抜けるような青空、ぽっかり浮かぶ白い雲。炎天下、わずかながらではあるが、気分的に涼しさを感じる。
「雲」をテーマに、涼をよぶピアノで、酷暑お見舞いいたします。
まずは、イタリア出身、エヴァンス派の大御所、「エンリコ・ピエラヌンツィ/Enrico Pieranunzi」の美しくも典雅で華やかであるが、ちょっぴり哀愁も漂うピアノ。「ビル・エヴァンス・トリオ/Bill Evans Trio」の最後のベーシストで、現在は「イリアーヌ/Eliane Elias」の夫でもある「マーク・ジョンソン/Marc Johnson」とのデュオ・アルバム「Trasnoche(Beyond The Night/夜のかなたに)」(2003)から、「Clouds(雲)」。
まるで美しい短編物語、或いは魂の会話を聴いているかのように思え、この暑さの中で聴くと、怠惰に流されている気持ちにわずかな涼を与えてくれる。
Trasnoche
Enrico Pieranunzi & Marc Johnson / Egea
「Clouds ー Marc Johnson & Enrico Pieranunzi」
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さて、「ニコライ・ヘス/Nikolaj Hess」。北欧ジャズピアノ特有の静謐、憂愁、透徹、陰翳 ・・・ などの形容詞を一手に集めたような心に深く響く音色。1967年、デンマーク生まれのジャズ・ピアニスト/作曲家/レコードプロデューサー。ニューヨークとデンマーク・コペンハーゲンを拠点に活動し、「コペンハーゲン・リズミック・コンサバトリー」准教授。「デンマーク王立音楽院」客員教授でもあるという。1990年、「ヨーロッピアン・ベスト・ジャズピアニスト賞(アンダー25)」をはじめ、受賞も多数だという。
同じデンマーク出身で、「静寂の画家」と称される「ヴィルヘルム・ハンマースホイ/Vilhelm Hammershøi」をテーマにした彼のアルバム、「ラプソディ ~ ハンマースホイの印象 ~/Rhapsody ~ Impressions of Vilhelm Hammershøi ~」(2016)に「Clouds(雲)」という曲があり、これがお気に入りなのだが、残念ながらアップされていないので、アルバム・タイトルにもなった「I Hear a Rhapsody」を。
パーソネルは、「ニコライ・ヘス(p)」のほか、「ポール・モチアン・バンド/Paul Motian Band」でも活躍した、「アンダース・クリステンセン/Anders Christensen (b)」、実弟の「ミケル・ヘス/Mikkel Hess (ds)」、そして、北欧の民族的多様性や響きを表現したかったのであろうことがゲストに迎えたパーカッション奏者、「マリリン・マズール/Marilyn Mazurm (perc)」。そして録音は、あのECMによく登場するオスロの「レインボースタジオ」専属技師の「ヤン・エーリク・コングスハウグ/Jan-Erik Kongshaug 」によってマスタリングされた。
Rhapsody
Nikolaj Hess feat.Marilyn Mazur / SPACE SHOWER MUSIC
「I Hear a Rhapsody - Nikolaj Hess, Marilyn Mazur, Mikkel Hess, Anders Christensen」
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そして、YOUTUBEにアップされていた、涼をよぶピアノは、出典はわかりませんが、ズバリ、「Sommerdag(summer day)」。
「Nikolaj Hess - Sommerdag」
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少しは涼しくなっていただけたでしょうか。