
「横山令奈」。このバイオリニストの名前を憶えているでしょうか。昨年4月、ロックダウンしてから医療崩壊ギリギリの状態で持ちこたえている、イタリア北部クレモナの街で、クレモナのシンボルの鐘楼トラッツォの上や、新型コロナウイルス患者への治療の最前線となっている病院の屋上で、演奏し、その動画が配信され、世界中に感動を巻き起こした日本人バイオリニスト。(拙ブログ
「とどけ! 祈りの響き」)
彼女へのインタヴュー記事が、12月6日の朝日新聞関西版に載っていました。
1987年、大阪箕面市生まれ。高校生まで箕面で過ごし、2006年クレモナへ留学したという。クレモナは、バイオリンの世界的名器を生んだ「ストラディバリ」が17~18世紀に活動した街。
「クレモナの観光プロモーション会社の人に声をかけてもらったのが始まりです。イタリア全土で3月上旬からロックダウンが始まって公演がままならない中、インスタグラムで毎日演奏を配信していました。その映像が目にとまって、クレモナのシンボルの鐘楼トラッツォの上で演奏しませんかと」
「街は1カ月近く静まり返っていました。皆さんの癒やしになればと考えながら、約500段の階段を上っていきました。頂上に到着して、112メートルの高さから街を見下ろすと、緊張で胸がいっぱいに。生演奏を町じゅうに響かせるなんて初めての経験でした。人が集まると困るため、入念な音響チェックもできません。ほぼぶっつけ本番で3曲を弾きました」
「最初はバッハ、グノーの『アベマリア』。からっぽの街に、ふわーっと音が広がりました。そして最後のビバルディの『四季』より『夏』を終えると、涙があふれました」
「眼下に病院が見え、コロナに感染した知り合いや医療関係者、患者さんに思いをはせました。久しぶりに人前で演奏できて幸せでしたが、色んな感情が入り交じりました」
「鐘楼で演奏中に偶然、その下を病院スタッフが自転車で通りかかり、その方に頼まれて、病院の屋上でモリコーネの『ガブリエルのオーボエ』など6曲を奏でました」
「お医者さんが体を治療するように、私たちアーティストは心を癒すことができると信じています」(記事、写真は朝日新聞より拝借)
その時、鐘楼で弾いたのは、「グノー/Charles Gounod」の「アヴェ・マリア/Ave Maria」、「バッハ」の「ソナタ第1番」より「アダージョ」、「ヴィヴァルディ」の「四季/Quattro stagioni」より、「夏 第3楽章」その中から、「グノー」の「アヴェ・マリア」を前回のブログと同じように ・・・。
「Audizione a Cremona - Ave Maria di Charles Gounod | Lena Yokoyama」 そして、病院の屋上で演奏された「ガブリエルのオーボエ/Gabriel's Oboe」。「エンニオ・モリコーネ/Ennio Morricone」の曲で、1986年の「ローランド・ジョッフェ/Roland Joffé」監督の「ミッション/The Mission」のメインテーマ。
「Audizione a Cremona" | Gabriel's Oboe - Ennio Morricone | by Lena Yokoyama | 」 聴く人の心に届いたこのバイオリンの祈りの響きは、間違いなく「音楽のチカラ」。そして今なお続くコロナ禍にあって、人それぞれのとっての「音楽のチカラ」があると信じたい。