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大屋地爵士のJAZZYな生活

水羊羹に一番似合うシンガーって

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 ウォーキングので見かけた和菓子屋の店先に、「水ようかん」の張り紙。「水羊羹」を食べたくなったのと、久しぶりに「ミリー・ヴァーノン/Milli vernon」を聴こうと思った。

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 かって「向田邦子」が、そのエッセイ「水羊羹」で、『水羊羹に一番似合う』と評した女性シンガーがいる。それが「ミリー・ヴァーノン」。アルバムは、「イントロデューシング/Introducing」。
    
 『 ・・・ 水羊羹を食べる時のミュージックは、ミリ―ヴァーノンの SPRING IS HERE が一番合うように思います。この人は、1950年代にたった一枚のレコードを残して、それ以来、生きているのか、死んでいるのか、まったく消息のわからない美人歌手ですが、冷たいような、甘いような、けだるいような、生ぬくいような歌は水羊羹にぴったりに思います。・・・・』 (向田邦子;「眠る盃 水羊羹」)より
  


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 新装版 眠る盃 (講談社文庫)  
 向田 邦子
 講談社








   
 「ビリー・ホリデイ」を髣髴とさせるグルーミーな唄声が魅力の謎の美人シンガーと評された、「ミリー・ヴァーノン」の「イントロデューシング/Introducing」(1956)。「1950年代にたった1枚のレコードを残して、それ以来生きているのか死んだのか、まったく消息の分からない美人歌手」と向田邦子が書いた歌手。たしかに、今、Amazonで検索しても「イントロデューシング」を含めてもたった3枚のアルバムが出てくるだけ。
  
 「向田邦子」は、生きているのか死んでいるのか分からないといったが、ライナー・ノーツによれば、1930年、ニューヨーク生まれ、しかし、その後のキャリアなど wikipedia などにも出てこなく、まったくわからない。訃報も出てこないので、ご存命とすれば、御年90歳。まさか音楽活動をしてはいまいが ・・・。
    
 『水羊羹に合う』かどうかは別にしても、この「イントロデューシング」、どの曲も、しっとりと、やや憂いを含んで、ムーディに、歌い上げている。「向田邦子」が、『水羊羹に一番あう』と評したのは、「スプリング・イズ・ヒア/Spring Is Here(邦題;春が来たと云うけれど)」。1938年、「リチャード・ロジャース/Richard Rodgers」、「ローレンツ・ハート/Lorenz Hart」のゴールデン・コンビの手になる、古い時代のミュージカルの曲。
    
 「恋人がいないから春が来ても心が弾まず、憂鬱なの」と、甘く、けだるく、しかし情感豊かに歌われる。全編を通じ、レトロだが、聴いたあとの後味がいいというか、どこか豊かな落ち着いた気持ちにさせてくれる曲とアルバム。
     
【 Spring is here 】     by Richard Rodgers, Lorenz Hart
     
「♪ Sprinh is here              春が来たって
   Why doesn't my heart go dancing    でも、私の心が浮き浮きしないのはなぜ
   Spring is here              春が来たって
   Why isn't the waltz entrancing     でも、ワルツを聴いても心が弾まないのはなぜ
   No desire no ambition leads me     欲しいものもやりたいことも何もない
   Maybe it's becaus nobody needs me   多分誰も私のことを必要としていないから
    
   Spring is here              春が来たって
   Why doesn't the breeze delight me   でも、そよ風に私の心が浮き立たないのはなぜ
   Stars appear                美しい星たちも
   Why doesn't the night invite me      でも、夜が私を誘わないのはなぜ
   But maybe it's because nobody loves me  多分誰も私のことを愛していないから
    
   Spring is here               春が来たって
   Spring is here               春が来たって
   Spring is here I hear           春が来たっていうけど ♪」
    
    
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 イントロデューシング/Introducing
 ミリー・ヴァーノン/Milli vernon
 MUZAK,Inc.






   
「Spring Is Here - Milli Vernon」  
            
   
   
「St.James Infirmary - Milli Vernon」 
          
   
    


by knakano0311 | 2020-08-26 11:11 | 音楽的生活 | Comments(2)
Commented by carmenc at 2020-08-29 15:56 x
このミリー・ヴァーノンのアルバム持ってるかもしれません
今上がれないロフトにアルバムを置いてるので確かめられませんが、一度しか聴いてないと思いますが、たぶんこれ持ってると思います
良いアルバムですよね
水羊羹に合うと向田さんが書いてられるんですね

仙台の学生時代は夏になるとくず桜を買ってましたけど、水羊羹も好きです。10年ほど前はよく作ってました
向田さんの感覚、なんか分かるかもしれません。
Commented by knakano0311 at 2020-08-29 22:23
> carmencさん
 2007年3月7日の朝日新聞に載っていた「水ようかんに合う歌声? 向田邦子さんの愛聴版復刻」を見つけたのがきっかけで、このCDを手に入れ、そして向田邦子のエッセイ集、「眠る盃」も読みました。それ以前に、NHKTVで向田邦子の特集をやった時に、彼女の愛聴盤として紹介され、このアルバムの存在を知っていたので、やっと聴けたという喜びを覚えています。
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