Wikipedia によると、「つるし雛」は、「雛のつるし飾り」とも呼ばれ、江戸時代後期から伝わる伊豆稲取地方の風習を起源とするようである。いわゆる雛人形の「ひな壇飾り」が上流階級やお金持ちの飾りとするなら、縮緬(ちりめん)などの着物の布を解いて作った「つるし雛」は、桃の節句に、女の子の無病息災、良縁を祈願する庶民の飾りであったようだ。
さて、よくお邪魔するブログにとりあげられていたので、久しぶりに聴いてみたいと思った歌手がいる。「ブイカ/Concha Buika」である。この歌手を知ったのは、わたしがご贔屓の「ペドロ・アルモドバル/Pedro Almodóvar」監督の映画、「私が、生きる肌(原題;La Piel Que Habito)」(2012年日本公開)。情念のこもった劇中歌を聴いたからである。(参照拙ブログ「ペドロ・アルモドバルの音楽 ~映画「私が、生きる肌」を観て~」)
「(コンチャ・)ブイカ」は、1972年生まれ、スペインの「パルマ・デ・マジョルカ/Palma de Mallorca」の出身。アフロ、フラメンコ、ソウル、ファンク、ジャズなどジャンルの垣根を越え、全てを包括したともいえる独特の情念とスペイン語でそれらを歌う。その圧倒的ヴォーカル・パフォーマンスは比べるアーティストが思い浮かばないほど稀有のシンガーである。
両親は赤道ギニア共和国からの移民で、彼女はジプシーとして少女時代を過ごす。「私が、生きる肌」では、劇中パーティーの場面で、「Se Me Hizo Facil」と「Por El Amor de Amar」の2曲を歌っていたが、誰かが「鉄錆色」と表現したその一度聴いたら忘れられない声に大きな衝撃を受け、即、それらが収録されているベスト・アルバム「En Mi Piel (Best Of Buika)」を求めてしまった。
ベースは「フラメンコ」にあるにしても、「ジャズ」あるいは、「フラメンコ」という既存のカテゴリーにはとても収まりきらない歌い方だ。「フュージョン」という評さえも、なにか違和感を感じてしまうくらいユニークである。そんな彼女の2005年から2009年にリリースされた4つのCDからのハイライトがベスト・アルバム、「En Mi Piel(私の肌)」である。