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大屋地爵士のJAZZYな生活

「9.11」の真実とは ・・・

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 あれから20年。ハイジャックした旅客機でWTC、ペンタゴンを攻撃した「9.11同時多発テロ」は、我々の想像をはるかに超える事件で、誰もがその壮絶さに驚愕するとともに震撼した。米国は直ちにテロとの戦争を始めたが、軍事力による中東の民主化には失敗し、米軍は撤退した。「9.11」とは何だったのか? 「ワールド・トレード・センター/原題;World Trade Center」(2006)、「ユナイテッド93/原題;United 93」(2006)など「9.11」をテーマにした色々な映画があるが、「9.11」の背景、それを考えるうえでおすすめの骨太のTVドラマとその原作がある。

  
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 「The Looming Tower 倒壊する巨塔 アルカイダと「9.11」への道」がそれ。「ローレンス・ライト/Lawrence Wright」による、ピュリッツァー賞受賞のノンフィクション小説を初映像化した、10話からなるTVドラマ・シリーズであり、2018年2月にHuluで公開された。1990年代後半、アメリカに「オサマ・ビンラディン」とアルカイダの脅威が迫るなか、FBIとCIAのライバル関係が、意図せず9.11の悲劇をもたらす様子を描く。

 CIAは、アルカイダによる米国本土攻撃があるという情報をつかんでいたが、FBIとの主導権争いの確執から、その情報を隠し、それが「9.11」の悲劇を防ぐことができなかったことにつながったという、アメリカ政治の闇にフォーカスを当てて描いたドラマ。
        
 1998年のアルカイダによるアメリカ大使館襲撃事件から、2001年のアメリカ同時多発テロ事件に至るまでのCIAとFBIそれぞれの調査、相互不信、CIAによる情報隠匿が、2004年の公聴会での証言を交えて描かれる。実在の人物に、実在の人物をモデルとした架空の人物を加え、ドラマにニュース・フィルムを交えた構成、しかも、ドラマチックな演出や派手なアクションを避け、堅実な調査活動を中心とした演出になっている

 主人公は「ジョン・パトリック・オニール/John Patrick O'Neill」。アメリカの対テロ作戦専門家。元連邦捜査局(FBI)捜査官、対テロ作戦部長、ニューヨーク支局特別捜査官(国家安全保障問題担当)を歴任した実在した人物である。オニールは、「ウサーマ・ビン・ラーディン」や「アルカイダ」に早くから着目した数少ない人物のひとりであったが、テロ事件直前の2001年8月、連邦捜査局を退官し、「ワールド・トレード・センター」の保安責任者に就任した。しかし、連邦捜査局を退官して間もない2001年9月11日、奇しくも「ビン・ラーディン」らが引き起こしたアメリカ同時多発テロ事件に巻き込まれ、命を落とした。

 ドラマの最後に、2001年当時、「ジョージ・W・ブッシュ/George Walker Bush」大統領の国家安全保障問題担当大統領補佐官、国務長官だった「コンドリーザ・ライス/Condoleezza Rice」とCIA長官「ジョージ・J・テネット/George John Tenet」が、2004年の同時多発テロ合同調査において実際に証言している映像が登場する。2人そろって、平然と知らぬ存ぜぬを貫き通し、証言をはぐらかし責任を認めない恥知らずさ。その衝撃に言葉を失う。オープニングで、「このドラマは、実際の事件を基にしたフィクションである」ことを断っているが、「真実はこうだったのではないか」と思わせるほど破壊力のある映像が迫って来る。
    
 このTVドラマの原作が、「ローレンス・ライト/Lawrence Wright」著、「平賀 秀明」訳の「倒壊する巨塔〈上・下〉―アルカイダと「9・11」への道/The Looming Tower」(白水社 2009/8/1刊)である。


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 倒壊する巨塔 「アルカイダと9.11」への道(上・下)/The Looming Tower
 ローレンス・ライト/Lawrence Wright 著
 平賀秀明 訳
 白水社







   
 本書は、「9.11」に至るまでの道を、膨大な資料分析とインタビューを駆使して再構成し、この凄惨なテロ事件における「人間ドラマ」を描ききった、調査報道の頂点を示す傑作ノンフィクション。アルカイダのビンラディン、ザワヒリ、FBI捜査官オニールなど、「9・11」の登場人物たちの生い立ちから、教育、結婚、家庭、価値観、そして「神」にいかに向き合ったかまで、事件に至る経緯とその本質に迫っていく。ピュリツァー賞受賞作品、「ニューヨーク・タイムズ」年間最優秀図書選定。


 さて、今宵の曲は、再び「フラジャイル/Fragile」。ピアノ演奏で ・・・。最初は「ケニー・バロン/Kenny Barron」のトリオ演奏。アルバムは、「The Moment」(1992)から。パーソネルは、「Kenny Barron(piano)」、「Rufus Reid (bass)」、「ヴィクター・ルイス/Victor Lewis(drums)」。

    
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 The Moment
 Kenny Barron Trio
 Reservoir Music







「Kenny Barron Trio - Fragile」
  
     




 そして、ご贔屓「ロベルト・オルサー/Roberto Olzer」のトリオ。 「Dreamsville」(2016)から。パーソネルは、「Roberto Olzer(p)」、「ユーリ・ゴルベフ/Yuri Goloubev(b)」、「マウロ・ベッジオ/Mauro Beggio(ds)」。

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 DREAMSVILLE
 ロベルト・オルサー・トリオ
 澤野工房






「Fragile - Roberto Olzer trio」

  
 最後は、ピアノ・ソロで、イスラエル出身のジャズ・ピアニスト、「ヤロン・ヘルマン/Yaron Herman」。アルバムは、「Variations -Piano Solo-」(2006)から。
   
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 Variations -Piano Solo-
 Yaron Herman
 Laborie Jazz Records







「Yaron Herman - Variations - Fragile (Sting piano cover)」
 


   

by knakano0311 | 2021-09-12 00:00 | 音楽的生活 | Comments(0)
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