今宵の曲、黒人霊歌から、「Wade in the Water」。直訳すれば、「川や流れの中を歩いて渡る」という意味。しかし、この歌には、もっと深い意味があるようだ。アメリカの南北戦争以前の黒人奴隷が合法化されていた時代、耐えかねた奴隷が所有者から逃げる時、犬に追跡され捕まらないように、水の中を逃げろと歌った歌だとと言われている。また、この歌は、聖書の出エジプト記、「モーゼ」が海を割って渡るシーンと重ね合わせている。「水の中を行け、水を歩くんだ、子供たちよ」。
【 Wade in the Water 】
「♪ Wade in the water 水の中を行け、
Wade in the water 水の中を歩くんだ、
Children wade, in the water 水を歩くんだ、子供たちよ
God's gonna trouble the water 神様が水を操って追跡できないようにしてくださる
Who's that young girl dressed in red 赤い服の人達を見てごらん
Wade in the water 水を歩くんだ、子供たちよ
Must be the children that Moses led あの人たちがモーゼのように
God's gonna trouble the water 水を操って追跡できないようにしてくださる
Wade in the water, wade in the water children 水の中を行け、水を歩くんだ、子供たち
Wade in the water, 水を歩くんだ
God's gonna trouble the water 神様が水を操って追跡できないようにしてくださる
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」
「エヴァ・キャシディ/Eva Cassidy」です。彼女の死後、未発表音源によるトリビュート・アルバムがいくつもリリースされていますが、この歌は、「Eva by Heart」(1997)、「Songbird」(1998)、「Simply Eva」(2011)などに収録されています。
そして、「チャーリー・ヘイデン&ハンク・ジョーンズ/Charlie Haden & Hank Jones」のデュオ・アルバム、「Steal Away(邦題;スピリチュアル)」(1994)から。黒人霊歌、賛美歌などを中心に、アメリカン・ルーツ・ミュージックを題材に繰り広げる絶妙のパフォーマンス。このアルバムは、1996年の「グラミー賞最優秀ジャズ・インスツルメンタル・パフォーマンス/Grammy Award for Best Jazz Instrumental Performance」にノミネートされた。