天気も体も生活もかったるかった今宵、軽めの音楽がいいだろうと思って引っ張り出してきたのは、ジャズとして聴けば、甘っちょろいベタな作品だが、BGMとしてなら、なんとなくまた聴きたくなる、そんな隠れBGM名盤と呼んでもいいようなアルバム、「Stories」(1994)。オーストラリア・シドニーを活躍の拠点とするピアノ・トリオ、「ビル・リスビー・トリオ/Bill Risby Trio」である。人にそれぞれにあるストーリー。そんなことを想起させ、スムース・ジャズと簡単に切って捨てられないような、透明で澄んだ音と静寂な余韻、抒情性がある。キャリアなど詳しいことは分からないが、「寺島レコード」から毎年年末にリリースされる「Jazz Bar」シリーズ、「Jazz Bar 2013」で取り上げられていたピアニストだと記憶している。録音は、1994年3月、シドニーにて。メンバーは、「Bill Risby(p)」、「クレイグ・スコット/Craig Scott(b)」、「サイモン・ベイカー/Simon Barker(ds)」。
そのアルバムからの曲、「When Photogen Met Nycteris」。辞書によると、「Photogen」は「発光生物」、「Nycteris」は「闇夜」という意味らしいが、タイトルとしての意味がわからない。そこで、好奇心が頭をもたげ、ちょっと調べてみたら、「指輪物語」の作者の「J・R・R・トールキン/J. R. R. Tolkien」などにも大きな影響をあたえた「ファンタジーの父」と呼ばれるスコットランド出身の作家、「ジョージ・マクドナルド/George MacDonald(1835-1905)」の小説に関する「The History of Photgen and Nycteris:A Day and Night Mährchen/フォトジェンとニュクテリスの物語」(1879)という論文があった。