「雨ジャズ」といえば、私は真っ先に、「アン・バートン/Ann Burton」の「Here's That Rainy Day」が頭に浮かびます。就職してからしばらく音楽やJAZZから離れていた時期があったが、それを引き戻し、女性ジャズ・ボーカルの魅力に目覚めさせてくれたのが、「アン・バートン」の2枚のLP、「ブルー・バートン/Blue Burton」(1967)、「バラード・アンド・バートン/Ballads & Burton」(1969)であった。「ルイス・ヴァン・ダイク・トリオ/The Louis Van Dyke Trio」をバックにしっとりと歌う大人の雰囲気に聴き惚れ、女性ジャズ・ボーカルを聴き始めたのである。
この時期になると決まって聴くのが、彼女の歌う「雨ジャズ」の定番曲、「Here's That Rainy Day」。「失恋した日には決まって雨が降る」、そんな意味でしょうか。1953年、作詞「ジョニー・バーク/Johnny Burke」、作曲「ジミー・ヴァン・ヒューゼン/Jimmy Van Heusen」。
【 Here's That Rainy Day 】
「♪ Maybe I should have saved ちょっとくらいは残しておくべきだったかもしれない
Those left over dreams 叶えられなかった夢を
Funny, but here’s that rainy day 不思議ね、こんな日に限って雨が降る
Here’s that rainy day they told me about 「人生雨の日だってある」と人は言う
And I laughed at the thought でも「そんなことってある?」と笑い飛ばしてきた
That it might turn out this way それが結局こんな結果を招いてしまったの
Where is that worn-out wish 陳腐だと思って捨ててしまった
That I threw aside あの想いはどこへ行ったの
After it brought my lover near? 彼を間近に感じたのに捨ててしまったあの想いは
Funny how love becomes a cold rainy day 不思議ね どんな恋も最後は冷たい雨になる
Funny that rainy day is here 不思議ね 今度もまた雨ね ・・・ ♪」
「アン・バートン」には、「雨の日と月曜日は/Burton For Certain」というアルバムがある。3度目の来日の際に録音されたアルバムで、「カーペンターズ/Carpenters」が1971年に発表し、ヒットした曲が、アルバムタイトルになっている。このアルバムのデザイン、写真を手がけたのが、ジャズ写真家、「阿部克自」氏。デザインを手がけたレコードは7000枚を超すというが、惜しくも2008年9月に他界してしまった。最近のニュースで、「ビートルズ」が1966年6月、初来日したときの写真の撮影を委託され、その時の大量の未公開写真が発見されたと報じられていた。
雨の日に聴く「アン・バートン」。2曲目は、二人を偲んで、「雨の日と月曜日は/Rainy Days And Mondays」。
【 Rainy Days And Mondays (雨の日と月曜日は)】
作詞・作曲 P.Williams/R.Nichols
「♪ Talking to myself and feeling old 独り言を呟いて、ちょっと老けたかなと感じる
Sometimes I'd like to quit もう終わりにしたいと思うけど
Nothing ever seems to fit 自分らしいことも見つからなくて
Hangin' around, ウロウロしたり、
nothing to do but frown しかめっ面しかすることがなくて
Rainy days and Mondays 雨の日と月曜日は
always get me down いつも気が滅入るの
What I've got they used to call the blues こんな感じを憂鬱(ブルース)というのね
Nothing is really wrong 何かが間違っているわけじゃないんだけど
Feeling like I don't belong なんとなく違和感があるの
Walking around 孤独なピエロみたいに
some kind of lonely clown ただ歩き回って
Rainy days and Mondays 雨の日と月曜日は
always get me down いつも気が滅入るの