この時期になると、「エドヒガン」桜の他に、どうしても気になる花があって、買い物のかえり少し遠回りをしてチェックに向かう。「タムシバ(田虫葉)」である。7、8年ほど前、ちょっと春の里山あたりを寄り道してと車を走らせた時、宝塚市とわが町の境付近にあるトンネルを抜けると、そこには驚くべき景色が広がっていた。明らかに桜ではない白い花が、まるでモザイクのように山一面を覆っている。そして、そんな絶景が数kmにわたって続いていたのである。ただ残念なことに、この絶景、毎年お目にかかれるわけではなく、何年かに一度だけお目にかかれるらしいので、その時以来、「そろそろかな」という時期になると、毎年チェックに来ている。いつもの山の斜面、お目当ての「タムシバ」が咲き出している。「モザイクのように・・」とまではいかないが、期待できそうだ。
「タムシバ」。モクレン科モクレン属の落葉小高木。花の香りが群を抜いていいところから、別名を「ニオイコブシ(匂辛夷)」といい、早春に白い六弁花を葉に先立って咲かせる。 他に「カムシバ」の別名をもつが、こちらは「噛む柴」で、葉を噛むとキシリトールのような甘味がするためにこの名前がつき、転じて「タムシバ」となったといわれる。 花は「コブシ」に似るが、やや小ぶりで、「コブシ」が花の下に葉が一枚ついているのに対し、「タムシバ」は花の下に葉がないので、見分けは容易であるともいう。山に春を告げる白い花が、「タムシバ」で、里に春を告げる白い花が、「コブシ」である。
今年は暖冬の影響で、花の開花が前倒しなっているようで、「エドヒガン」、「コブシ」、「タムシバ」、「サンシュユ」の開花時期が重なって、花めぐりも忙しい。「タムシバ」と並んで、「コバノミツバツツジ(小葉の三葉躑躅)」も咲きだした。
今宵のピアノ・トリオ、1949年、イタリアのローマ生まれというから今年で71歳を迎え、もう円熟の大御所でありながら、いまなお旺盛でチャレンジングな演奏活動を続けている「エンリコ・ピエラヌンツィ/Enrico Pieranunzi」の新譜、「コモン・ビュー/Common View」(2020)。オランダの「イェスパー・サムセン/Jasper Somsen(double bass)」、スペインの「ホルヘ・ロッシー/Jorge Rossy(drums)」とのコラボ・アルバム。グルーヴ感あふれるダイナミックな演奏から、ピエラヌンツィの持ち味である哀愁に満ちた美メロまで、それぞれが3曲、トリオで2曲、全11曲、全てメンバーのオリジナル曲が繰り広げられる。曲想は多岐に渡っているが、決してバラバラ感はなく、一音一音気品にあふれ丁寧に演奏されている。まさに「これが3人の共通認識(Common View)だ」とアピールしているようだ。
Common View
Enrico Pieranunzi
Challenge プロモーション・ビデオから。
「Trailer - Enrico Pieranunzi | Jasper Somsen | Jorge Rossy 」 「イェスパー・サムセン(b)」の「Silk Threads」。
「Silk Threads - Enrico Pieranunzi · Jasper Somsen · Jorge Rossy」 「ホルヘ・ロッシー(b)」の「Who Knows About Tomorrow」。
「Who Knows About Tomorrow - Enrico Pieranunzi · Jasper Somsen · Jorge Rossy」 極め付きはやはり御大「エンリコ・ピエラヌンツィ(p)」の「Song For An August Evening」。
「Song for an August Evening - Enrico Pieranunzi · Jasper Somsen · Jorge Rossy」