我が家の小さな庭先に来た春。「スイセン(水仙)」の愛らしい黄色。「ジンチョウゲ(沈丁花)」のかぐわしい薫り。春、毎年同じように繰り返し咲く花。命の意味を感じる。
今宵の曲は、ちょっと変わったところで、久しぶりに聴く「Journey of Life」。ノルウェー生まれのピアニスト、「トルド・グスタフセン/Tord Gustavsen」の変則的なトリオ編成のアルバム、「What Was Said」(2015)から。
ECMトリオ3部作の最後を飾る「Being There」のあとトリオ休止宣言。カルテット、アンサンブルへと活動を移した「トルド・グスタフセン」。これまでもトリオで長年一緒だったドラマー、「ヤーレ・ヴェスペシュタ/Jarle Vespestad」と、ドイツ生まれのアフガニスタン系女性ヴォーカリスト、「シミン・タンデール/Simin Tander」を迎えた変則的トリオでのアルバム。
彼自身の曲が半分と、ノルウェーの賛美歌で構成されているという。その賛美歌をシミンが出身であるアフガニスタンの言語、「パシュトー語」に訳して歌っている。深いところまではとても分からないが、キリスト教的観念とイスラム教的観念との融合。まさにグスタフセンは今世界が直面している問題を、新しい世界として提示して見せてくれたのかもしれない。
「シミン・タンデール」は語るように歌う。静けさに浮かび上がる声。神秘的なパシュトー語の響き。イスラムとキリスト教文化の融合。国境や国籍、文化、宗教など境界を越えたアイデンティティの複合性。まさにJAZZという開かれた精神が生み出したもの。そのJAZZを生み出した母国アメリカでは分断が ・・・。
what was said
gustavsen/tander/ves / ecm
「Tord Gustavsen & Simin Tander - Journey Of Life」