
梅雨明けを思わせるような青空。一斉に「ニイニイゼミ」が鳴きだすのが家の中にいても聞こえる。
市の中心にある公園をウォーキング中、水辺に咲く鮮やかなオレンジの「ユリ(百合)」に似た華麗な八重の花が目を惹く。「ワスレグサ(忘れ草)」、中国原産のユリ科の植物、別名を、漢方などにも用いる、「ヤブカンゾウ(藪萱草)」、「カンゾウナ(萱草菜)」といい、朝方に開花すると夕方にはしぼんでしまう「一日花」だという。
「どこかでよく見た花だなあ」となつかしさを感じた思ったら、故郷、信州の里ではどこでも見掛けた花だと気がついた。実家の周りの道端や田の畔によく咲いていたあの花の鮮やかな色。昔に見た、霧ヶ峰に群生して咲く「ニッコウキスゲ(日光キスゲ)」もこのなかまだという。
夏に咲く明るいオレンジ色のこの花、和歌では、夏の季語、および「悲しいこと(忘れたいこと)があった心境」を表す言葉として詠まれ、万葉集にも何首か載っている。
「忘れ草 垣も繁みに植えたれど 醜(しこ)の醜草(しこくさ) なお恋にけり」 『万葉集』 巻十二3062
「わが屋戸の 軒のしだ草生ひたれど 恋忘草見れど いまだ生ひなく」 『万葉集』 巻十一2475
今宵の曲。「ワスレグサ」とは無関係であるが、こちらの方がよく知られて間違いやすい花、「ワスレ
ナグサ(勿忘草、忘れな草)」にちなんでの曲、「忘れな草をあなたに」。まっ、たまには、こんな曲もいいでしょう。1933年生まれ、兵庫県加古川市出身の「菅原洋一」の歌唱。まだ、ご健在なんですかね ・・・。
「忘れな草をあなたに - 菅原 洋一(ピアノ 羽田健太郎)」