さて、今宵の曲、アルバム「ロココ・ジャズ」で一躍その名を知られたルーマニア出身のバロック・ジャズの名手「オイゲン・キケロ/Eugen Cicero」。おしいことに1997年57歳の若さで亡くなってしまいましたが ・・・。ルーマニアのクラウゼンブルク出身。幼い頃よりクラシックのピアニストであった母親からピアノを習い、10歳の時にはリサイタルを開いたというからかなりの天才ぶり。しかし、兄の影響でジャズに興味を持ち始めるようになり、ルーマニアからオーストリアに移って活躍を続けているうちに見いだされ、デビュ―したのが、クラシックの曲をジャズ化した「ロココ・ジャズ」であった。聴いたのは社会人になってからのFM放送だったと思うが、アルバム冒頭の「ソルフェジオ・ハ短調/Solfeggio C-Moll」の華麗なタッチ。いまだに聴いても色褪せない「我が青春のジャズ・グラフィティ」の一枚である。そのヒット・アルバムの「柳の下のどじょう」、「ロココ・ジャズ2/Rococo Jazz, Vol. 2」(2000)から、モーツァルトの「春への憧れ/Sehnsucht Nach Dem Frühling」。
そしてアルバム、「春の歌/Spring Song」(1983 Timeless Records、2004 BMG JAPAN)から、メンデルスゾーンの「春の歌/Song Without Words for piano No. 30 in A major ("Frühlingslied"), Op. 6」。バッハのリズミカルな「平均律クラヴィア曲集前奏曲第2番」に始まり、タイトル曲、「春の歌」、ショパンの「プレリュード第4番」、バッハの「 G線上のアリア」とつづく。暖かい春の気配を運んでくれる「ロココジャズの詩人」と呼ばれたキケロの華麗なアルバム。BMG版の「マリー・ローランサン」風?のジャケットもいい。