オリンピックが終わってから2週間近く経った。その期間中、TVはオリンピック一色だったので、柔道、レスリング、空手などの一部の競技のほかは、開会式も閉会式も見ずに、ずっと配信によるアメリカのTVドラマ・シリーズを一気見していた。「BOSCH/ボッシュ（原題：Bosch）」である。
「マイクル・コナリー／Michael Connelly」原作のミステリー小説「ハリー・ボッシュ・シリーズ」のテレビ・ドラマ化作品である。ロサンゼルス市警察の敏腕刑事、「ハリー・ボッシュ／Harry Bosch（主演；タイタス･ウェリヴァー／Titus B.Welliver）」。現場一筋で地道に犯人を追い詰めていく職人気質の刑事で、時にはルールや上司の指示を逸脱するので、上司にはお荷物扱いの面もあるが、犯人を逃さず事件を解決するので、頼りにせざるを得ない。派手なアクション・シーンはないが、地道に捜査を積み重ね、犯人を追い詰めていく展開や、ボッシュを取り巻く人間模様が良く描かれていて面白く、全7シーズン、68話を一気見してしまった。読んではいませんが、因みに、小説の方は、関連作品を含め、実に35作品が刊行され、日本でも、33作品が邦訳されているという。
ボッシュは、LAを一望に見渡せる高台の瀟洒な住宅に住んでいるが、仕事一筋の彼にとって唯一と言っていい趣味がモダン・ジャズ。ドラマのシーンでも、毎回のように、レコードをかけるシーンや、シーン中にさりげなくジャズが流れてくる。彼は、サクソフォンがお気に入りということだが、15歳のとき。カーラジオから流れる「チャーリー・パーカー／Charlie Parker」を聴いて以来、ジャズのとりこになっているという。
私はオーディオ・ファンでも、レコード派でもないので、さっぱりわかりませんが、「マランツ6300」のレコード・プレーヤーに、「マッキントッシュ／MX110」のチューナー付きプリ・アンプ、パワー・アンプは、真空管式の「マッキントッシュ／6L6GC-240」だという。スピーカーは無指向性の3スピーカー、「オーム・ウォルシュ」で、かなりこだわりのオーディオ・システムで構成されているようだ。
ボッシュと音楽、ジャズとの関連については、小説から詳しく分析をし、情報発信をしている、「Heartbeat」氏のブログ、
「ハリー・ボッシュをもっと知りたい！ ボッシュ・シリーズと音楽 その１~18」に詳しいので興味のある方は、参考にしてください。
「Heartbeat」氏のブログによれば、「ハリー・ボッシュ」が大好きなジャズ・プレーヤーは、「アート・ペッパー／Art Pepper」だという。理由は、母親がペッパーのレコードをたくさん持っていたこと、また彼女はペッパーが演奏するジャズクラブに出入りしていたこと、さらに、ウェストコースト、LAに住んでいることだろうか。
「アート・ペッパー」について、かれの思いをたっぷり語る場面が「夜より暗き闇（A Darkness More Than Night）」に描かれている。
夜より暗き闇(上)（下） (講談社文庫)
マイクル・コナリー
講談社 「・・・ ボッシュの自宅を訪れると、ステレオにはすでにペッパーがかかっていた。（中略）『いまかかっているのはこれかい？（中略）『アート・ペッパー・ミート・ザ・リズム・セクション』？」。 するとボッシュは、待ってましたとばかりに、その盤についての蘊蓄を披露するのだ。（中略） 「アート・ペッパー」とマイルスのサイドメンが共演している。ピアノが「レッド・ガーランド」、ベースが「ポール・チェンバース」、ドラムが、「フィリー・ジョー・ジョーンズ」だ。ここLAで1957年1月19日に録音された。一日かぎりのセッションだ。・・・・」
この時流れていた曲は、「You’d Be So Nice To Come Home To」。 アルバム、「Art Pepper Meets The Rhythm Section」（1957）からである。古いジャズ・ファンなら知っている名盤。
Art Pepper Meets The Rhythm Section
アート・ペッパー
Ojc 「You'd Be So Nice to Come Home To - Art Pepper」 LAの夜景を見ながら、先ほどのオーディオ・システムでこんな曲を聴いてみたいと一瞬思った。
