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大屋地爵士のJAZZYな生活

Stay Home はサブスクで

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 「Stay Home 週間」。楽しくとまではいかないが、いまのところなんとかサブスクのおかげで乗り切れている。いくつも観た映画の中で、いまのところ爵士的イチオシはこれ、「グリーンブック/Green Book」。
  
 1962年、まだ人種差別が残る公民権前のアメリカ。ニューヨークに住むイタリア系アメリカ人のトニーは、クラブの用心棒をしていたが、改装でしばらく職がなくなる。そんなときに、カーネギー・ホールの上階に暮らす、ジャマイカ系アメリカ人のクラシック及びジャズ・ピアニストである、ドクター・シャーリーが、アメリカ南部へコンサート・ツアーをするためのドライバー兼用心棒として雇われる。南部は人種差別の色濃い場所。果たして、無事ツアーを終わらせられるのか? そんなロード・ムービー。
   
 1960年代のアメリカであった実話も基に、人種差別が色濃く残る地域で黒人ジャズ・ピアニストとイタリア系白人運転手が旅を続けるなかで育んだ友情を描くヒューマン・ドラマ。監督は「ピーター・ファレリー/Peter Farrelly」。主演はトニーに「ヴィゴ・モーテンセン/Viggo Mortensen」、ドクター・シャーリーに、「マハーシャラ・アリ/Mahershala Ali」。第91回アカデミー賞で作品賞・助演男優賞など三部門を受賞した。
    
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 「ドン・シャーリー/Dr. Don Shirley」は、1927年フロリダ州生まれ、アメリカのクラシックおよびジャズ・ピアニスト、また作曲家である。「ドクター・シャーリー」の名でも知られた。彼は、1950年代から1960年代にかけて「ケイデンス・レコード/Cadence Records」で多くのアルバムを収録したが、その内容はクラシック音楽の影響を受けた実験的なジャズであったという。また、スタインウェイでしか演奏しないというポリシーをもっていた。
   
 1960年代の間、シャーリーは熱心にコンサート・ツアーを行ったが、行き先には、黒人差別の激しいディープ・サウスも含まれていた。この時のツアーが、「グリーンブック」として映画化された。その「グリーンブック」とは、白人だけに許可されている場所に黒人が入るとトラブルになるので、そんなトラブルを避け、黒人が安全にドライブするためのガイドブックだという。
   
 シャーリーは2013年に、心臓病のため86歳で亡くなった。

 私もこの映画を観るまでは、彼を全く知らなかった。日本では殆ど情報が無く日本のジャズファンには、彼は「グリーンブック」公開までは無名だった幻のアーティスト。これを機会に、彼の日本盤としては初登場となるベスト盤が発売されているようだ。彼のキャリアの全盛期となったケイデンス時代の音源、有名なジャズ・スタンダード曲も数多く収録されている。
   
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 ドン・シャーリーの真髄(ザ・サウンド・オブ・ドン・シャリー:ベスト・オブ・ケイデンス・イヤーズ)
 ドン・シャーリー/Don Shirley
 CADENCE RECORDS/OCTAVE-LAB





 それらを含むケイデンス時代の演奏が、YOUTUBEにもアップされています。たしかに非凡な才能を感じますが、JAZZファンとしての私には正直言ってすこし物足らない。
   
「Don Shirley - Greatest Hits 1 (FULL ALBUM - OST TRACKLIST GREEN BOOK) 」
          
  
   
「Don Shirley - Greatest Hits 4 (FULL ALBUM - OST TRACKLIST GREEN BOOK) 」
          
  
 映画のサウンド・トラックもリリースされています。この映画の音楽を担当しているのは、ジャズ・ピアニストの「クリス・バワーズ/Kris Bowers」。

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 グリーンブック~オリジナル・サウンドトラック サウンドトラック
 ワーナーミュージック・ジャパン







 私が、印象的だったのは、映画後半のバーのシーン。最初の頃のシーンで、ツアーで移動中の車の中で、トニーがラジオをかけると、当時人気の「アレサ・フランクリン/Aretha Franklin」や「リトル・リチャード/Little Richard」、「チャビー・チェッカー/Chubby Checker」などが流れるが、ドンはクラシック畑のため、それらの曲を知らないし、嫌いだと言う。トニーは「黒人なのに知らないのかよ」と呆れ顔。この二人の音楽的な距離感が、人間的な距離感でもあり、映画後半、黒人が集まるバーで、そこ専属のリズム&ブルースのバンドとドンが共演し、二人の音楽的、人間的な距離感が一気に縮まり、他人に対するドンの距離のとり方が大きく変化するという、この物語の大きなテーマを暗示させるシーンの伏線となっている。
 
 そんなラジオから流れてきた「リトル・リチャード」の「ルシール/Lucille」と「チャビー・チェッカー」の「Slow Twistin'」を。
    
「Little Richard - Lucille」
            
   
   
「Slow Twistin' - Chubby Checker」
            
    
 ジャズからも一曲。「デイヴ・ブルーベック・カルテット」。
     
「Unsquare Dance ー The Dave Brubeck Quartet」  
              
   
      
by knakano0311 | 2020-04-28 09:53 | 観るJAZZ | Comments(0)
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