主人公は「ジョン・パトリック・オニール/John Patrick O'Neill」。アメリカの対テロ作戦専門家。元連邦捜査局(FBI)捜査官、対テロ作戦部長、ニューヨーク支局特別捜査官(国家安全保障問題担当)を歴任した実在した人物である。オニールは、「ウサーマ・ビン・ラーディン」や「アルカイダ」に早くから着目した数少ない人物のひとりであったが、テロ事件直前の2001年8月、連邦捜査局を退官し、「ワールド・トレード・センター」の保安責任者に就任した。しかし、連邦捜査局を退官して間もない2001年9月11日、奇しくも「ビン・ラーディン」らが引き起こしたアメリカ同時多発テロ事件に巻き込まれ、命を落とした。
ドラマの最後に、2001年当時、「ジョージ・W・ブッシュ/George Walker Bush」大統領の国家安全保障問題担当大統領補佐官、国務長官だった「コンドリーザ・ライス/Condoleezza Rice」とCIA長官「ジョージ・J・テネット/George John Tenet」が、2004年の同時多発テロ合同調査において実際に証言している映像が登場する。2人そろって、平然と知らぬ存ぜぬを貫き通し、証言をはぐらかし責任を認めない恥知らずさ。その衝撃に言葉を失う。オープニングで、「このドラマは、実際の事件を基にしたフィクションである」ことを断っているが、「真実はこうだったのではないか」と思わせるほど破壊力のある映像が迫って来る。
このTVドラマの原作が、「ローレンス・ライト/Lawrence Wright」著、「平賀 秀明」訳の「倒壊する巨塔〈上・下〉―アルカイダと「9・11」への道/The Looming Tower」(白水社 2009/8/1刊)である。