今日は、西宮にある「兵庫県立芸術文化センター、KOBELCO大ホール」で「小曽根真×上原ひろみ」のコンサート。元々は、今年2月9日に惜しくも79歳で急逝した「チック・コリア/Chick Corea」生誕80周年を記念して、チック・小曽根・上原の3人で行われるはずだったアニバーサリー・ツアー。
1968年の初来日以来、50年以上にわたり50回以上来日、日本のファンを沸かせてきたチックは、日本の人々と文化をこよなく愛し、日本に対して特別な思いを抱いていると生前語っていたという。今秋予定されていたツアーのテーマは「Love for Japan」。チック本人のたっての希望で企画されていた、「チック・コリア×小曽根真×上原ひろみ」による夢のピアノコンサート。残念ながら3人によるピアノ・コンサートは、幻の企画となってしまったが、チックを深くリスペクトし、チックのスピリッツを受け継ぐふたりが、チックの思いをピアノで語るスペシャル・トリビュート・コンサートとなった。
3時開演、2時開場。2時半ころ会場に着いたが、入場のための長蛇の列。約2000席の大ホールもほぼ満席。二人の人気の高さがうかがえる。ロビーには、「チック・コリア」の遺影と略歴、メッセージが置かれていた。今日二人が使用するピアノはヤマハのグランド・ピアノ。
開演。最初から二人のピアノによる対話が始まった。いきなりのエンジン全開である。そして、最後のアンコール曲の「スペイン」まで、途中、二人の一曲づつのソロを除いて、スリリングで情熱的で、繊細で、時に怒涛のように観客を圧倒する二人のインプロビゼーションに、ただただ引き込まれる。チックへの渾身のリスペクト、トリビュート。凄いものを見てしまった。凄いものを聴いてしまった。もし、ここにチックが加わっていたらどうなったんだろう。そして、「上原ひろみ」のピュアな音色がいつまでも心に残った。
本日の演奏曲
【1st set】
■Humpty Dumpty/Chick Corea
■O’berek/Makoto Ozone
■Fortitude/ Hiromi Uehara
■3 Preludes/George Gershwin
【2nd set】
■Children’s Song No.4/Chick Corea(上原ひろみソロ)
■Crystal Silence/Chick Corea(小曽根真ソロ)
■Fantasy For Two Pianos/Chick Corea
【アンコール】
■Spain/Chick Corea
「上原ひろみ」の2年ぶりの新作、ピアノ+弦楽四重奏という野心的な編成での、新プロジェクト「上原ひろみ ザ・ピアノ・クインテット」名義でのアルバム、「シルヴァー・ライニング・スイート/Silver Lining Suite」(2021)から。2020年のコロナ禍の自粛期間中に書き下ろした4パートから成る組曲「シルヴァー・ライニング・スイート」を筆頭に、オリジナル曲を収録。
「新日本フィルハーモニー交響楽団」のコンサート・マスターである「西江辰郎」を中心とするストリング・カルテットとの繊細かつ躍動感あふれる演奏は心を躍らせてくれる。「シルヴァー・ライニング・スイート」収録の「リベラ・デル・ドゥエロ/Ribera Del Duero」と、「報道ステーション」でライブ放映された「Jumpstart」を。パーソネルは、「上原ひろみ:piano」、「西江辰郎:1st violin」、「ビルマン聡平:2nd violin」、「中 恵菜:viola」、「向井 航:cello」。
シルヴァー・ライニング・スイート (初回限定盤)(SHM-CD)(2枚組) 上原ひろみ ザ・ピアノ・クインテット Universal Music 「Hiromi - Ribera Del Duero (Official Audio)」 VIDEO 「上原ひろみ - Jumpstart(テレビ朝日 報道ステーション 2021年9月10日放送)」 「小曽根真」。60歳記念のソロ・ピアノ・アルバム、「OZONE-60」(2021)。スタインウェイD型とヤマハCFXという2台のグランドピアノを曲により弾き分け、クラシックとジャズ両方の魅力を存分に伝える2枚組のアルバムから。
クラシック・サイドでは、モーツァルト、ラヴェル、プロコフィエフ等の名曲を、即興演奏を織り交ぜて演奏。「SONGS」と題するジャズ・サイドでは、書き下ろしの新曲をメインに9曲を収録。「水戸芸術館 コンサートホールATM」での収録。
OZONE 60 (2SHM-CD) 小曽根真 Universal Music 「Songs」サイドから「Gotta Be Happy」を。
「Gotta Be Happy - Makoto Ozone」 クラシックサイドから、「プロコフィエフ:ピアノ・ソナタ 第7番「戦争ソナタ」 第3楽章 Op.83」を。
「Piano Sonata No. 7 In B-Flat Major, Op. 83: 3. Precipitato - Makoto Ozone」