3度目の「STAY HOME」。読書三昧。読んだ本のうち一冊は、「岩瀬 達哉」著、「キツネ目 グリコ森永事件全真相」(講談社)。「グリコ・森永事件」とは、1984年(昭和59年)3月の「江崎グリコ」社長を誘拐して身代金を要求した事件を皮切りに、1985年にかけて、京阪神を舞台として、丸大食品、森永製菓、ハウス食品、不二家、駿河屋など食品会社を標的とし、世間を震撼させた一連の企業脅迫事件である。犯人が「かい人21面相」と名乗り、警察やマスコミを挑発し、初の広域性の劇場型犯罪として日本中を話題と恐怖の渦に巻き込んだ事件でもある。いわゆる「キツネ目の男」が、犯人と思しき人物として何度か目撃されたが、逃げられてしまったため、結局犯人は捕まらず未解決に終わってしまった。
日本の犯罪史上に残る空前絶後の事件。147通にも及ぶ膨大な脅迫状、600点以上の遺留品、さらには目撃、尾行までされながら、ついに時効の彼方へと逃げ込んだ「グリコ森永事件」の犯人グループ。その中心人物、かつ司令塔となったのが、「キツネ目の男」だった。
私は、この事件といささか因縁がある。私がこの事件のローラー捜査の対象にされたと思われる節があるのである。当時、住んでいたマンションの目と鼻の先に、森永への脅迫状があった現場、「国道一号線、京阪本通り、守口市民会館前の歩道橋」があった。事件の最中に、廃車にした車についての電話での警察からの質問、その確認のためと称した刑事の自宅訪問。卒業以来まったく音信のなかった、長野県警に勤務しているという中学の同級生からの深夜の不可解な電話。今もってあれはなんだったのだろうと不思議でならない。事件のローラー捜査の対象にされたと思われるざるを得ないのである。
この電話を最後に、警察からの接触はまったくなくなり、現在の地に引っ越してきて、縁が切れたと思っていたのだが、実はそうではなかった。事件当時、大阪府警察本部刑事部長だったS氏が、私が勤務していた会社の関係で役員をしていたある業界団体に、警察退職後、専務理事として就任してきたのである。彼の経歴はもちろん知っていたし、大変親しくお付き合いもさせていただいたが、彼の口からこの事件について、一言も語られることはなかった。
『わが「かい人21面相」事件』 そんな因縁があるので、「グリコ・森永事件」に関する本、例えば、「一橋文哉」著、「闇に消えた怪人 グリコ・森永事件の真相」(新潮社)、「塩田武士」著、「罪の声」(講談社)などや、TVの特集のほとんどに目を通している。その最新の本が、冒頭の「キツネ目 グリコ森永事件全真相」である。
キツネ目 グリコ森永事件全真相 岩瀬 達哉 (著) 講談社 「少なくとも6人いた」という犯人グループの、役割分担、構成など明らかになった新事実への言及はあったが、真犯人やそれに迫るような新たな情報は無く、期待していただけにちょっと拍子抜けであった。しかし、読んで驚いたのは、森永への脅迫状の「西友のこうよう台とかわにしとかつらに青さんソーダおいた」とある「西友のこうよう台」とは、事件当時は知る由もなかったが、引っ越してきた時は、現在の店の道の反対側にあり、今も毎日の様に買い物に行っている「関西西友・多田店」のことであると知ったこと。いや、びっくりしましたね。もう37年もたっているのに、まだ因縁が続いているとは ・・・。
ここまで書いて、ふと視線を感じて振り返ると、土産で買った京劇の面が、じっとこっちを見ていた。
今宵の曲、「ジス・マスカレード/This Masquerade」。「仮面舞踏会」。「レオン・ラッセル/Leon Russell」の曲である。1972年のシングル「タイト・ロープ/Tight Rope」のB面に収められ、アルバム、「カーニー/Carney」にも収録されていた。1976年。「ジョージ・ベンソン/George Benson」が、彼の代表作となったアルバム、「ブリージン/Breezin'」がリリースされると、ポップやR&Bのチャートでトップ10入りするほどの大ヒット曲となった。
【 This Masquerade 】 by Leon Russell
「♪ Are we really happy with こんな孤独なゲームを続けている私たち
This lonely game we play? 本当に幸せかしら?
Looking for the right words to say かわす言葉も見つからず
Searching but not finding お互いを理解しようとしたけど
Understanding anyway 結局それもできていないわ
We're lost in this masquerade この虚構のゲームの中で迷ってしまったのね
Both afraid to say お互いに口にするのを恐れているわ
we're just too far away 二人の心がもう離れてしまったことを
From being close together from the start 最初はあんなに近かったのにね
We tried to talk it over 何回も話し合ったけど
But the words got in the way 言葉は堂々巡り
We're lost inside this lonely game we play この虚構のゲームのから抜け出せない
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ♪」
アコースティック・ギターをバックに歌うのは、アルゼンチン出身の「リヒア・ピロ/Ligia Piro」。ジャケ買いしたアルバムであるが、「ソー・イン・ラブ~ジャズ・アンド・スタンダーズ/Trece Canciones De Amor」(2009)から。
ソー・イン・ラブ~ジャズ・アンド・スタンダーズ /Trece Canciones De Amor リヒア・ピロ/Ligia Piro ジャズサン・レコード/アオラ・コーポレーション 「This Masquerade - Ligia Piro」 VIDEO 端正な歌唱で魅了するのは、「シェリル・ベンティーン/Cheryl Bentyne」。60年代のヒット曲をちりばめたアルバム、「Songs of Our Time」(2008)から。
ソングズ・オブ・アワ・タイム/ Songs of Our Time シェリル・ベンティーン/Cheryl Bentyne キングレコード 「Cheryl Bentyne - This Masquerade」 POPな感覚が新鮮で、ボッサを見直したアルバムは、ブエノスアイレス生まれの、「ガブリエラ・アンダース/Gabriela Anders」が実質一人のボサノバ・ユニットであった「ベレーザ/Beleza」の「ジョビンに捧ぐ/Tribute To Antonio Carlos Jobim」(1995)
ジョビンに捧ぐ/Tribute To Antonio Carlos Jobim ベレーザ/Beleza アルファレコード「BELEZA - This Masquerade」 お色気たっぷりの「カレン・ソウサ/Karen Souza」の最新アルバム、「LANGUAGE OF LOVE/愛の囁き」(2020)から。
愛の囁き/LANGUAGE OF LOVE カレン・ソウサ/Karen Souza ビクターエンタテインメント 「Karen Souza - This Masquerade」