山」への集団登山の「講(こう)」があり、近所の人が、揃いの白衣姿に菅(すげ)笠を身にまとい、「六根清浄」と書かれた杖を持って参加していったという記憶もある。それほど、我が故郷では、一般の人にもなじみの深い山である。
私は「御嶽山」には登ったことはないのであるが、私とのつながりといえば、「御岳百草丸(ひゃくそうがん)」である。御岳の麓、王滝村の「長野県製薬」が製造販売する和漢胃腸薬であるが、これが普段薬を飲まない私になぜか合っているのである。胃腸の具合がちょっとでも悪い時はこれを飲めば、ほほ即座に治るので、海外出張には欠かせない常備薬であった。
「百草丸」は、ミカン科の落葉高木「キハダ」の内皮から抽出される「オウバクエキス」を主成分というが、690年頃、畿内に疫病が流行した折、修験道の開祖、「役小角(えんのおづぬ)」が、大和国葛城の寺の境内に大きな釜を据え、「キハダ(黄檗、黄膚、黄柏)」を煎じて煮詰めた薬を多くの病人に飲ませ、救済して以来、「オウバクエキス薬」は山岳修験者の間で常備薬として用いら れるようになったという。その修験者の間で伝えられた秘伝が江戸時代に「御嶽山」の麓の村人に伝えられ、「百草丸」の起源となったという。(Wikipedia による)
久しぶりに「百草丸」を取り出し、パッケージに描かれている雪を被った「御嶽山」を見つつ、「百草丸」の起源にも思いを馳せてみた。
さて、今宵のお久しぶり歌姫は、「ローリー・ウィーラー/Laurie Wheeler」。アルバムは「トワイライト/Twilight」。たしか、「ジャケ買い」したアルバムだったが、あの「ラリー・カールトン/Larry Carlton」が全面参加のアルバムと知って、納得したアルバムでもあった。
彼女、テネシー州「ナッシュビル/Nashville」を拠点に、もう20年以上も活動している大ベテランで、ダウンビート誌の読者人気投票、世界の女性ジャズボーカル部門で、2年連続トップ10入りをしているという。その割には、知名度もほとんどなく、リリースされたCDも4枚ほどといたって寡作である。しかし、調べてみると、そのアルバムには、素晴らしいハーモニーと、ビ・バップ風のスキャットと印象的なアレンジ、そしてなによりも彼女のジャズに対する愛と素晴らしい歌唱テクニックがぎっしりと詰まっているという評が載っていた。
たしかに大人の雰囲気。そして、声をまるで楽器のようにコントロールしている。高速スキャットになると、それがさらに際立ってくる。しかし機械的でなく、伸びやかで暖かい声なのだ。そしてバラードもいい。いろいろな温度の声を持っているようだ。
「Killer! This girl sings jazz. (いやあ参ったね!彼女まさにジャズっているね)」とは、彼女を評した「ラリー・カールトン」の言葉。(参照拙ブログ
「美ジャケに恋して」より)
Twilight
Laurie Wheeler / 335 Records
アルバムにも収録されている「Easy To Be Happy」がYOUTUBEにアップされている。何回か行ったなつかしのニューヨーク「Blue Note」での「ラリー・カールトン」とのコラボ・ライブ。(再録)
「Laurie Wheeler & Larry Carlton - Easy To Be Happy - at NYC Blue Note」