さて、今宵の曲、「Nice Work If You Can Get It」。「それができたら素敵」という意味の古い古いスタンダード。「ジョージ&アイラ・ガーシュウィン/George Gershwin & Ira Gershwin」兄弟が、1937年、「フレッド・アステア/Fred Astaire」主演の映画 「A damseil in distress(邦題:踊る騎士)」に書いた曲だという。
【 Nice Work if You Can Get It 】 by George Gershwin , Ira Gershwin
「♪ The man who only lives for making money 金のためだけに生きている男の人生って
Lives a life that isn't necessarily sunny 楽しい人生であるとは限らない
Likewise, the man who works for fame 同じように、名声だけを追う男の人生も
There's no guarantee 時がその名声を消してしまわないという
that time won't erase his name 保証はない
The fact is, the only work たった一つ確かなことは
that really brings enjoyment 本当の楽しさをもたらしてくれるのは
Is the kind that is for girl and boy meant 男と女の間にある本質
Fall in love, you won't regret it すなわち恋することさ 後悔なんてないさ
That's the best work of all if you can get it それができたら最高だね
Holding hands at midnight, 'neath a starry sky 満天の星空、真夜中に手を握り合う
Nice work, if you can get it それができたら素晴らしいね
And you can get it if you try きっとやればできるさ
Strolling with the one girl(guy), 一人の娘と散歩してみるんだ
sighing sigh after sigh 吐息をつきながらね
Nice work, if you can get it それができたら素晴らしいね
And you can get it if you try きっとやればできるさ
昔々、50年以上も前、「マル・ウォルドロン」のアルバムに、「ビリー・ホリデイ/Billie Holiday」(1915年~1959年)が作詞、彼女の最後の伴奏者を務めたマルが作曲した「レフト・アローン/Left Alone」という一世を風靡した曲がある。「ジャッキー・マクリーン/Jackie McLean」のアルトサックスにむせび泣いたものです。 そのビリーが亡くなって42年後、2002年2月にパリで録音されたアルバムが、「追憶 ~ レフト・アローン/Left Alone Revisited」(2005)。冒頭、マル自身による「Left Alone」の詩の朗読があり、ゆっくりとした噛み締めるようなシェップのサックスが流れ出す。透明感があるマルのピアノが絡み、「レディ・デイ/Lady Day」と呼ばれたのビリーの歌を今に蘇らせる。やや湿度が高く、感傷的に流れた感じがある「マル・ウォルドロン+ジャッキー・マクリーン」バージョンに比べ、かつて前衛派でならした二人が人生の重みを感じさせる枯れた枯淡の味わいが印象的。マルはその年の12月に亡くなってしまった。そんなアルバムから「Nice Work If You Can Get It」。