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大屋地爵士のJAZZYな生活

堂々たる大往生

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 すっくと天に向かって立っているのは、幹周り一抱えもある「コナラ(小楢)」の枯死木。幹の周りは、一面の「キノコ(茸)」と「コケ(苔)」で覆われている。遊びの山には、こんな枯死木、倒木、裂木、折損木などが多くあるが、その中でも、この「コナラ」は際立っている。たかが木であるが、堂々たる大往生。last standing。死してもなおあまりある存在感。かく在りたし。

 今宵の曲。「Solitude Standing/孤独」。「スザンヌ・ヴェガ/Suzanne Vega」の同タイトルのアルバム、「Solitude Standing」(1987)からである。

 このアルバムに収録されているア・カペラ、「トムズ・ダイナー/Tom's Diner」を聴いたときは、衝撃的だった。NYの雨の朝。カフェで一人朝食をとる女性の目に映った情景を通じて、大都会に生きる人々の孤独を歌い上げている。何気ないNYの街角、さりげない日常の中にこそ非日常性が隠されていることを鋭く見破るそのまなざしにはっとさせられた。

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「スザンヌ・ヴェガ 」は、1959年生まれ、カリフォルニア州サンタモニカ出身の女性シンガーソングライター。生まれてまもなく母に連れられニューヨークへ移り、多くの社会的問題を抱えた地域で子供時代を送ったという。コロンビア大学バーナード・カレッジで英文学を学ぶ傍ら、グリニッチ・ヴィレッジの小さな劇場などに立ち、幼いころの体験した社会問題を批判した曲を歌う。1984年にレコード会社との契約を結び、翌年、「Suzanne Vega(邦題;街角の詩)」でデビューし、その自己内省的社会批判は、アメリカにおいて好意的な反響を得た。

 「孤独」という概念を擬人化したこの歌、極めて印象的な詩。

【 Solitude Standing 】
  by Anton Sanko / Marc Shulman / Michael Visceglia / Steve Ferrera / Suzanne Vega

「♪ Solitude stands by the window      孤独が窓辺に立っている
  She turns her head as I walk in the room  私が部屋に入っていくと彼女が振り向いた
  I can see by her eyes she's been waiting  彼女の眼で長いあいだ待ってたんだと分かる
  Standing in the slant of the late afternoon 遅い午後の傾いた影の中で

  And she turns to me with her hand extended そして振り向いた彼女は私に手を伸ばす
  Her palm is split with a flower with a flame  その掌には炎に彩られた花が

  Solitude stands in the doorway       孤独が戸口に立っている
  And I'm struck once again           私は再びその影の黒さに
        by her black silhouette        強く印象を受ける
  By her long cool stare and her silence    じっと冷やかに見つめる眼差しと沈黙にも
  I suddenly remember each time we've met  私は突然思出した私たちが会った時を

  And she turns to me with her hand extended  そして振り向いた彼女は私に手を伸ばす
  Her palm is split with a flower with a flame   その掌には炎に彩られた花が 

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・    ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・  ♪」

 孤独(ひとり)

 スザンヌ・ヴェガ / ポリドール



「Suzanne Vega - Solitude Standing」

          

 フルアルバムもアップされています。

「Suzane Vega ー Solitude Standing(フルアルバム)」


          
   



     
by knakano0311 | 2018-10-22 11:45 | 炭焼き小屋から | Comments(0)
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