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大屋地爵士のJAZZYな生活

この虫も個性的だ

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 すこし前に取り上げた「セミヤドリガ(蝉寄生蛾)」もかなり個性的な虫だったが、毎年、我が玄関先のプランターに現れる「オンブバッタ(負飛蝗)」もかなり個性的な虫である。メスがオスをおんぶしたままじっとしていて、近づいても逃げる気配は全くない。このバッタ、東アジアに広く分布し、公園や芝生、河川敷など、日当たりの良い草原ならどこにも生息するという。斜め上に尖った頭部が、「ショウリョウバッタ(精霊飛蝗)」によく似ているが、由来となった和名の通り、ひと周りほど体の大きいメスの上にオスが乗り、交尾時以外でもオスがメスの背中に乗り続けている。翅は長いが飛ぶことはなく、番(つがい)でじっとしていることが多く、後脚での跳躍や歩行によって移動するという。交尾の後、メスがオスを食べてしまう虫もある中で、まるで、齢(よわい)を重ねて、何事にも動じなくなった夫婦のように見える。

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 「個性的な女性ボーカルは?」と聞かれれば、私が真っ先あげるひとりは、「テレス・モンカウム/Térez Montcalm」。
   
 1963年、カナダ・ケベックの生まれのシンガー・ソングライター。アコースティックギターとダブルベースを弾き、歌う。56歳になるからもう大ベテランといってもいい。なんと6歳の時、プロ・シンガーへの道を志したという。その後、「ジミ・ヘンドリックス/Jimi Hendrix」や「エルヴィス・プレスリー/Elvis Presley」、「ビリー・ホリディ/Billie Holiday」、そしてよく比較されるという「エディット・ピアフ/Edith Piaf」、「ジャニス・ジョプリン/Janis Joplin」などの影響を受けたという。
   
 ミュージシャンとしてのキャリアのスタートは、1981年、18歳。デビュー・アルバムは、「Risque」(1994)。その後7枚ほどのアルバムがリリースされているが、セカンド・アルバム、「Parle Pas Si Fort」、自身の名をつけた、「Térez Montcalm」(2002)と続き、2007年に、英語で初めて歌ったアルバム、「Voodoo」をリリースし、世界から注目された。さらに、2009年には、「U2」、「セルジュ・ゲンスブール/Serge Gainsbourg」、「コール・ポーター/Cole Porter」など、ジャズ、ロック、ファンクの垣根を取り払って独特の世界を展開した「Connection」を発表している。彼女は自分自身を評して、「私はとてもロック的なアプローチをするジャズ・シンガーなの」と語っている。たしかに一度耳にしたら忘れえない、クセになったらやめられなくなるような独特な世界と表現力。もうロックとジャズの垣根などとっくに越えてしまっている。
   
 「テレス・モンカウム」が一番好きなシンガー、「シャーリー・ホーン/Shirley Horn」に捧げたトリビュート・アルバムが、「Here's to You-Songs for Shirley Horn」(2011)。「シャーリーにオマージュを捧げるのは容易ではなかった。シャーリーがやったっことは彼女にしか成しえなかったものだから。」と語るモンカウム。
    
 一聴すると独特のしゃがれ声。奇妙な声の印象が強いかもしれないが、瞬時の抑揚の変化にも音程がくるわず、高音部のビブラートもよく伸びていて、ボーカルとして並々ならぬ実力を感じさせる。ともあれ、彼女の歌唱を聴いていただくのが一番。POPSから「レオン・ラッセル/Leon Russell」の「A Song For You」、シャンソンからは、ピアフの「愛の讃歌/If You Love Me (Hymne à l'Amour)」、スタンダードからは、「シャーリー・ホーン」の十八番、アルバム・タイトルの「Here's To Life」。「個性的」とは彼女のためにある言葉。

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 Here's to You-Songs for Shirley Horn
 Terez Montcalm
 Universal Music
  




      
「A Song For You - Terez Montcalm」

          


「Terez Montcalm - If You Love Me (Hymne à l'Amour) 」

          

【 Here’s To Life 】
             Lyrics;Phyllis Molinary, Music;Artie Butler

「♪ No complaints and no regrets.    不平も無いし、後悔もしていません
  I still believe in chasing dreams     私はまだ夢を信じて追いかけ、
           and placing bets.    その夢に賭けているのです
  But I have learned            あなたは得たもの全てを
      that all you give is all you get   私に与えてくれたんですね
  So give it all you got.           得たもの全てを私に
  

  I had my share,              それに比べ、私は自分の取り分をもらうと、
      I drank my fill, and even though  自分ひとりだけで目一杯飲んでいたのです
  I’m satisfied I’m hungry still     それで満足すべきなのに、まだ足りないと思っていた
  To see what’s down another road,     でも、丘の向こうにつづく
            beyond the hill     もうひとつの道を見て
  And do it all again.             全てをもう一度やり直そうと思ったのです
  

  So here’s to life             そう、だから今の人生が本当の人生
       and all the joy it brings.   あらゆる喜びをもたらしてくれる今の人生が
  Here’s to life for dreamers         夢見る人たちやその夢にとって
       and their dreams.        これこそが人生と言える今の人生

  ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・      ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」


「Here's To Life - Terez Montcalm」

          

極め付きは、「ダイアナ・クラール/Diana Krall」、「ジョー・コッカー/Joe Cocker」などの絶唱カバーもあるが、「エルトン・ジョン/Elton John」の「悲しみのバラード/Sorry Seems To Be The Hardest Word」。「ごめん、きつい言い方だけど ・・・」、そんな意味でしょうか。4枚目のアルバムが、「Voodoo」(2006)に収録されているが、残念なことに廃番で入手できていません。
  

【 Sorry Seems To Be The Hardest Word 】 by Elton John, Bernie Taupin
   

「♪ What have I got to do to make you love me 
         僕を好きになってもらうには 何をしたらよかったんだ?
   What have I got to do to make you care
         僕を気にかけてもらうには 何をしたらよかったんだ?
   What do I do when lightning strikes me
         いったい僕は何をしたらよかったんだ?
   And I wake to find that you're not there
         あの稲妻のような衝撃に打ちのめされた後、君を失ったと気がついた時に
    

   What do I do to make you want me
         僕を求めてもらうには 何をしたらよかったんだ?
   What have I got to do to be heard
         僕の言葉を聞いてもらうには 何をしたらよかったんだ?
   What do I say when it's all over
         全てが終わってしまった今 僕は何を言ったらいいんだ?
   And sorry seems to be the hardest word
         ごめん、きつい言い方だけど ・・・          ♪」

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 Voodoo
 Terez Montcalm
 Marquis Music

        




「Térez Montcalm - Sorry seems to be the hardest word」

          
   
   
    


by knakano0311 | 2019-09-04 10:12 | 音楽的生活 | Comments(0)
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